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ヒラテテナガエビ(ヤマトテナガエビ)
コケ取りをするテナガエビ



腰につけた白黒の線が粋。
腹節の感じからすると雄の個体のようです。

ヒラテテナガエビを飼った事がある人は、
一様に「付着藻類食の性質があるのではないか」と感じるようです。
http://www.geocities.co.jp/Outdoors/7766/kawaebi/ebisyurui/M.japonicum.html
http://www.hpmix.com/home/tenaga/konekonomori2/A4_4.htm

エビというと「水槽の苔取り」として導入される事が多い生き物、という印象が強く、
ヤマトヌマエビやシナヌマエビ類が、その役目としてよく飼われます。
しかし、実際には水槽立ち上げ初期の茶色い珪藻類と内壁面のぬるぬるした水垢以外を
取り除くことはまずありません。
コードなどに硬く固着した房ゴケや、水草の表面をびっしり覆う柴状のコケ。
そしてマツモにさえも絡みつくアオミドロあたりだとヤマトヌマエビも、もう御手上げです。

そんなヌマエビ類と苔との関係とはちょっと違うのがヒラテテナガエビです。
このエビ、テナガエビなのに草食性が強いという不思議なエビです。

本家本元のテナガエビの攻撃性と肉好きな印象から、
名前に“テナガエビ”と付く以上は肉食性の乱暴者というイメージを持たれても不思議はありませんし、
実際、テナガエビよりも更に太くて長いハサミ脚を持っていますから、
見た目では、こっちのほうが上を行く悪食暴君に見えます。
ところが、飼ってみると、外見の印象とはちょっと掛け離れた行動をとります。

アクアートと化したCRS水槽のスポンジフィルター。
ビーシュリンプ系は、コケ取りとは無縁に近い。
エビが飼育者の期待通りの仕事をする事は少ないです。

前のページでも書きましたが、
ヒラテテナガエビは小さな時からスポンジフィルターを盛んにツマツマとし続け、
その行動は、ヌマエビ類に近いものがありました。
もちろんテナガエビ類ですから、ザリガニの餌を与えた時の反応はテナガエビそのもので、
大騒ぎで口に一つ、両手に一つずつの計3つを抱え込みます。

しかし、それ以外の時の行動は、大きくなってきてもあまり変化はなく、
水槽の底面に降りては、細くて器用な第一胸脚でさぐり、何かを見付けるとプチプチとつまみ取って
口に持っていきます。
ですから、このエビを飼っている水槽には、スポンジにも底面にも糸状の藻類が一本もありません。
ひょろっと生えているコケが一本もなく、このエビがした糞だけが転がっているそんな底になっています。

ホースでゴミを吸い出したりということは一切しないのに、こんなに綺麗な床。
マツモの枯れ葉ひとつ落ちていないのにはビックリです。
いつ見てもこんな状態。
(よく考えてみると貝も居ませんし、ユスリカの巣や、プラナリアの形跡もないです)


最近の定位置は奥のスポンジフィルターの上。
小さい頃は下に隠れていましたが、最近はなぜかココ。
スポンジの目詰まり防止も自らしてくれるようで、
ここ半年、水換えも掃除もしてませんが元気そのものです。
底面にはうっすらと珪藻類が生えていますが、
これはヒラテテナガエビの管轄外のようです。
(水槽の上面付近にも生えています。このあたりはヌマエビ類とは異なります)
しかし、それ以外の「しつこいコケ」に分類されるものは見事に生えていません。
似た環境の水槽は他にもありますが、
ここまでコケがなく長期間綺麗に保たれているのは、このヒラテ水槽(30cm水槽)だけです。
コケ以外の、浮泥のようなものも転がっていません。
その綺麗好き度は、ロックシュリンプの履き掃除を上回ります。
(ロックは剪定鋏のようなものを持たない為、
当然、糸状の苔の繁殖には無抵抗で、脚が絡まるほど生えてしまいます)
蛍光灯は10WのPG管ですが、
この働きぶりなら、もう少し明るい水槽や大きな水槽でもコケなしを維持できそうです。


コケ取り巡回中。
「目の黒いうちは、一本たりとも生やさせないぞ!」
小さくて細い第一胸脚を使って、プチプチと刈り取って歩きます。
刈り取りに第二胸脚の大きなハサミを使う事はありません。
(後ろのボルビディスを保持して、その間にツマツマしていることはあります)
ヤマトヌマエビと「ヤマヤマ・コンビ」で苔取りをさせたら最強かもしれませんが、
ヌマエビ類との混泳では、ヒラテがやや強過ぎるかも。
性質は比較的おとなしいですが、混泳向きなのかは分かりません。
一時ホトケドジョウと同居していましたが、どちらも食べられませんでした。
スジエビと同居していた時は、スジエビが行方不明になりました。
まあ、テナガは個室・単独飼育が一番気が楽です。


迷路ゲームが出来る胸横の模様も、益々遊べる状態になってきました。
以前、水族館で30cmくらいありそうな個体を見た事がありました。
この成長具合では相当に長生きなエビに思えます。
そこまで育つのは、いつの日か・・・

 

2006/11/20


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