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スジエビの眼
極端に細い付け根



淡水エビは、どのエビも「出眼」であるのは間違いなく、眼がへこんでいる種類は居ませんが、
一際出目なのが、旧ヌカエビと、このスジエビです。
ヌカエビは小さいので、出眼かどうかを意識される事もありませんが、
スジエビは大きいので、眼の出っ張り具合が特徴としてよく知られています。


見事な離れ眼です。

比較参照画像『ヌカエビの眼』

ヌカエビも顔を大きく拡大すると、スジエビと肩を並べる「出眼」です。
実物大だと、眼が出ているとも思われないほどの小さなエビですから、
ふつうヌカエビが出眼であるという認識には至らず、
とつぜんこのような画像を見せられると「スジエビだ!」という認識に成り易いようです。
この2種類の見分けには注意が必要と思います。


そんなスジエビの眼を上から見てみました。
ほぼ真横の離れ眼なのは旧ヌカエビと共通。
スジエビはテナガエビ科、ヌカエビはヌマエビ科ですが、
どちらも、腰がカクカク曲がっていて、透明で、眼が出っ張っている種類です。
(手の長さや模様、性格などはまるっきり違いますが⇒【スジエビとヌカエビの見分け方】)


肉眼でここまで見る事はまずないですね。
眼の付け根が非常に細いのがよく分かります。
眼球の大きさとの差が極端です。
ヌカエビだと眼上棘が見えるのですが、眼上棘はありません。


ポキッと折れて、ポロンと転がってしまいそうな眼です。
眼球にいびつな形を感じる事はなく、素直に丸いようです。
ミナミテナガエビやテナガエビのように、眼を上向きに立たせる事も特にないようで、
スジエビといえば、こんな真横の離れ眼です。


留まっている姿勢によって、眼の角度が変わるのは、
ヌカエビやテナガエビと一緒の様です。

 

◆サイト内参照リンク

生きたエビの通常の生活のなかで見られる「眼の角度」、あるいは「眼の柄の長さ・太さ」などは、
種類を識別するのに極めて有効な判断材料になります。
標本や死骸では、おそらく全てが前向きに倒れていて参考にできない部分かもしれませんが、
生きたエビでは明確な違いが出ます。
エビの眼は、種類判別の参考に大いに使うべき箇所です。

シナヌマエビ類の眼の付け根
ミナミヌマエビとして市販されるシナヌマエビ類、レッドチェリーシュリンプなどは、眼の付け根が太いです。
斜め前を向いている事も顕著です。
ヌカエビの眼との比較も。(色合いが似ていますが、眼の角度のみでも“秒殺”の域でしょう)

ヤマトヌマエビの眼
極端に短くて太い。

ミナミテナガエビの眼
スジエビと混同される場合も多いと思いますが、立ち眼で離れも少ない。
眼球の形もいびつで大きいです。

テナガエビの眼
スジエビとよく似ています。やや立ち眼です。


小さいのであまり気がつかれないようで、
写真で拡大されると、途端に「出目だからスジエビ!」とされてしまう旧ヌカエビ。
スジエビの別名だと思われている事すらあります。
ヌマエビ科なので、ハサミ脚は短いです。(スジエビはテナガエビ科)
ヌカエビの眼1
スジエビと混同される率が極めて高いエビ。
拡大すると眼上棘が見えます。(肉眼ではまず無理)
ヌカエビの眼2
スジエビと同等の飛び出し具合ですが、付け根はスジエビほど細くない印象。

ミゾレヌマエビの眼
水平よりはやや前向きで、眼柄は太い。
ヌカエビとの比較も。

スジエビの範囲
ありとあらゆる種類のエビが「スジエビ」で終結するという不思議な慣習が繰り返されるのをよく見掛けます。
スジエビは極めて見分け易い特徴を持ったエビですから、
少しでもスジエビかどうかで悩んだ場合は、まず別のエビである可能性が高いと思います。
スジエビはスジエビでしかありません。迷う要素は持っていません。

 

 

スジエビ・おすすめリンク

スジエビ
http://www.geocities.co.jp/Outdoors/7766/kawaebi/ebisyurui/P.pausidens.html【kenken‘s HP】
河川産と湖沼産の模様の違いなどについて書かれています。

琵琶湖のスジエビ
http://www.lberi.jp/root/jp/31kankou/3112news/omia/06/bkjhOmia6-4.htm【オウミア6】
各地の卵径の違いの比較などのデータが豊富。

芦田川産スジエビの成長と寿命
http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00023485
死滅期を仮定した場合の推測といった感じなのかもしれません。
実飼育記録ではなさそう。

番匠おさかな館の図鑑・エビ
http://rs-yayoi.com/osakanakan/zukan/shrimpcrub/shrimptop.htm
生きたエビの見分けに便利なページです。
※このサイトに感じた要注意点
1、あくまでも九州大分県に生息するエビの情報です。
2.ヌマエビと書かれているのは、現在のヌマエビ南部群(旧ヌマエビ小卵型)。
3.ヌマエビ北部−中部群(旧ヌカエビ、旧ヌマエビ大卵型)は載っていません。
4.全国に定着しつつある外来シナヌマエビ類も載っていません。

 

2009/09/11


2009/09/18 写真追加


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