別個に大きくなっていた脚ですが、
たった一回の脱皮で劇的に大きくなりました。
ややピンク色で初々しい脚です。
隣の足と大差ない程度ですが、それでも第一歩脚。
もう大きさ・太さで圧倒しています。
オスはこの太い脚で闘い、メスを独占するかたちで繁殖しますから、
この太い脚を失うという事は子孫を残すのに極めて不利になります。
驚きのスピードでの再生にはそんな過酷な歴史があるのかなという気もします。
抜け殻を見てみると新しく生えていた脚の殻がありません。
赤く縁取られた自切の切り口だけが良く見えます。
レッドチェリー水槽の歩留まりが悪い時期に稚エビを5、6匹入れておいたものが、
ロックシュリンプ用の置き餌を食べて少々殖え過ぎている状態なのですが、
彼らがその皮だけを食べてしまったのでしょうか。
あるいは、別個に脱いでいるのでしょうか。
抜け殻を背中側から見てみました。
殻の中を覗いてみると、ありました。
靴下をあわてて脱いだように、
裏返しになって巻き込まれていました。
薄くて柔らかい表皮なのでしょう。
脱皮する過程の中で、裏返りながら脱げていったようです。
奥の元からある脚とは随分とアンバランスですが
普通に使って歩いています。
しかし、脱皮する前とは、脚の大きさにかなりな変化があります。
袋に入っている状態では圧縮されて小さく縮んでいるものが、
体液によって一気に膨らんだという印象です。
袋に入った脚の写真の大きさからすれば、
隣の脚よりも相当に小さいはずですが、
予想より遥かに大きな脚が再生されたことには驚きです。
こんなに簡単に元に戻っていくというのには呆れるばかりです。
この分だと、次の次くらいの脱皮で、ほとんど区別がつかない程度の
大きさに回復してしまいそうです。
一つ疑問なのは、脚が脱落した時期と、脱皮周期との関係。
今回の場合は、自切から44日という期間での脱皮でしたから、
脚が再生するのに充分な時間がありました。
しかし、エビは特に体に欠損がなくとも脱皮は訪れますから、
脱皮して間もない時期に自切してしまった場合と、
脱皮周期の半分経過時点で自切した場合では、
脱皮までに再生できる大きさが違ってしまう事になります。
つまり、もう少し遅く自切事件が起きていたら、
今回の半分程度の大きさの脚になっていたかもしれないのです。
(あまりに脱皮が近い状態では自切しないか、
取れてしまった場合に体液の流出がおさまらずに死亡しそうですが)
まあ、今後は自切しないように注意していくことになると思うので
脱皮周期のどの時点で取れてしまった場合にどうなるのか、
あるいは、脱皮周期を伸ばして再生を先に達成するのかといった
別の事例はなかなか観察できそうにありません。
解けない疑問になりそうです。
2007/05/31 岩
参照⇒テナガエビの再生
【総合目次に戻る】