前回や前々回にシマシマ模様を披露してくれた個体です。
あきれるほどに太い腕の個体になりました。
太い手前の腕は、恐らく一度も脱落していないと思います。
奥側の腕は一度落ちている様です。
左右の大きさの差は、体が大きくなるほどに開いていく印象です。
ハサミの間の歯が多いです。
大型のテナガエビやミナミテナガエビにも、ハサミの間に歯ができて、
より強力な武器になるようですが、
ここまで歯の数が多い印象ではないです。
この個体のハサミは先が曲がっていて、鈎状になっています。
くつろいでいる彼の背景の砂が傾斜しているのが分かると思います。
前回、脱皮して大きくなったら、水草には厳しくなって行きそう、といった懸念を書きましたが、
予想通り、砂の掘り具合が大きく増え、かなりの量の水草が抜けました。
傾斜の先はこうなっています。
セキショウモの仲間の茂みだった場所です。
底が完全に見えるほどにきれいに土が掃き出されています。
4年以上前からベアタンクで飼っている個体では当然見る事の出来ない行動です。
ヒラテテナガエビの穴の掘りかたは、掃き出し型です。
歩脚で腹の下に砂を掻き込み、それを腹肢で高速で煽り、後ろへ飛ばします。
ザリガニは押し出し型ですが、ザリガニのように前へ押し出してくる行動のような物は見ていません。
腕が長過ぎるので、隙間が開きすぎて、ブルドーザー的な行動には向いていないのかもしれません。
巣穴はここだけではなく、奥にあるスポンジフィルターの下も掘られています。
こんな行動を見ていると、エビというよりもサソリでも飼っているような感じになります。
砂漠の砂を掘っているサソリの映像を見ているような印象です。
とにかく砂掘り・巣作りが好きです。
掘りながら、何かを食べています。
楽しそうに掘っているように見えますから、しかたないです。
そういう性質を強く持ったエビです。
穴を掘られるのは前提で飼う必要があるエビだということになると思います。
水草が大事である場合には、憎らしく思われる可能性があります。
シマ模様は迷路模様へと移行して来ています。
ミナミテナガエビも同じような砂の掘り方をしましたから、⇒【ミナミテナガエビの餌取り行動】
ミナミテナガエビも底床を敷いて飼うと、かなり似た行動が見られると思います。
穴を掘って隠れたりするのは、ヒラテテナガと同じくらいに好きだった印象です。⇒【ミナミテナガエビの隠遁の術】
ちなみに、マテナガエビは過去に飼ったどの個体も全く砂掘り・巣作りをしませんでした。
スジエビもしません。
穴掘りは脚の力の強さに大きく関わりますから、
太い脚と短い指節の種類に限定されるのは頷けます。
やや上流寄りで、エサの確保が難しい地域に棲んでいるということと、
隠れる水草が少ない開けた瀬に棲んでいるということで、
このような技術に長けたのではないかと思います。
エサの確保と身を隠す巣の必要性が生んだ行動に思えます。
元気で楽しそうですから、しかたがないです。(穴掘り行動は見ていて面白くもあります)
たいへんな運動量だと思いますけど、
底知れないエネルギーを持ったエビですから、
本人にとっては大きな負担ではないようです。
とにかく元気なエビです。
続き⇒【穴を埋め戻す?】
◆参照リンク◆
ヒラテテナガエビ
http://www.geocities.co.jp/Outdoors/7766/kawaebi/ebisyurui/M.japonicum.html【kenken's HP】
番匠おさかな館の図鑑・エビ
http://rs-yayoi.com/osakanakan/zukan/shrimpcrub/shrimptop.htm
※このサイトに感じた要注意点
1、あくまでも九州大分県に生息するエビの情報です。
2.ヌマエビと書かれているのは、現在のヌマエビ南部群(旧ヌマエビ小卵型)。
3.ヌマエビ北部−中部群(旧ヌカエビ、旧ヌマエビ大卵型)は載っていません。
4.全国に定着しつつある外来シナヌマエビ類も載っていません。
2009/09/04 岩
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