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ヌカエビ2009年・梅雨期
親より更に離れ眼な稚エビ



餌を食べる親ヌカの足元に、離れ目が親より顕著な小さなエビがこちらを向いていました。
餌のすぐ奥で、親エビ達の大きさに臆せず果敢に食事にチャレンジ。
ヌカエビは、テナガエビ科のエビと違い、子エビを襲うという事はありません。
そもそも、動くものを捕まえるという気がありません。


小ささに目が慣れてくると、あちこちに居る事に気が付きます。
浮遊期は、何かの原因でほとんど消えてしまうことも多いですが、
ここまで育ってくれるともう安心です。


右下に離れ眼。
中央左の薄茶色の部分に離れ眼。
その離れ眼の右隣りに細いウンチがありますが、
その上に、更に小さな離れ眼が居ます。
親が歩く足元に、あちこちでピンピンとはねている稚エビが確認できました。
これくらい殖えてくれると、数年間安心です。
一時期、3匹にまで減るという危機的状況になりましたが、
8年もの間、途切れることなく、小さな水槽で繁殖し続けています。


稚エビと言って良いような大きさの半浮遊状態の個体や、


まだアオミドロに依存しているような個体など、
様々な大きさの子供たちが居ます。


アオミドロに掴まって、この表面をくるくる回りながら採餌している状態を観察した事もあります。
アオミドロの存在が重要である可能性もなくもないです。
浮遊している期間が長めの個体群でも、食事は浮遊飼料には依存していないのかもしれません。

 

●ヌカエビの飼い方 ―ここ数年のヌカエビの飼育環境―

水槽:36cm規格水槽。
脱走対策:したほうが万全と思いますが、していません。フタ無しでも脱走ゼロです。
濾過装置:ダブルブリラント1基。(詰まり易いエアー注入部分のパーツは水道用L字部品で改造←必須)
濾材の洗浄:ほぼゼロ。あまりにガポゴポ言い始めたらします。
エアー量:普通。
水温:屋内常温。ヒーター不使用。置き場所は北向きのステンレスの流しの上。
照明:植物育成・観賞用NECビオルックス15Wを半分。(水槽を2つ並べている為)
照射時間:7時間半(タイマー制御)
底床:なし
水草:マツモを上層一層程度。アオミドロが発生中。
添加剤・抱卵を確認したらフローラプライドを規定量かやや多め。
飼育頭数:30〜50(推定)
同居生物:なし。単種飼育。
水換え:年に3〜4回。3分の1程度。ハイポでカルキ抜きした溜め水。
餌:キョーリンのザリガニの餌5〜6粒を一日1〜2回。モミジの落ち葉を5〜6枚入れてあります。
注意事項:暑さに弱いので、避暑対策が重要。
南向きでは夏に全滅する可能性が高いです。北向きの風通しの良い場所へ避暑します。
台所やトイレの隅など、邪魔にならない涼しい場所を探して周年飼うと元気に過ごします。
塩素の残った水道水にも弱いです。日陰で汲み置いてもカルキは抜けない場合が多いですから、
必ずハイポは使って置きます。(日向水の場合は、水温が上がっているので充分に冷ます必要があります)

 

●ブレの大きいヌカエビ情報

死んでも数が減らないヌカエビ水槽の不思議に気が付いたのが7年ほど前。
「ヌカエビは小卵型で、ゾエアの育成には海水が必要で、育成は極めて困難」というのが一般的に見掛ける情報でした。
よくよく調べてみると、中卵型である事が判明。水槽で殖えるのは当たり前でした。
その後「ヌマエビとヌカエビは亜種で見分けは困難」という有名な一文も、砕けてしまいました。
「ヌマエビには大卵型と小卵型が存在する」という常識も誤りである事が判明。
亜種相手とされたヌマエビは、商品名の“ミゾレヌマエビ”でしたし、
ヌマエビ大卵型は、この世に存在しないエビでした。
現在も「小卵型で、ヌマエビの亜種で、見分けは困難。眼より後ろに棘が・・・」といった情報は常識として流れ続けています。
自分の情報の誤まりだったら、真っ青になって卒倒しそうな情報が、至極当然の如くさらりと書いてあります。
その一方で、“ヌカエビ”という亜種名が消え、“ヌマエビ”という商品名で休耕田での養殖が行なわれていたりもします。
これは最も先進的な部分で、“ヌマエビ北部−中部群”という呼び名の“ヌマエビ”だけを切り取った商品名です。
一種類のエビの情報なのですが、物凄い振れ幅で、実に賑やかです。
情報にブレがあり過ぎて、初心者の方には理解し難い種類になってしまっています。
参照⇒【ヌマエビの混乱】読んでも益々混乱かも?下手に勉強せずに実物を見れば、2種類でしかないのです。
参照⇒【ヌカエビ】ヌカエビのまとめはこちら


