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ミゾレヌマエビ(本物)の黄色個体



水槽内でも良く目立つ、ミゾレヌマエビの黄色みが強い個体。
採集地でもこのままの色合いで暮らしている個体が見られます。
もっとオレンジ色に近い個体も見られます。
それら黄色系はどれも透明度が高いです。


右奥に居るのが、ごく普通の模様の強い個体。
典型的な模様配置で、間違い様はないですが、
このイエロータイプは模様がきわめて薄いです。
同種と思い難いかもしれません。


1.鼻先から突き出す長い額角。(短めの個体も意外と多い)
2.額角上に、眼よりも後ろ(頭の上)にまでギザギザが並ぶ。
3.外肢がない。
4.小卵型。
といったあたりを確認すれば、消去法でも充分に辿り着けます。
名前の“ミゾレ”も、この個体には存在しています。
このエビに標準和名を与えた方は、当然ですが実体顕微鏡を覗いてエビを見るという習慣の上で名付けたと考えられます。
肉眼サイズでは、このエビに“霙”を感じる事は少ないです。
“アクアリウム的ミゾレヌマエビ”であるヌマエビ南部群が、肉眼レベルでは“霙”と合致する大きな白点模様を持つため、
完全に入れ替わって販売されて来ている、あるいは識別情報としても誤まった紹介が多いですが、
このあたりの取り違え現象を生む理由の一つも、
「実体顕微鏡下」と「肉眼下」という2つの世界にエビが分離されている事と密接な気がします。
淡水エビは肉眼レベルで見た情報が異常に軽視されています。
研究の基準が褪色白化標本であったり、実体顕微鏡下の画像であったりする為、
生きたエビにどんな模様があり、どんな姿で、どんな生活をしているのかという、
肉眼で見分けたり観察するのに必要な情報がポッカリとありません。
「拡大したエビの死骸」が基本に据えられているので、生きたエビの情報が極めて薄い。
あるいは有ったとしても、種類の入れ違いだらけ。
そして、誤情報に対する意識も低いです。


古くから“ミゾレヌマエビ”として飼われているヌマエビ南部群。
肉眼で「みぞれ」に見える白点の大きさであれば、実体顕微鏡下では「牡丹雪」。
しかし、“ボタンユキヌマエビ”だと、肉眼での認識には一致しません。


独特の線で構成される固有の特徴的な模様配列が極めて薄く、
こういう個体には模様は使い難いです。
大型のハゼなども居る水域ですが、この色合いで生き長らえて来ているのが不思議です。
もっとも、ミゾレヌマエビは、テナガエビやハゼの多い環境に棲んでいますから、
それらの接近や、攻撃からの回避も上手です。


撮影をしていると、他の個体に餌を取られてしまいました。
面白い事に、取った相手の体の下に長い額角を差し入れ、
カブトムシの様に、相手を上に持ち上げるという行動をしました。
餌から離れた相手を、しばらくそのようにして追いました。
ビーシュリンプやロックシュリンプだと、第3胸脚ではたき合いますが、
ミゾレヌマエビの争いは、また一味違った方法でした。
胸脚が細いので、長くて使い易い額角を使っているように思えます。
滅多に喧嘩は見られませんが、
長い個体のほうが有利にはなりそうです。

 

おすすめリンク

番匠おさかな館の図鑑・エビ
http://rs-yayoi.com/osakanakan/zukan/shrimpcrub/shrimptop.htm
※このサイトに感じた要注意点
1、あくまでも九州大分県に生息するエビの情報です。
2.ヌマエビと書かれているのは、現在のヌマエビ南部群(旧ヌマエビ小卵型)。
3.ヌマエビ北部−中部群(旧ヌカエビ、旧ヌマエビ大卵型)は載っていません。
4.全国に定着しつつある外来シナヌマエビ類も載っていません。

琉球淡水エビ
http://www.h2.dion.ne.jp/~karo/

こうらもん
http://www2s.biglobe.ne.jp/~palaemon/caridile.html
華やかそうな名前の割りに極めて地味です。
アクア雑誌等では、ヌマエビ(南部群)が「ミゾレヌマエビ」となり、
本物のほうは、ただの「ヌマエビ」とされて紹介されるのが通例です。
肉眼レベルでは無理もない現象。

 

2009/07/04


 


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