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ミナミテナガエビの「m模様」
〜若エビの場合〜



ミナミテナガエビは、テナガエビに比べて「m模様」が太くて濃いという特徴があり、
これは遠目に見ても分かるくらいの違いなので、見分けに大変に便利です。
この個体は中腸腺が肥大している(つまりエビ的に太っている)ためか、
頭胸甲内が白いので、より模様が鮮明に見えています。
(指節が短いのもミナミテナガエビの特徴です。どの脚の爪も短い)


三本の黒い線がクッキリです。
テナガエビの場合、真ん中の1本はかなり変化に富み、
細字になったり、真ん中で後ろへ折れていたり、
その折れた先が3本目の真ん中付近に繋がっていたりします。⇒【テナガエビのm模様
ミナミテナガエビの場合は、
そのような、個体ごとの大きな個性はあまり感じません。
どの個体にも太い線がグイッ、グイッと引いてあります。


m模様がややぼんやりした個体。
それでもテナガエビの物よりは、太くてハッキリしています。
前2本と、後ろの弧を描く1本では線の性質が違い、
前2本は体表に近い部分の模様であり、
弧を描く1本は、やや深部にある印象です。
マテナガの場合、大型個体では、前2本が消失する場合が多くありますが、
その場合も、後ろの弧だけは残っています。参照⇒【夏越しの大型個体
ミナミテナガエビは大きくなっても、m模様は消えないという傾向があるようです。


「m」の文字の周りが無色の縁取りで抜かれているのが分かります。
太くて濃い模様を、よりクッキリさせる事になっています。
しかし、3本目の線は縁取りがありません。
それどころか、線の上に小さな色素班がたくさん乗っています。


この写真でも、m模様の前2本と弧の部分の線の「質の違い」が分かります。
弧の部分には体表面の細かい点模様が散りばめられています。
この細かい斑点は、前2本の太い線と同じ層にある模様と考えられます。
青黒いマジックインクで引いたような弧の線は、
層が一つ下である事が解かります。
マテナガのこの弧だけが残るのも同じ理由で、
模様のように見える部分の成り立ちが違う事が原因のようです。

ミナミテナガエビは、テナガエビと比べて、
・指節(脚の爪)が短い
・m模様が濃く太くハッキリしている
・額角がやや短い
・眼が寄り眼(正面から見ると立っている
・陸上を歩ける
などで見分けると簡単に思えます。

参照⇒テナガエビの指節
ミナミテナガエビとよく似ているテナガエビ。
テナガエビは指節が長い(長過ぎる気がする)ので、見分けは容易です。
同じく爪が短いヒラテテナガエビとは、模様の違いで見分けは容易です。

参照⇒スジエビの指節
スジエビの爪は長過ぎず短過ぎず。
やや長い個体も居ました。
全国規模の陸封種なので、指節の長さも色々とありそうな印象。

参照⇒ミナミテナガエビの若エビ
横から見た指節の短さと、テナガエビとの性格の違い。

参照⇒ミナミテナガエビの隠遁の術
ミナミテナガエビを、大きな水草水槽に入れる時は要注意です。
穴を掘ってしまったり、隠れて捕まらなかったりで大変です。
(餌で誘えば簡単に捕獲できるかもしれませんが)

参照⇒ミナミテナガエビの採餌行動
餌の探し方一つでも、テナガエビとは違います。
どの行動もアグレッシブです。
このような行動の違いでも、両種の識別は容易です。

●テナガエビ3種とスジエビの見分け方はこちら⇒【テナガエビの見分け方

 

おすすめリンク

ミナミテナガエビ
http://www.geocities.co.jp/Outdoors/7766/kawaebi/ebisyurui/M.formosense.html
形態や生態などがたいへん詳しく書かれています。
個人の感じた情報として、しっかりとした主語を持った情報が嬉しいサイトです。
ページの更新はされていませんが、
技量に合わせて読み飛ばしていた部分が後々解かったりと、
何度でも読み返して参考になる、色褪せない魅力があります。KENKEN’S HP】 

琉球淡水エビ
http://www.h2.dion.ne.jp/~karo/
琉球列島産の珍しいテナガエビがいっぱい載っています。
m模様を持つ種類が多いのが解かります。

番匠おさかな館の図鑑・エビ
http://rs-yayoi.com/osakanakan/zukan/shrimpcrub/shrimptop.htm
種類のまとまった日本産淡水エビの情報では、
ヌマエビ南部群を中心に、必ず種類間違いが存在するもので、
間違いがない情報に出会う事はまずないものですが、
ここには間違いが存在しない印象です。
(間違いがない事に、むしろ驚いてしまいました)
見分けに悩んだ時には、目を通しておくと良いと思います。
写真も模型かのように綺麗で、模様も良く見る事が出来ます。

 

2009/01/04


もっと大きくなった画像は⇒こちら


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