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ミゾレヌマエビの眼
一瞬、真横に見える角度



エビの眼は、どこから見てもこっちを見ています。
そんな錯覚を利用した紙製の犬やドラゴンの置き物がありますが、
こちらは錯覚ではなさそうです。

さて、横から見ればワンバウンド模様で一目で「ミゾレ!」な彼らですが、
採集した時に、真上から見た場合には、眼の角度も非常に簡単で便利です。
ほとんどが、やや斜め前を向いて眼が出ています。
ただ、【ヤマトヌマエビの眼】で書いたように、
水槽内で逆さまに留まっている場合には「下向き効果」が存在するので、
一瞬、ヌマエビかヌカエビかと思い、あらためて確かめて、
「なんだ、やっぱり、ミソレか」とガッカリ(?)したりします。
そういう意味では、若干の慣れと、他の見分け箇所の確認が必要な部分ではあります。
そもそも、エビの種類をたった一箇所(特に“額角のみ”とか)で判断するという事自体がおかしいので、
これに関しては、むしろそのほうが慎重になって良いと思います。

 

●雌の場合 例1


色味に乏しいエビが下を向いて留まっています。
眼の角度は真横に見えます。
眼の軸の部分は、頭の色と似ているので、
眼だけが目立ちますから、真横と判断し易いのではないでしょうか。

これくらい拡大すると、斜め前を向いているのが分かります。
抱卵している雌の個体です。

向かって右の目が、かなり前向きです。

 

●雌の場合 例2


別の個体。
こちらも、普通の判断であれば「真横」の範疇かもしれません。

眼柄の部分が見えてくると、やや前を向いている事が分かって来ます。

雌が下を向いて留まっている場合は、
ここまで大きく見ないと、
眼の角度は難しいかもしれません。

 

●雄の場合

雌に比べて、雄は斜め前を向いている傾向が顕著な印象です。


横を向いて歩いていますが、
下を向いても、こんな感じでした。
斜め前を向いた眼の角度がかなり大きい。
眼柄の太さも、かなり太いのが分かります。


採集当初に見られる本物のミゾレ模様です。
上下とも同じ個体。
やや前向きの眼を持っています。
この写真では、外肢が生えているように見えますが、
これは腹肢(遊泳脚)の外肢が飛び出したもの。
外肢を見る場合は、必ず歩脚の付け根にある事を確認します。
この遊泳肢の外肢はどんなエビにも生えていますので、誤認に注意です。

 

●旧ヌカエビ(ヌマエビ北部-中部群)の場合

採集したミゾレを見て、一瞬、「ヌカエビか!」と糠喜びをする相手。
真横の離れ眼、旧ヌカエビです。


色味に乏しい感じがソックリです。
この写真では、すでに向かって左の脚の付け根に、
細い外肢が生えているのが見えてしまっています。
これが生えていれば、ヌマエビ属。
ヒメヌマエビ属のミゾレヌマエビには外肢は生えていません。


眼が180°以上に広がっている場合もある種類です。
出眼で腰曲がりで透明な為、「スジエビです」と断言されてしまうことも多いですが、
テナガエビ科の持つ長いハサミ脚はなく、毛束のある短い手です。
川エビを見分ける最も初歩の部分で簡単に区別できます。
(スズメの写真を「タカです」と言っているのに等しい印象)


・胸の横の模様がぜんぜん違う事。
・多数の外肢が生えている事。
・眼上棘が生えている事。
・中卵型である事、などなど、ミゾレヌマエビとの見分け箇所は豊富です。
旧ヌカエビでは頭がツルツルなのも役に立ちます。
旧ヌマエビ大卵型では数本の棘が頭の後ろにもあるそうですが、
ミゾレヌマエビほどには並ばないと思うので、
見てみるのも有効かもしれません。

●ミゾレヌマエビの顔拡大

・眼がやや斜め前向き。眼柄が太い。ヌカエビほど飛び出していない。
各歩脚に外肢が生えていない(外肢に見える一本は腹肢の外肢)。
・眼上棘が無い
額角の稜線上に、頭の後ろまでギザギザが並ぶ額角は一際長い個体が多い
胸の横に斜め後ろに跳ね上げたような模様。あるいはワンバウンド模様

●旧ヌカエビの顔拡大

・眼が真横に開いている。眼球に比べ眼柄が細い。眼柄が長い。ミゾレヌマエビよりもかなり飛び出す。
・各歩脚に外肢が生えている。(一番後ろのは腹肢の外肢。当然あります)
眼上棘がある(上側の眼の付け根に刺さりそうな棘が見えます)。
額角の稜線上に棘が少なく、頭はつるつる。(旧ヌマエビ大卵型は頭に一本程度生えている場合も)
胸の横に独特の図形を持つ。“波裏富士”のような模様。(富士山に迫る大波のような模様)

この2種類を、採集時に分けるなら、眼の角度と出っ張り具合は極めて便利です。
胸の横の模様と合わせて使えば、肉眼でポイポイできます。

 

2009/05/25


2009/05/26 拡大写真追加


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