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スジエビのしっぽ
尻尾の先の四つの黒斑


スジエビは、淡水エビの中でも最も見分け易い種類だと思います。
ですが、不思議な事に、ヌマエビ科を含む他種との混乱に必ず名前が挙がるという落差を抱えます。
これは「模様を見ない・使わない」というエビ界の古くからの因習によるものであろうと思われ、
透明度や背の曲がり具合といった「エビの共通点」で見分けようとすることにより、
本来ならば並ぶべくもないヌマエビ科各種とも同列に並ばされるからではないかと思われます。
「スジエビ」と称されるくらいですから、模様を見てさえいれば、混同は簡単に防げます。
模様以外でも独自性の高い特徴に事欠きませんので、
素直な観察に後退を生むような先入観を植え付けられていなければ、まず種類を見間違えるという心配は要りません。
(この見分け易いエビが初心者一般の方々の混迷の渦中にあり続けている事が、
そもそも、既存の識別方法の不備そのものに思えます。
真っ先に「スジエビではない」とされるべきところが、「スジエビ」で終結を見てしまうのですから、途方もない落差です)


水槽で飼う場合は、横から見る場合が多いので、
以下のような特徴を見て識別するのが簡単だと思います。
この写真にはスジエビの特徴がよく写っているので、見比べてみて下さい。
1.第一触角(鼻先のヒゲ)の上二本が白い。⇒【触角1】【触角2】※必ず白いわけではありません
2.額角(眼と眼の間にあるツノ)のギザギザが5個程度と粗い。⇒【長い手が無くてもテナガエビ科
3.眼の柄が長くて、眼が飛び出した印象が強く、左右がかなり離れ眼になっている。⇒【スジエビの眼1】【スジエビの眼2

4.テナガエビ科特有の長いハサミ脚を持つ。⇒【スジエビのハサミ脚
5.手脚の関節が黄色い(橙色の場合も)。【スジエビの指節
6.胸の横に「逆さハの字」模様がある。⇒【スジエビの見分け方

7.腰の一番出っ張った部分に腹の下まで届く黒い筋が一本通る。⇒【スジエビの模様】【スジエビの模様2
8.尾扇の付け根にも黒い輪っかがある。⇒【スジエビの模様

そして、上から見た場合には、もう一つ簡単な見分け箇所があります。
9.尻尾の先に4つの黒い班点がある。
という部分です。

採集したバケツなどを上から覗いた場合は最も目立つ場所だと思います。
眼が横へ出っ張っていて、腰の部分に黒い帯があり、尻尾に4つの黒班があればまずスジエビでしょう。
スジエビはヒゲの先から尻尾の先まで、どこをみても「スジエビ!」と判るエビという事になると思います。
各部品だけではなかなか見分けられない種類が多いエビの中でも、スジエビは目立って分かり易いです。
体が全部「スジエビらしいパーツ」で構成されています。


スジエビを横から見ても、この尻尾の先の4つの斑点はあまり目立ちませんので、
水槽で観察した場合には、あまり注目されない部分かもしれません。
実際、写真に収めるのも難しいです。


右側の、腰の部分の黒く長いスジ。
そして、尾扇の付け根にある黒いスジ。
そこに、この尻尾の先の4つの黒点を加えると、
スジエビの見分けはさらに揺るぎなくなると思います。
水槽だと、平たい尻尾を横から見る事が多いと思いますので、
なかなか明瞭な斑点を見にくいかもしれませんが、
エビがガラスに沿って泳ぎ上がっている時などにチェックするとよいと思います。


尻尾の先、一枚一枚のひれ(尾肢)の先端に、黒い模様が入っています。
右側の付け根の黒い部分とセットで憶えておくと便利と思います。
他種で、こういうセットの種類は記憶にないです。


