ロックシュリンプの「命綱」。第一・第二胸脚の拡大写真です。
多数の関節でできた、精巧で非常に複雑な構造です。
造形美、機能美といったものを感じます。
二つに分かれた扇のかなめの部分を納める蓋があるのがわかります。
閉じた状態と閉じかけの状態。
閉じると、毛束もキュッと細く閉まります。
この後、口に持っていき、梳いて、付着した有機物を食べる行動が見られます。
しかし、各パーツをつなぐ関節の部分のか弱いつくりには驚いてしまいます。
すぐにポロっと取れてしまいそうです。
脱皮の際には、この複雑な構造を全部脱ぐ訳ですが、
一度、四本とも上手く脱げずに完全に腕を無くした事がありました。
参照⇒【胸脚を全部失ってしまった場合】
脱皮殻の同じ部分です。
一本一本の毛、腕の各パーツ、
一つも残さずに見事に脱いでいます。
これだけ複雑だと、この部分の脱皮失敗が
一番多そうに思えます。
畳んだ茶筅を蓋の中に納めると、先端部分への上からの攻撃には強くなります。
ロックシュリンプに限らず、ヌマエビ類は
太くて長い第三胸脚を使って上から打撃を加えるという闘い方をしますが、
その時に、この大事な第一・第二胸脚は顎の下にきっちりと畳んで保護します。
万が一、相手の爪先がこの蓋の部分に当たっても、
華奢な先端部分の関節などへのダメージは受けなくなるのが予想できます。
この写真は比較の為のミゾレヌマエビ(本物)の毛束です。
右上に開いているのが第二胸脚で、
その先端にはロックシュリンプ同様に毛がいっぱい生えています。
ロックシュリンプの茶筅のような構造は、特殊である事が強調されますが、
こうして見ると他のヌマエビ類とも造りはほとんど一緒です。
参照⇒【シナヌマエビ類の毛束】
参照⇒【レッドビーシュリンプの胸脚】
ミゾレヌマエビなど、小型のヌマエビ類は、
これを流れに向けて流下してきた有機物を濾し取る行動はしません。
ロックシュリンプは面積が大きいからこそ使用して元が取れるわけですが、
体が大きくなったのが先か、この行動が先で体が大きくなったのか
どちらが先なのか不思議な部分です。
2007/08/03 岩
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