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スジエビ(おそらく淡水繁殖型)
の細かいスジ模様



スジエビには現在の所、2種類存在するそうで、⇒【スジエビは2種類だった
河川下流域に生息し、ゾエアの変態に塩分を必要とするタイプと、
河川上流域に生息し、塩分を必要としないタイプがあるようです。
淡水湖や溜め池に暮らす個体群も、まず間違いなく淡水繁殖型だと思って良いのではないか思います。
淡水繁殖型は小さめで、スジ模様が多く、全体の体色も濃いといった特徴があるようです。
それに対して、河川下流の汽水繁殖型は、
体も大きく、スジ模様が太い部分のみがクッキリ太く、他は透明度が高く、全体にスッキリした色柄であるようです。
この個体は、湖沼の排水路産です。(雄です)
以前に掲載した時よりも⇒【スジエビの模様】、随分と細かいスジ模様が増えました。
河川下流型とも共通と思える「逆さハの字」、腰の一番出っ張った部分に入る一本、
尾節手前の太い黒輪以外の部分にも細かい筋がたくさん入ってきました。


スジエビは好きなエビではありますが、やんちゃな面があるので、多数を飼うのは躊躇します。
特に産卵期の雌の大型個体は「凶暴」という域に入り、
他の生き物の血や肉を自分の卵に変える活動に勤しみますから、
飼い切れなくなるのが通常に思います。(雄や仲間も餌にする)
スジエビの難しい部分は、中途半端な攻撃性にあります。
テナガエビほどに明らかな攻撃性があれば単独飼いになりますが、明らかでない場合があります。
そして、テナガエビほど大きくないので、単独飼いでは水槽が殺風景。あまりにもったいない空間になります。
結局、混泳させたり、複数飼いになります。
するとそこでトラブルが発生します。(しないかもしれません)
トラブルを発生させるのは、まず大型の抱卵メスです。
その点、この雄のスジエビには過去の経験からして、それほどの凶暴性が見られないので、
若干安心して混泳などさせられます。
相手がミゾレヌマエビ(本物)である場合は、まず捕食されませんでした。

ミゾレヌマエビ(本物)

このミゾレヌマエビはテナガエビがたくさん居る下流域に混凄しているので、
肉食型のエビ類からの攻撃から逃れるのにはかなり慣れている様に思えます。
狩りの上手いミナミテナガエビだと食べられてしまいますが、
ヒラテテナガエビだとそれほど減少しません。
スジエビの雄相手では、余裕の身のこなしです。
テナガエビ科のエビの水槽に、ヌマエビ科のエビを数個体飼うのは有効で、
主役の脱皮前後の絶食の際に与えてしまった残り餌の処理や、糞や珪藻類の処理などにも役立ちます。
その役の基本はレッドチェリーシュリンプの雄を使っています。(殖え過ぎて困るので分散させるという側面がありますが)
水質に意外と敏感でよく目立つ種類ですから、主役の死の原因が寿命か事故か判断し易くなります。
(主役のみだと判断しがたいです。未然に防ぐ事もしにくいです)

レッドチェリーシュリンプの雄。

雄のみだと赤味が増し、大型化する。
シナヌマエビ類の中では、かなり水質悪化には弱いので、未然に防止できる効果が大きい種類。
高水温には強いです。

スジエビを他の生き物と飼いたいという場合は、雄を選ぶと比較的トラブルは少ないのではないかと思います。
(あくまで個人的な経験の範囲ですが。地域差の大きい種類である事も考慮しなければならないと思います)
スジエビの雄雌の見分け方は極めて容易で、
抱卵する袴の部分に放射状の4本線があれば雌。なければ雄です。
この放射状の4本線。体形的には雄のようなスマートな個体であっても、
腹の下に有りさえすれば、最終的にはでっぷりした雌に成ります。
そして、個人的に不思議なのは、雄と雌の偏りが大きい場合が多い印象な事です。
偶然かもしれませんが、雄ばっかり捕れる時や場所だったり、
雌ばっかり捕れて雄がたった一匹だったりします。
これは観賞魚コーナーで販売されている場合にも見られた現象でした。
まったく雄が探せない水槽であったり、その逆であったりしました。
雄の性格のほうが弱いので、普段は棲み分けをしている可能性があるのではないかと思ったりします。
あるいは、陸棲のカニと同様に、産卵期の移動のしかたに、雄と雌では違いがあるのかもしれません。
(あるいは寿命や死滅期の違いなのかも)


スジにならない部分には、模様が斑点として存在しています。
隙間がほとんどありません。
体長も大きくならず、小型のスジエビです。
模様や大きさ、採集地からしても河川下流域産のスジエビの型とは違うと思います。


拡大して見ると、さらに小さな小さな班点が無数にあります。
赤い斑点や、太い黒帯の前に白い細帯を形成しているのも分かります。
透明度が少ない理由が、なんとなく分かります。


スジや班点が明らかに多いです。
黒い模様が体を万遍なく覆っています。

 

スジエビの寿命は?