扇の要にある黒い輪っか状の模様と、この4つの黒い斑点。
この位置関係を憶えておけば、スジエビを見分けることは、より簡単になると思います。
白いバケツなどであれば採集地で簡単に区別できると思います。
テナガエビの子エビ若エビとの見分けも容易です。
手をバンザイして泳ぎ回っていればテナガエビ科ですが、
さらに、尻尾に四つの黒い点があればスジエビと判断できます。
ヌマエビ南部群(商品名のミゾレヌマエビ)にも尻尾に似たような模様がありますが、
こちらはヌマエビ科なので、バンザイしませんし、そもそも小さいです。
胸の横には「ミ」のような斜めの模様が流れます。


元祖ビーシュリンプの尾っぽにある四つの白点。
スジエビと似たような位置にあります。
(ビーシュリンプはヌマエビ科)
観賞用のエビは模様が重視され、
似た他種との区別もきちんとされます。
ニュービーシュリンプはすぐ区別されます。
模様を見なければ、形はたぶん一緒に見えるはずですが、模様で区別されています。
それとまったく同じ視点で日本産淡水エビも見ればよいだけです。
日本産淡水エビの中でも、ヤマトヌマエビは古くから観賞対象にある為、
ふつうに模様で区別されています。
他の種類も、同様に見ればよいだけです。


しっぽの表。
よく見ると、先以外にも小さな5個の班点があります。


しっぽの裏。


付け根の黒い輪っかと、先端の黒い4つの斑点です。
スジエビは、見分け易く、きちんと見分ければ間違う確率は極めて低いですが、
そこにこの特徴を加えれば、さらに見分け度アップです。
スジエビの混同を防ぐには、「スジエビは透明なエビ」という思い込みをしない事です。
「スジエビは模様の多いエビ」という認識に改めると良いと思います。
ヌカエビやミゾレヌマエビと並ばされるはずのない「スジだらけ・模様だらけエビ」です。
(それ以前にスジエビはテナガエビ科なのでハサミ脚が長いですが)


どんなエビも模様を見なければ、形は一緒でしょう。
遠目からでは、ヌカエビなのかミゾレヌマエビなのか、
ミナミヌマエビなのか、テナガエビの子エビなのかすら分からないのが普通です。
模様を見ないから、スジエビでさえ同列に並ばされることになるのです。


模様を見れば遠くからでも一瞬で分かります。

◆参照⇒【スジエビの範囲
「スジエビ」として、これら多くのエビが混同されて語られている公算が高いです。
日本の淡水エビのほとんどの種類が、透明で腰が曲がっているエビです。(眼も出ています)
体の形で見るよりも、種類独自の模様の違いを見るようにすると良いです。
おとなしいミゾレヌマエビやヌマエビ南部群をスジエビとして過剰に恐れたり、
テナガエビをスジエビとして飼って、大事な魚や他のエビを食べられたりしないように、
胸の横の模様のチェックは欠かさないよう留意したほうが賢明です。

◆参照⇒【スジエビの見分け方
スジエビはテナガエビ科。
ハサミ脚の長さや、模様、性格など、全てがヌマエビ科とは異なります。
横から見た姿形はそっくりですが、細かく見て行けば違いは解かると思います。
日本産淡水エビを見分ける場合に、やたらと額角が重要視され、
テナガエビ科とヌマエビ科が同列に並ばされているのも問題です。
スジエビがテナガエビ科であるという事すら知られていないために、
ヌマエビ類との混同が生まれるのです。

 

スジエビおすすめリンク

スジエビ
http://www.geocities.co.jp/Outdoors/7766/kawaebi/ebisyurui/P.pausidens.html【kenken‘s HP】
河川産と湖沼産の模様の違いなどについて書かれています。

琵琶湖のスジエビ
http://www.lberi.jp/root/jp/31kankou/3112news/omia/06/bkjhOmia6-4.htm【オウミア6】
各地の卵径の違いの比較などのデータが豊富。

芦田川産スジエビの成長と寿命
http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00023485
死滅期を仮定した場合の推測といった感じなのかもしれません。
実飼育記録ではなさそう。

番匠おさかな館の図鑑・エビ
http://rs-yayoi.com/osakanakan/zukan/shrimpcrub/shrimptop.htm
生きたエビの見分けに便利なページです。

 

2009/09/16


2009/09/17 更新


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