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スジエビ 再び亜成体化した♀


梅雨前に抱卵体形となって、雄との交接に失敗し、脱卵した雌。⇒こちら
その後、雄との生活を続けさせましたが、産卵せずに繁殖期を終えました。
夏の暑い時期は繁殖しないのか、完全に亜成体状態に戻っています。

この個体は、過去の飼育個体の中ではナンバーワンの雄っぽい雌ですが、
あの、抱卵期独特の、
ノハ\
こんな模様が完全に消失。産室も完全に窄みました。


こういう体形だったのが嘘のようです。
もっとも、テナガエビの雌も、秋口まで産卵を続けた後、
年を越す個体は、同じく産室が窄み、卵巣は発達しません。
それと同様と判断して良さそうです。


幾分、雄よりは太い腹節ですが、模様が消えて、「・・・・」のみになっています。
ただ、前回記したように、少しでも、ノハ\この模様の片鱗があれば雌です。
大きく膨らむ産室は、産卵期以外は無駄ですから、シャープな体形で過ごすようです。
実に合理的です。


矢印の部分に残っていました。
この個体は、相当に模様が見辛い個体です。普通はここまで薄くはならないと思います。


こちらは雄。レッドチェリーの雄多数と平和に暮らしていましたが、
雌を入れたら、徐々にレッドチェリーの数が・・・・・。
ヌマエビ類との混泳では、雄は比較的おとなしく、共食いや捕食も無い印象ですが、
雌は捕食者と思っておいた方が安全です。(雄もこんなハサミではありますが)
産卵期が終わった後だからか、この雄も、特に食われる事もなく暮らしています。
やや小さいですが、盛んにけん制し合って、距離を保っています。
この雄は、この大きさのまま、採集から丸二年生きています。
最低でも二年半〜三年は生きそうです。


男前ですが、雌です。
秋に再び産卵するのか、来年の春まで、この体形で過ごすのかは分かりません。
この個体達は溜め池出身です。
渓流域出身の個体群だと共食いが多く、雄も餌食でしたが、
この雌にはそこまでの攻撃性はない印象。
以前飼っていた渓流域出身の大型の雌は自分と同じほどの魚も次々狩り、
競合する雌達も脱皮ごとに食べ、
結婚相手となる筈の雄も食べてしまい、産卵期を終えたら呆気無く死んでしまいましたが、
この雌にはそういう壮絶な生き方は感じません。
各地各所で様々な生き方があるように感じます。


強そうなハサミは持っていますから、恐いところです。

●スヂヱビLeandcr paucidens(昔の学名のよう)
前回、雌雄の生息範囲が異なるというような話をしましたが、
十和田湖では、水深によって、極端に雌雄の数に差があるそうです。(PDF)
http://www.journalarchive.jst.go.jp/japanese/jnlabstract_ja.php?cdjournal=rikusui1931&cdvol=7&noissue=1&startpage=31
産卵期の雌が深場へ出向くのか、雄が浅場に上がるのか、どちらなのでしょう。

●それにしても、「買うスジエビ」系の情報には、胸の横に、
l
こんな模様を持つ、違和感のある個体群が随分増えました。
「買うミナミヌマエビ」にも多く混ざっているようです。(採集もされる印象)
逆さハの字の開きが狭く、真ん中に縦線が一本あります。風貌も違います。
そして、直接発生的な大卵型で水槽でも簡単に殖えてしまうという特徴があるようです。
スジエビとどういう類縁関係なのか、元々在来の一種なのか、外来の別種なのか、全く分かりません。
普通に「スジエビ」と呼ばれている奇妙なエビです。

 

2010/08/31


 


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