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ヒラテテナガエビ
成体オス



飼育丸四年を経過するヒラテテナガエビです。
採集当初は小さな個体でしたが、参照⇒【ヒラテテナガエビ仔エビ
すでにその面影はありません。
ヒラテテナガエビの寿命は何年なのか?
これがテナガエビと同じく、よく分かりません。
テナガエビよりも個体の大きさがまちまちな印象です。
この個体は採れた時でほぼ一歳と想像できますので、
五歳にはなっていることになります。
30cmの水槽内ですが、五歳でやっと「それらしい姿」になりました。
自然下ではとても大きな個体が暮らしているようですから、
それらは何歳なのか想像もつきません。
水槽内よりは自然下のほうが育ちは早いと思いますが、
テナガエビ同様に、それらしい姿の個体達は三歳以上ではないかと想像しています。
ペットとして飼う分には、あまり早く成長して早死にされるよりは、
こんなペースで育ってくれたほうが嬉しい気もします。


どちらの腕も、一度ずつ勝手に自切していますが、参照⇒【ヒラテテナガエビの腕の再生
ここまで太く大きくなりました。
ヒラテテナガエビは、どちらか片方の腕が大きくなる、
不相称な胸脚のエビです。
もう片方は二回りほど小さいです。
さすがに、ここまで大きなハサミ脚を持つ♀というのは存在しないと思うので、
まず間違いなく♂だと思います。

ハサミが左右不相称のテナガエビの自切について、
こちらに、興味深い文章が書かれています。
http://www.geocities.co.jp/Outdoors/7766/kawaebi/ebisyurui/M.australe.html
ザラテテナガエビについてですが、
攻撃されなくとも勝手に取れているという状況が書かれています。
取れやすいから、その後に生える腕が不相称になるのか、
あるいは、不相称にするために、ある時期に脱落させることが組み込まれているのか、
どちらなのか謎です。


迷路模様の頭胸甲、太い腕、がっしりした歩脚、大きな目、
スズメバチを思わせるような腹節の模様などなど、“独特”というしかない姿です。


とても好奇心が旺盛で、攻撃的です。
ストロボを焚くたびに突っ掛かってきますし、
人影にも反応して突進してきます。
ブラックバスにも無闇に突っ掛かって行って食べられたりしていないのか
心配になってしまう性格です。
わずか数十年程度の淘汰では無謀な性格が直るとも思えませんから心配な部分です。

動きは極めて敏捷。
餌を見つけた時の瞬発力は、
クモが巣に掛かった虫を一瞬でぐるぐる巻きにするのと似たような感じを覚えます。
この瞬発力があればこその無鉄砲さなのでしょう。
自分の素早さに自信を持っている印象です。


こういう狭い部分に入るのが好きです。
腕の関節は柔らかく、無理な姿勢でも強引に入り込みます。
砂利を敷くと巣作りをする行動が観察できるそうです。
テッポウエビやアメリカザリガニなど、甲殻類の巣作りは、
見ていて面白く、飽きない部分です。
目障りになりそうな小石などを落としてみると、
きちんと片付ける姿が観察できるかもしれません。

そんな彼らの飼育の最大の注意点は『脱走』です。
つい先頃も、最も小さな個体の暮らす水槽のエアーが止まり、
周囲で、わずかな隙間から這い出したと思われる干しエビを発見しました。
まさかこの小さな個体が登る事はないだろうという油断を見事に突かれてしまいました。
飼育機器の確認はさる事ながら、スポンジ片での隙間の密閉は命を守る為に重要です。
元気で、やんちゃで、おもしろい生き物だけに、
その小さな亡き骸とのギャップは痛恨です。
頭の良さ、機用さ、体の柔軟性、チャレンジ精神などが共に高いので、
より一層の安全対策が欠かせません。

 

2008/07/11


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