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ヒラテテナガエビ(ヤマトテナガエビ)の
「ミ」模様



ミゾレヌマエビやロックシュリンプと同居中のヒラテテナガエビの子供。
経験的に、このくらいの大きさの子ヒラテは他種をむさぼるようなエビではない印象で、
なんとか無事に過ごします。
それでも、ヌマエビ類は、このテナガに触れると瞬間的に跳びます。
ヌマエビ類同士では感じない肉食動物の匂いが察知されるようです。
ロックシュリンプが相手だと一叩きで跳ばされます。
観賞魚店のロックシュリンプには、たまにテナガエビの仲間が混ざりで入荷していたりします。
同じ場所に生息している可能性が高いので、
これらのテナガエビの仲間とどのような力関係で暮らしているのかも興味深いです。
しきりを立てて、ヒラテテナガエビで観察してみても面白いのではないかと思っています。
ロックシュリンプの大型の雄の場合は、おそらく一方的には逃げないのではないかと思います。
(怪我したり死んだりしたら可哀想ですから、瞬間的な優劣や巣穴の争奪を見るだけですが)


黄色い手袋。そして、胸の横にやや斜めの横縞が三本入っています。
黄色い手袋が可愛かった時期よりは、随分と精悍になりました。
テナガエビ科らしい姿です。


やはり、腰の部分に入る白と黒の輪っかが特徴的です。
ここには、テナガエビ科・ヌマエビ科を問わず、他のエビにも模様が入りますが、
ヒラテテナガエビほどに濃い種類はあまり思い浮かびません。
スジエビだとクッキリと腹の下まで入りますが、
白い線が並んでいません。


こんな感じで見ると、商品名の“ミゾレヌマエビ”でおなじみのヌマエビ南部群にも似ています。
胸横の「ミ」模様がそっくりです。⇒【ヌマエビ南部群とミゾレヌマエビの見分け方
テナガエビ科とヌマエビ科の識別の初歩の部分である「ハサミ脚の長さ」を見れば分かりますが、
腕が欠落し易い種類なので、混ざっている可能性もあるかもしれませんね。

 

長い手がとれたテナガエビ科とヌマエビ科の見分け方は?

Web上の画像掲示板等で、しばしば目撃する情報として、
ヌマエビ科のエビの写真に対して、
「テナガエビ科のエビの腕が取れてしまった個体ではないか」といったものがあります。
腰の曲がりや透明度が共通のスジエビと旧ヌカエビ、旧ヌマエビ大卵型、あるいはミゾレヌマエビ(本物)が多く混同されますが、
この、「両腕が取れてしまったテナガエビ科のエビ」とヌマエビ類との見分け方は、
第一胸脚を見れば問題ありません。
テナガエビ科の仲間は、しばしば腕(長いハサミ脚・第二胸脚)が取れてしまう事があります。
脱皮時の共食いや敵に襲われた時の自切等が原因と思います。
後ろへ逃げるエビの場合、敵の前に棚引くのが第二胸脚になりますから、
どうしても取れ易いのだと思います。
片腕の場合はなんら見分けに問題なしですが、両腕が無いと難しいのでは?と思われるかもしれません。
しかし、全然心配は要りません。
テナガエビ科のエビには第一胸脚という、細いハサミ脚が別に一対あります。
餌を探したり、口へ持って行ったり、体の掃除をしたりと、細かな動きでエビの生命や健康を支えている脚です。
「手」という表現にピッタリな、器用な細腕です。
大事な脚ですから、テナガエビ科はこれを真ん中で二つに折って口元にきっちりと付けて保護します。
ケンカの時などでもこの脚が取れてしまうことはまずないと思います。
どんなに脚をもがれても、これだけは残っています。
これが残っていれば、また餌を食べ、他の脚は再生が可能です。
この第一胸脚は意外と長いです。
ヌマエビ類の豚足のような第一胸脚とは比べ物にならない長さです。
つまり、第一胸脚もテナガエビ科は長いのです。
この、先に小さなハサミが付いた細長い第一胸脚があれば、テナガエビ科です。
(ヌマエビ科の第一胸脚にも当然ハサミは付いています。が、長さが短く太いので一目瞭然です)
参照⇒【スジエビの見分け方

