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ミゾレヌマエビの特徴(メスの模様の特徴)


ミゾレヌマエビの、メス個体の模様の特徴などをさらに細かく見てみます。
ミゾレヌマエビはオスとメスで模様の量や色の量が大きく違います。
メスは赤くなったり、濃い茶色になったり、背中に白線が入るなど、
体に占める色素の量が多く、透明度が高いオスと比べると
随分と違った印象を持つ事が多いです。(透明なだけのオスは
こちら

しかし、模様のパターンはどのメス個体も一致している事が多く、
ミゾレヌマエビという種独特の模様配置が見られます。
日本の本土で主に見られるヌマエビ類7種類の中には、
ミゾレヌマエビと同じ模様パターンを持つ種類は今のところ見たことはないので、
ミゾレヌマエビを見分けるのに模様を見比べる事はかなり有効と思います。
(琉球地方に生息するというツノナガヌマエビはミゾレヌマエビとそっくりなようです)
模様で種類判別をされている代表がヤマトヌマエビですが、
ミゾレヌマエビは、ヤマトヌマエビに次ぐ程度の見分け易さは
充分に持ったエビと言えると思います。

メスの模様パターン


【1】ワンバウンド模様
青い矢印の
です。
目につながる模様で、この2つの模様で目がワンバウンドをしたような軌跡になるので、
個人的に「
ワンバウンド模様」と呼んでいます。
これはオスにも見られることが多いので、ミゾレヌマエビを簡単に見分けるのには
この部分だけを見ても有効です。
特に
の部分の斜め線は他の一般ヌマエビ類には見られない独特さなので極めて有効な手掛かりです。

【2】腹節下部の四つの斑紋
黄色い矢印の
の線です。
」のような形の模様が卵を抱く部分に四つ入るのが大きな特徴です。
ヌマエビ南部群やスジエビなどだと下側へ向けて放射状に入りますが、
ミゾレヌマエビの場合は、図のように、卵の部分を囲む形でこの「
」が入ります。
この模様の配列はたいへんに独特です。
見分けの手掛かりとして憶えておくと重宝することは間違いありません。

【3】ワンバウンド模様腹節下部の四つの斑紋の間にある模様。
の模様です。
の模様はワンバウンド模様のの模様の上に蓋をするような状態で存在します。
はワンバウンド模様のと腹節下部の四つの斑紋を結ぶような形であります。
ちょうど
で「/一/」こんな形に見えると思います。
これら2つの模様も、他の模様と合わせて見てみる価値は充分にあります。

【4】背中の帯
背中というか腰というべきか、腹節の大きく曲がる部分の上側に二ヶ所、
やや濃い帯と、色の無い帯が並んで入っている場合が多いです。
個体ごとに濃さが違って、よく目立つ個体もあれば、あまり目立たない個体もあります。
ただ、淡水エビの大部分に、この部分に模様が入る事が多いという欠点があります。
つまり、そこだけを見ると混同の原因になる可能性もあります。
しかし、ミゾレヌマエビと間違われやすいミナミヌマエビには、
「ハの字」と称される、斜め後ろに流れる斑紋が代わりとして存在するので
このミナミヌマエビに関しては混同される確率は低いと思います。
ヌカエビ(ヌマエビ北部-中部群)や
ヌマエビ南部群(ミゾレヌマエビという商品名で販売される=ヌマエビ小卵型)
ではかなり似た模様となります。
この欠点を解消するのは「目立ち具合」となりますが、「具合」は見慣れないと難しいです。
ヌマエビ南部群ほどには目立ちません、というくらいですので、
ミナミヌマエビとの混同を防ぐつもりでの使用という事になると思います。
商品名としての“ミゾレヌマエビ(正体はヌマエビ南部群)”との識別には
この不鮮明具合が役に立ちます。参照⇒【
ミゾレヌマエビとヌマエビ南部群の見分け方

【5】急に細くなる腹節
ヌマエビ類の腹節(エビのフライや天ぷらで食べる肉の多い部分)は、
種類によって盛り上がったり、なだらかだったりします。
この部分の勾配の具合は見分けに有効な部分です。
主に見られる7種類のヌマエビ類のうち、
腹節が大きく盛り上がり、そして急に細くなる種類が
・ヌマエビ南部群(旧ヌマエビ小卵型。“ミゾレヌマエビ”として販売されるエビの正体)
・ヌマエビ北部-中部群(旧ヌカエビ、旧ヌマエビ大卵型)
・ミゾレヌマエビ
になると思います。
この3種は腰のカクカク具合がテナガエビ科のスジエビとも似ているので、
よく混同されています。(
手の長さで判別は容易)
スジエビを別としても、当然、この3種類は互いに混同されている事も多いです。
(模様や眼上棘の有無などで、見分けは容易です)

腹節があまり大きく盛り上がらず、細くなるのもそれほど急激ではない種類が
・ヤマトヌマエビ
・トゲナシヌマエビ
・ミナミヌマエビ
・ヒメヌマエビ
になると思います。
ミナミヌマエビは観賞魚店などで売っている商品名の“ミナミヌマエビ”(正体はシナヌマエビ等の外国種)よりは、
在来種のミナミヌマエビのほうがスマートで盛り上がりはありますが、
スジエビと間違えられるほどのカクカク具合ではありません。
ヒメヌマエビは抱卵個体などは卵を抱える部分が大きくなりますから
シッポが急に細くなりますが、エビ自体が小さく、体長も短く、
このエビを見間違える事は少ないと思うので、ここに含めておきます。

ミゾレヌマエビは腰の出っ張り具合が大きく、
「お尻が大きなエビ」という印象を持ちます。
大きく膨らんだお尻が急にしぼむような尻尾をしています。
ヤマトヌマエビやミナミヌマエビ、トゲナシヌマエビあたりだと
ここまで大きく細さが変化せず、なだらかに細くなります。

【6】額角
額角に関しては、第一触角柄部を超え、さらに第二触角鱗片まで超えてしまう個体もあります。
主なヌマエビ類7種の中では最長と思えます。
ミナミヌマエビ(日本在来個体)もシナヌマエビばかり見慣れた目からすると驚きの長さを誇りますから、
この2種類は、額角の長さは共に長いことになります。
ミゾレヌマエビのほうが上向きに反り上がり、先端に数個歯があって、その後しばらく歯が無い部分があります。
しかし、ミナミヌマエビも額角の先端付近には歯がありませんので、
特徴も良く似ていることになります。
額角はもともと短い個体もいて、第一触角柄部程度の長さのものも有ります。
ギザギザの有無なども、肉眼での確認はまず無理でしょう。

高画素のデジタルカメラでマクロ撮影して拡大すれば、
かなり有効な手掛かりになるのは間違いない部分ですが、
精査が要求される専門家でもない限りは、
あまり見る機会もないですし、そもそも小さ過ぎて見えませんしで、
額角に頼るというのはほとんどないと思います。
(専門家はこの部分で種類を判別するようです)
参照⇒【
ミゾレヌマエビの額角
肉眼でも長さが長いか短いかくらいは分かると思います。
額角の長さは見分けに有効です。

 

次ページへ続く

 


2007/11/08


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