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ロックシュリンプ・ギャラリー〜08
オスの脱皮も守るオス



腹肢も開いて、背中も覗いているオスのロックシュリンプを発見。
こうなると脱皮はすぐです。


脱皮が開始された所に、もう一匹の雄が接近してきました。(下の黒い個体)
ふだん雄同士が出会うと、どちらかが必ず腕で一発殴る素振りをしますが、
(やや儀式化し、力強く脅かした方の勝ちといった程度です。ほぼ大きい個体の勝ち)
この時は攻撃しようとしません。
それどころか、頭を左右に小刻みに振る「求愛行動」を雄の横腹あたりでしています。


うにょ〜んと脱皮のクライマックスになりました。
下の雄は右になり左になりしながら、完全に心奪われています。
爪でちょっかいを出して傷つけるような事もありません。
普段の仲の良いとは言えない雄同士の関係からは、考えられない行動。


ぴょんと飛び出して、脱皮終了です。
下の雄は脱皮が終わるまで、じーっと見守り続けています。


まだ守ってます。


やっぱ、ついて行くんですか(^^;

※このあとの詳細は不明。
女性だと思っていた人が実は男性だったと気付いたら・・・、
その時には、すでに甲羅は固いのかも。

ヌマエビ類を飼っていると、けっこう雄個体の脱皮で「抱卵の舞」が起こったりしますが、
ロックシュリンプも例外ではなさそうです。
この「勘違い」。ロックシュリンプでは雄同士の生存に大きな利益があるように感じます。

ロックシュリンプはテナガエビやスジエビのような肉食性のエビではないですから、
脱皮に際して、共食いの心配は一切無いですが、
雄のロックシュリンプの大きな腕は、かなりな攻撃力を持っています。
仲が良いとは言えない雄同士ですから、
これで無防備な時間に攻撃されたら...という心配は若干ありました。

ロックシュリンプは雄同士が接触した場合、ほぼ必ず、大きな腕を使って相手を排除する行動をします。
かなり力強く腕を振り下ろしますから、逃げる弱い側もけっこう真剣に飛び退きます。
普段の甲羅の固い雄同士であれば、大きな怪我を負う事はまずありませんが、
脱皮中や脱皮直後では致命傷になりかねないものがあります。
しかし脱皮中に殺された、あるいは傷付けられた個体を見た事はありませんでした。

今回の観察から、この脱皮中の雄の安全が保たれる理由には、
雄同士の「勘違い」が大きく作用している可能性も出て来ます。
この勘違いがあると、
1.脱皮中の柔らかくて無防備な時期に、同種の雄に攻撃されない。
2.雌だと勘違いしている雄は、雌に対して行なうような保護行動を少なからずとるはず。
すると、天敵の魚や肉食性のエビなどからの攻撃を幾分排除でき、更なる脱皮中の安全が保たれる。
というメリットがあります。
つまり、仲間の雄からの攻撃も無くし、天敵からの攻撃も防ぐ役割が、
「勘違い」や「誤認」をベースに成立している可能性があるわけです。
脱皮に際して発散されるフェロモンのような物質が、
「男臭さ」を消してしまい、
決闘よりも生殖を優先する機構に作用して、うまいこと行ってる感じです。

雄同士にとっても、傷付くことなく脱皮が終了できますから、
勘違いし続ける方が生存に有利に働いている可能性は大いに有りそうです。
飼育者にとっても、「共食い」という文字を頭から排除できる有り難いルールの持ち主です。
もちろん勘違いですから、雄を守ろうと思っている訳ではなく、副次的な作用でしょうけれども、
この「弱っている時は、お互い様」な効果を持つ行為、
生態系で生き残るためには、けっこう効き目があるのかもしれません。
※脱皮する雄が、そばに勘違いをしている雄が居るのを認識している場合に、
一匹のみで脱皮する際に行なった脱皮前の安全確認を怠るならば、
これは「勘違い」ではなく、かなり「意識的」となりますが。


でも、すぐ隣りで本当の雌が脱皮しようとしていたら、、、、、
やはり、雄がほったらかされるんでしょうね。

 

2004/09/16 


【関連】⇒ロックシュリンプのガーディング〜雄の腕が太くて長い理由〜

【参照】⇒ロックシュリンプ雌の脱皮

 

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