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ヌマエビ・ギャラリー02
(ミゾレヌマエビと混同されることが多い「ヌマエビ南部群」らしいエビ)



採集から丸二年を経過した「ヌマエビ南部群」と思われる個体。
その後、何度か同じ場所で採集を試みていますが、なかなか捕れず、
この一匹のみが長々と生きています。
早いと半年待たずに死んでしまう事も多い亜種のヌカエビとは寿命に随分な差があります。
動作も機敏で、人影などにも敏感。ヌカエビとは性格もだいぶ違うようです。

ヌカエビの目。
飛び出し加減がやや強い。
ヌカエビはおっとり、ふわふわしたエビです。


目より後ろの頭の上にトゲトゲが有るのがヌマエビ。無いのがヌカエビとされています。
間違いなく目より後ろにトゲトゲが有ります。
ヌマエビ属には眼上棘という特有の棘があるそうですが、
確認できていません。
胸脚の付け根に小さな外肢と思われるものが見られます。
体にある茶色の斑点は、さらに小さな丸い点の集まりで出来ていました。

ヌカエビの頭部。目の上や頭は見事につるつるです。


この個体は触角の長さ、脚の長さ、そして卵巣を発達させた事がないなどから、
間違いなく雄だと思います。
以前から一匹だけ同居しているシナヌマエビ類の雑種の雌がいるのですが、
このシナヌマエビが脱皮をすると、しばしば一緒に舞っています。
(もちろんシナヌマエビ・ミックスの雌が抱卵する事はありません)

ヌマエビはヌカエビとは亜種レベル程度の違いであるそうなので、
最近、ヌカエビの雌を一匹同居させてみました。(写真右側)
これでヌカエビが抱卵して孵化したら、亜種レベルかと思いますが、
しなかった場合は別種化しているのかも。

 

存在のうすい大親分

web上のヌマエビに関しての情報は非常に少ないです。
「ヌマエビ類」の本家本元。無駄な字が一つも付かない大親分なのですが、
それが逆にあだとなって、ヤマトヌマエビ、ミナミヌマエビら、
子分達の名前の中に埋もれてしまい、存在感がまるっきりありません。
検索でそれら子分らの文字列をはじいても、
テナガエビ・スジエビ・ヌマエビ類。という分け方に使われている程度という始末。
川エビの中の手の短いエビの総称として「ヌマエビ」が使われている場合も多く、
大親分のみの情報に行き着く事がほとんどないのです。

ヌマエビを飼っていると思しきサイトを覗いても、
写真のエビはヤマトヌマエビだったり、ミナミヌマエビだったりします。
タイリクバラタナゴしか飼っていなければ「タナゴ」と呼びますし、
シマドジョウしか飼っていなければ「ドジョウ」と省略して呼ぶのは普通なので仕方はありません。
そこで、種類としてのタナゴやドジョウには「マ」を付けて、
「マタナゴ」「マドジョウ」と呼ぶような慣例があります。
ドジョウの場合は本家本元が最も有名なので、ドジョウと大親分は同一である事が多いですが、
ヌマエビの場合は、総称の度合いが高過ぎて、一種類の種名としての意味がほとんどないのですね。
正直“ホンヌマエビ”とか“マヌマエビ”に名前を改めてくれないだろうかと思ってしまいます。
(幸い“ホンヌマエビ”“マヌマエビ”というエビは居ない様だ。マヌマエビはちょっと間抜けな響きですが^^)

そして、“ヌマエビ”の情報が少ない最も大きな理由は、やはり“ミゾレヌマエビ”との混同でしょう。
私が知る限りでは二十年以上もミゾレヌマエビといえばヌマエビ南部群です。
ショップで見るミゾレ、雑誌で見るミゾレ、全て南部群です。
その強力な浸透力によって、本当のヌマエビを見ても“ミゾレヌマエビ”と、
されてしまう事が多いのだと思います。(しかも、生息分布もほとんど一緒)
※余程マニアックなお店でもない限り、本物ミゾレヌマエビを売っている事はないかと思います。
インターネットを覗かなければ御目に掛かれない、そんなエビです。

http://www2.fish-u.ac.jp/LAIZ/topics/tansui/tansui1.html
こちらのページにあるミゾレヌマエビとヌマエビの写真。
何にも知らない人に「ミゾレヌマエビはどっちだと思いますか?」と聞いたら、
まず間違いなくヌマエビの写真を指差すと思います。
個人的にもミゾレヌマエビに「霙」を感じさせてくれる画像というものには出会った事がないですし、
赤い霙模様というのも可笑しな話。霙は雪と雨の中間。白い点が無数に入った姿しか想像できません。
ミゾレヌマエビの特徴に関しての記述には、名前に無理に合わせているような節さえ感じます。
(他に名前の由来があるのかもしれませんが)

関連⇒【二種類あるミゾレヌマエビ

他のエビの名前に埋もれ、総称という意味に埋もれ、そしてミゾレヌマエビと誤認される。
これではなかなか表舞台に出て来れないのは当然といえば当然です。

マヌマエビ(使ってみる^^)は、ミナミヌマエビと同様な大卵型が存在するという話や、
ヌマエビとヌカエビの両亜種は交雑するのかどうかや、
そして「南部群」などという正体不明の一群があったりと、
表舞台に出ていない分、まだまだ謎が多く残されていて、
今後、深めて行くと非常に面白いエビだと思うのですが、
「マヌマ飼い」という飼育ジャンルが確立するには障害が多いのかもしれません。

 

ヌマエビとミゾレヌマエビの見分け方を作ってみました

ミゾレヌマエビとの混同からヌマエビを少しでも抜き出そうと、
【ミゾレヌマエビとヌマエビの見分け方】を作ってみました。
ヌマエビ類の総元締めが「マヌマエビ」と呼ぶ必要があるほどに、
自分の名前で、単独で表舞台に立つ日が来ると嬉しいのですが。。。
“ミゾレヌマエビ”、“キャメルシュリンプ”として、その美しさはすでに実証されていますから、
あとは、「ああ、あの白点の綺麗なエビはヌマエビだったんだ」という所だけですけど。


ヌマエビ(南部群とも呼ばれている透明タイプ)の模様に規則性を発見する事が出来ました。
これさえ分かれば、もうミゾレヌマエビ問題は恐くありません。

詳しくはこちらで⇒【ミゾレヌマエビとヌマエビの見分け方new !2006/02/26

 

2006/02/26

 

参照リンク

市販のミゾレヌマエビはヌマエビ南部群
http://www.interq.or.jp/jazz/rhinoda/aqua/ebi2.html
商品名“ミゾレヌマエビ”はヌマエビ南部群である事が眼上棘で確認されています。

対馬のヌマエビ南部群
http://homepage3.nifty.com/sencyo/ebi/T1zoea.html
こちらも眼上棘で確認済み

 

 


※追記(2007・03・25)
ヌマエビ大卵型、ヌマエビ小卵型、ヌカエビ、ヌマエビ南部群と、
ヌマエビ属に混乱した印象がありましたが、
遺伝学的な分類がなされているようで、
すでにスッキリしていたようです。
⇒【ヌマエビ・ヌカエビの新事情


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