ところで、スジエビの寿命は何年なのでしょう?
過去に飼った個体たちも、それほど長生きした記憶はありません。
ヤマトヌマエビは下手をすると10年以上生きてしまうというエビで、
6〜7年はザラですが、スジエビにはそういった長寿の記憶はありません。
ヌマエビ南部群やヌカエビも3年は生きますが、
それらヌマエビ類よりは明らかに早死にである印象です。
ヒラテテナガエビのように長生きではないのは明らか。
マテナガに近い印象がなくもないですが、
それよりも若干短いくらいが妥当な感じです。(マテナガは雌で2年、雄で3年といった感じ)
比較的短い飼育期間で自然に死んでいる印象で、
現在まで長生きし続けて持て余しているといった個体は居ません。

ざっと検索してみた結果では、
1.約1年(公的な情報に多い)
2.2〜3年
というものが多いです。
しかし、どれも信じるに値するほどの根拠には乏しい印象です。
実飼育記録ではなく推測に近い感じです。
(自然下のスズメやメダカが平均寿命1年といったような情報は個人的には不要。知りたいのは飼育下での最長齢)
エビの寿命については、かなり短めに表記される事が多いのが通例で、
1年という短期には、若干の疑いが生じてしまいます。
逆に、スジエビが3年も生きるという経験は、個人的には一度もありません。
3年というと随分と長いもので、特にトラブルメーカーに成り易いスジエビの3年間の飼育というのは、
かなりな努力と忍耐が必要なのではないかと思いますから、「永かった」という記憶に残り易いはずです。
そう考えると1年半〜2年前後という数字が妥当性を持つように思えますが、
これもあくまで推測です。

このあたりは、前述した通り、スジエビが単独個体で飼われる事が少ないという事が大きそうです。
なにかしらの魚との混泳水槽に飼われるといった感じが多いのではないかと思います。
脱皮時に魚に食べられてしまう事故は、スジエビに限らずエビ類の宿命のようなものです。
魚と飼ってしまうと、そのスジエビの死を寿命とは判断しづらくなります。
スジエビのみを飼ったとしても、複数飼育では脱皮時の共食いなどで寿命を絶たれてしまう可能性が大きいです。
脱走が意外と得意なのもスジエビの特徴で、単独飼育の個体を脱走で干からびさせてしまったことがあります。
水換えの際にも結構水質の変化に反応してグルグルと泳ぎまわったりし、水面へ出る事もしばしばです。
寿命を確認する際には、スポンジで隙間を塞ぐのが欠かせない種類であるのは間違いありません。
そもそも、スジエビ一匹に水槽セットを一つ丸々提供する事が恐らくほとんど無いのではないかとも思います。
一個体として、安全な環境で寿命をまっとう出来るように飼われること自体が少ないのではないかと想像できるのです。

このページの個体に関しては、今よりはやや小さい時に捕獲して、ちょうど一年経っています。
捕獲以前の期間を考えると、現在生後1年半から2年くらいと想像できます。
スジエビに関しては、やんちゃであることで飼育や持ち帰ることに躊躇する事、
そして、水槽の主役にするにはあまりに小さい事で、なかなか、まともに主人公に据えられることがなく、
寿命はおろか、メスが単独でも産卵してしまうかすら知りません。
今までの個人的なスジエビ飼育の基本的な流れは、
オスメスを複数飼い、しばらくはみな元気に揃って餌を食べ、やがて雌雄差ができ、産卵する個体が出現、
一番大きなメスに食べられる個体があらわれ、最終的に大きなメス一匹となり、その個体の死亡で終了。
というものです。
その最後のメスが延々と生き続けるという事はなく、産卵期の終了と共に死んでいたと思います。

(成エビに成るまでの期間)+(繁殖期の終了までの日数)といったあたりが寿命なのではないかと思います。
餌が乏しかったりして、成エビに達するまでの時間が長ければ、その分が寿命の伸びになりそうです。
テナガエビのようにメス単独でも産卵する場合は、疲弊が避けられませんから、鮭のように死ぬと思います。
オスには明確な衰弱理由がないので、テナガエビ同様に、メスより一年くらい長い可能性はあると思います。
こんな感じではないかと予想していますが、真実は、実飼育下の一匹ごとを追ってみるしかなさそうです。
(最も確実なのは、採集した個体ではなく、繁殖させて得られた個体を追うことですね)

 

スジエビはスジエビでしかないとしか言い様がないエビ

◆参照⇒【スジエビの範囲
スジエビはスジエビでしかない模様その他の特徴の持ち主で、他種との混同はまず有り得ませんが、
「淡水エビは模様は参考にならない・使えない」という因習によってか、
こんな分かり易い種類まで混迷の中に放り込まれている様です。
透明度(?)腰の曲がり具合(?)といった模様以外の部分で見分けようと努力してもほぼ無駄だと思います。
そもそも、このスジエビが他種との混同の中心にあるという事実こそ、因習がもたらした異常さそのものです。
スジエビは子エビの頃から、すでにスジエビであって、「スジエビである」か「スジエビではない」という選択肢しかありません。
“五分五分”や、“多分”、“おそらく”という中途半端な判断も存在しない種類と思います。

◆参照⇒【スジエビの見分け方
なぜか、他種との混同の中に必ず名前が出て来るスジエビ。
個人的には、この見分け易さナンバーワンのエビが、混同の渦中に常に列挙される事が不思議なのですが、
現実に、必ず登場し、そして間違えた栄冠を得てしまう事もしばしば。
ずば抜けて見分け易い“秒殺”のエビだと思うのですが・・・・・。
真っ先に「スジエビではない」とされるのが本来の位置です。

 

 

おすすめリンク

スジエビ
http://www.geocities.co.jp/Outdoors/7766/kawaebi/ebisyurui/P.pausidens.html【kenken‘s HP】
河川産と湖沼産の模様の違いなどについて書かれています。

琵琶湖のスジエビ
http://www.lberi.jp/root/jp/31kankou/3112news/omia/06/bkjhOmia6-4.htm【オウミア6】
各地の卵径の違いの比較などのデータが豊富。

芦田川産スジエビの成長と寿命
http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00023485
死滅期を仮定した場合の推測といった感じなのかもしれません。
実飼育記録ではなさそう。

番匠おさかな館の図鑑・エビ
http://rs-yayoi.com/osakanakan/zukan/shrimpcrub/shrimptop.htm
生きたエビの見分けに便利なページです。

 

2009/09/12


 


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