古くから“ミゾレヌマエビ”として飼われているヌマエビ南部群(旧ヌマエビ小卵型)。
ヌカエビの亜種にしては綺麗過ぎでしたが、事実、別種でした。
この南部群と同じ額角の特徴を持ったヌカエビ達が旧ヌマエビ大卵型。
模様や性格、生態など“生きたエビ”に関心が薄く、
額角の棘などの“拡大したエビの死骸”の特徴にのみ重点を置いた場合にのみ、旧大卵型と旧小卵型が同種になり、
旧大卵型と旧ヌカエビが互いに繁殖可能な為に旧小卵型も含め亜種とされてしまったようです。
生き物なのに、生きた姿に中心がない世界ならではの現象で、アクアリストには縁のない混乱と思います。
もう少しでも中心が生きた姿、生きた模様、生きた性格にあったなら、
「ヌマエビとヌカエビは亜種で・・・・」という文章は生まれなかったと思います。

旧ヌマエビ大卵型は旧ヌカエビと同種ですから、
Web上では、一般的にはヌカエビとして処理され、特殊性を強調される事はないと思います。
白化したアルコール浸け標本だと旧ヌマエビ小卵型と同種の産卵形態違いとされただけ。
模様などの生時の特徴を一切参考にしない分類研究の上に生まれた幻の存在。
生きた状態では、ヌカエビそのものだと思います。
(←模様と卵を悪戯書き)
つまり、こんなエビは居ない。
体色が商品名の“ミゾレヌマエビ”で、
こんな大きな卵を産むエビが居たら、とっくに人気者。

 

●旧ヌマエビ大卵型リンク

東海・山陰・琵琶湖周辺など西日本の本州に生息する、
額角上の棘が眼よりも後ろの頭の上にまで生えているヌカエビ。
その特徴である「頭の上のトゲトゲ」を写された画像は未見。
スジエビとの混同や、ミナミヌマエビとの誤認などで、なかなか表舞台に登場しない印象。(地味ですから)
西日本で「ヌマエビ」とだけ表記されているエビには別種の2種類が含まれているはず。
“商品名ミゾレヌマエビ”ではない地味な側が旧ヌマエビ大卵型(現在は旧ヌカエビと同種。ヌマエビ北部−中部群)。

京都府産
http://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/bio/db/cru0003.html
模様からすれば北部-中部群。
頭のアップが見たいところです。眼より後ろに棘があるはずと思います。
それがある為に、ヌマエビ側に分類されているのだと思います。
http://www.pref.kyoto.jp/kankyo_red/1219910655498.html
ヌマエビが淡水繁殖であるという認識からも、南部群でもなくヌカエビという形態でもないことが解かる。

琵琶湖産
http://blog.goo.ne.jp/ryu-oumi/e/19233f81231914220a873f49b82245e7
2枚目3枚目の写真には毛束(第一・第二胸脚のハサミ部分に生える毛の束)が有る様に見えます。
琵琶湖産ヌカエビ(ヌマエビ北部−中部群)には、眼窟より後ろの頭に棘があると思います。

 

おすすめリンク

番匠おさかな館の図鑑・エビ
http://rs-yayoi.com/osakanakan/zukan/shrimpcrub/shrimptop.htm
九州には旧ヌカエビあるいは旧ヌマエビ大卵型は生息していないのかもしれません。
掲載されていません。
※このサイトに感じた要注意点
1、あくまでも九州大分県に生息するエビの情報です。
2.ヌマエビと書かれているのは、現在のヌマエビ南部群(旧ヌマエビ小卵型)。
3.ヌマエビ北部−中部群(旧ヌカエビ、旧ヌマエビ大卵型)は載っていません。
4.全国に定着しつつある外来シナヌマエビ類も載っていません。

琉球淡水エビ
http://www.h2.dion.ne.jp/~karo/
勿論、琉球列島にも居ません。

 

2009/07/07


2009/07/09 更新


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