ヒラテテナガエビ

テナガエビ科で注目されるのは長い第二胸脚ですが、
小さな第一胸脚も長いです。
ヌマエビ類と混同され易いスジエビもテナガエビ科。
同じような細長い器用な第一胸脚を持っていますので、
万が一両腕が落ちてしまっている個体でも見分けられます。
(模様その他を一切使わない場合の話ですが。普通はそこまで見なくても模様で充分)
参照⇒【ヒラテテナガエビのハサミ

ヒラテテナガエビ

テナガエビ科のエビは、第一胸脚を折り畳んでいる事も多いです。
これは先が取れているわけではなく、内側に折り畳んでいる状態です。
このように保護することが出来るので、
第一胸脚の欠落はほとんど見たことがありません。(おそらく記憶ゼロ)
これが両方無くなるという確率は考える必要がないほどではないかと思います。
(ここまで取れていたら、それはおそらく死骸レベルかと思います)
それと、テナガエビ科は顎脚を地面に着けません。
ヌマエビ類は歩脚のような使い方で顎脚を使いますが、
テナガエビ科は顎脚が短く、通常の姿勢では地面には届きません。
第一胸脚が両方無い場合は、顎脚の長さを見ても見分けは付きます。
(顎脚も無い場合は、もはや肉片レベルでしょう)
写真を見て頂けると解かると思いますが、
太い第二胸脚よりも、第一胸脚は前に生えています。一個前です。
エビの各パーツは前から数えるようです。
ですから、よく目立つ太い腕なのに、そちらが第二胸脚です。
触角も同じで、よく動く長くて太いほうが第二触角。
体の先端についている二又に分かれているほうが第一触角。
どちらも、一番目立つほうが二番。

スジエビ

旧ヌカエビや旧ヌマエビ大卵型、そしてミゾレヌマエビがよく混同されてスジエビとされることが多いですが、
スジエビはテナガエビ科なので、手の特徴は他のテナガエビと一緒です。
第二胸脚がやや大きくて長く、よく目立ちます。攻撃的な行動によく使います。
そして、細くて器用な第一胸脚。
餌の探知に使われると思われる短い毛が横向きに生えていて、
主に、この手で、餌を食べます。
眼の周りや体のあちこちの掃除にも使いますから、
観察していれば見られます。
スジエビも第一胸脚を折り畳んでいる事があるので、餌を与えた時に見ると良いかもしれません。
これら4本が全部欠落している個体というのは、
考える必要が無いほど確率が低いのではないかと思います。
この長い手がどれか一本でもあれば“手長”エビ科です。ヌマエビ科ではないです。
参照⇒【スジエビの離れ眼、長いハサミ脚
透明で、体形がカクカクと曲がっていると、なぜか全部「スジエビ」とされてしまうことが多いようです。
透明度?や、曲がり具合?ではまず無理です。眼の出っ張り具合?もまず無理でしょう。
参照⇒【スジエビの範囲
これら多くの種類が「スジエビ」となっている事が多いです。
手の長さと胸の横の模様に注目すると、大幅に混同は防げます。

 

 

おすすめ情報

ヒラテテナガエビの模様は縦縞
http://www.geocities.co.jp/Outdoors/7766/kawaebi/ebisyurui/M.japonicum.html【川エビ雑話】
魚介類の体の縞は縦縞なのか横縞なのか。
これは釣り上げた時の、頭を上にした状態を基準にするようです。
淡水エビに関しても、それに倣っているようです。
横向きのエビしか見ない私個人は「横縞」と表記しますが、
正確には縦縞になるのだと思います。
(申し訳ないですが、今後もずーっと「横縞」と書くと思います。なんか気持ちが悪いので)

おすすめリンク

番匠おさかな館の図鑑・エビ
http://rs-yayoi.com/osakanakan/zukan/shrimpcrub/shrimptop.htm
模様を軽視していないので、生きたエビの見分け方として参考になると思います。
(水族館という役割ならではという感じ。生きた水生生物に親しんでもらいたいという願いと思います)
川エビの種類は、模様を見ないとまず見分けを失敗すると思ったほうが正解です。
「模様を見ない」という因習の影響が根強い淡水エビ情報には種類間違いがあるのが常でしたが、
ここには、個人的に違和感や種類間違いを発見できなかった記憶があります。

 

2009/07/25


 


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