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スジエビの離れ眼、長いハサミ脚



テナガエビ科 スジエビ属 スジエビ。
離れて飛び出た眼と、テナガエビ科らしい長いハサミ脚が特徴です。
もっとも、胸横の「逆さハの字」(凶の漢字にも見える)で見分けてしまうのが安全確実です。
・胸横に「逆さハの字」(“凶”模様)
・細くて長いハサミ脚(第二胸脚)。テナガエビ科の特徴。
・先に感覚毛が生えた器用な第一胸脚(餌探しや体の掃除に大活躍のハサミ脚。テナガエビも共通)
・額角上のギザギザが粗く、5個程度
・手脚の関節にある黄色の斑点(テナガエビも共通)
・腰の山の一番上から腹の下まで通る黒いスジ
・第一触角の鞭状部、上側2本が白、下側2本が黒い場合が多い
・外肢がない
・眼上棘がない
・鰓前棘がある
などなど、見分けるポイントは豊富です。
以下の3点は特徴でもありますが、共通点である事が多いので、参考程度です。
「見分ける」という観点なら使わないほうが良いです。
×腰が曲がっている⇒ヌカエビ、ヌマエビ、ミゾレヌマエビなど、多くの種類と科や属を越えた混同を招く
×体が透明⇒ヌカエビ、ミゾレヌマエビなど、あるいは各種の若いエビとの混同を招く
×目が離れて横に出ている⇒ヌカエビとの混同を招く。(基本、淡水エビは全種出眼)


石の間の餌を探しているスジエビ。
手前に大きなサカマキガイが居ますが、餌を与えていると案外食べられません。
(非常食にはなると思います)
スジエビは顎脚が短く、地面に届きません。
同じく眼が出っ張っているヌカエビは顎脚が長く、
「一番前の歩脚」と思うような位置になります。参照⇒【ヌカエビ
ヌカエビとスジエビは同じ種類の別名だと思われている場合もあります。
しかし、ヌカエビはヌマエビ科ヌマエビ属で、全くの別種です。
ヌカエビは顎脚が地面に届きます。ハサミ脚も短いです。
食性の違いと大きく関わっています。
参照⇒【ヌカエビの外肢など
眼が横に出っ張っていますが、細かく見れば違いは多いです。
スジエビはテナガエビ科、ヌカエビはヌマエビ科です。
手(第一・第二胸脚)の長さや構造が違います。
最初にハサミのついた脚の長さを見れば、まず間違う事はありません。


スジエビはこの様に、4本のハサミ脚で、底の表面をさすりながら前進して、餌を探します。
毎回つまみ上げて口に運ぶ事はしません。
餌を見つけた時のみ餌を口に運びます。
ヌカエビなどのヌマエビ類は、毎回つまんで口に運びます。
餌が無くとも運びます。あっても運びます。
メガネを無くしたかのように「メガネ、メガネ・・・・」とさすっていたらスジエビ。
ツマツマと忙しく一回ずつ口に運び続けていたらヌカエビ(ヌマエビ類は全部同じ行動)です。


離れて出っ張る眼。
短い顎脚。
先に感覚毛がたくさん生えた長い第一胸脚。
テナガエビ科らしく長い第二胸脚。

参照⇒【スジエビの鰓前棘
スジエビのみが持つと思う特徴。

 

比較参照 ヌカエビの離れ眼、短いハサミ脚


眼の離れっぷりでは、スジエビに引けを取らないヌカエビ。
スジエビとの違いは容易に解かります。
・顎脚(あごあし)が長く、地面に着けている(写真の真ん中の脚)。
・ハサミ脚が短い。
・額角にほとんどギザギザがなく、つるつるハゲ頭。


上から見たヌカエビ。
眼が離れているのは、スジエビと共通。
・胸横に「逆さハの字」がない。
・手が短い。
・顎脚が長い。
・各歩脚に外肢がヒラヒラと生えている。
・眼の付け根に眼上棘がある(これはかなり見難いですが)。


本当にスジエビ? ⇒「スジエビ」の範囲参照

「最も身近なエビで、簡単に見分けられる」ということで、
かえって逆に、まともな確認をされず、他種との混同をよく見掛けるスジエビ。
透明で腰が曲がっていて目が出ているエビの総称に近い印象も受けます。

よくスジエビと間違われている、「スジエビ度」の高いエビは?

テナガエビ科

テナガエビ属
テナガエビ・・・・・・・スジエビ度★★★☆☆ 子エビや若エビ、雌がスジエビと誤認されることは普通。
ミナミテナガエビ・・スジエビ度★★★☆☆ これも子エビや若エビ、雌が混同されることが多いです。
ヒラテテナガエビ・・スジエビ度★★★☆☆ 子エビ若エビ時代は透明。腰に入る黒線も同じ印象があります。
スジエビ属
スジエビ・・・本当のスジエビ 最近、淡水繁殖が簡単な外来種と思われる“白いスジエビ”が多くある印象。

子供時代は関節の橙色までソックリなテナガエビ。
これくらい大きくなってくるとスジエビではないと気付かれると思います。
食性もほぼ一緒ですが、混泳ではスジエビは餌になってしまう確率が高いです。

ヌマエビ科

ヌマエビ属
ヌマエビ南部群・・スジエビ度★★★☆☆ “ミゾレヌマエビ”として有名ですが、スジエビが同じ商品名で売られる場合も。
ヌカエビ・・・・・・・・スジエビ度★★★★☆ 眼が離れていて、腰が曲がっている為、混同のほうが多いほど。
ヒメヌマエビ属
ヤマトヌマエビ・・・スジエビ度★☆☆☆☆ このエビを見分けられない例は見た事がありません。
ヒメヌマエビ・・・・・スジエビ度★☆☆☆☆ これも間違われようがない種類。
トゲナシヌマエビ・スジエビ度★☆☆☆☆ 全体に丸くて、腰が出っ張りませんから混同はありません。
ミゾレヌマエビ・・・スジエビ度★★★★☆ 透明で腰が大きく曲がるので、かなりな確率でスジエビにされます。
カワリヌマエビ属
ミナミヌマエビ・・・スジエビ度★★☆☆☆ 本物の情報をほとんど見掛けない。混同はシナヌマエビと同等と予想。
シナヌマエビ類・・スジエビ度★★☆☆☆ 雄がシャープで透明で黒い線が多いことから、案外多く間違われます。

スジエビと間違われる確率が最も高いミゾレヌマエビ(本物)。
そもそも、自分の名前で呼ばれる事すら、ほとんどないエビです。
雄はスジエビ、雌はミナミヌマエビで決着を見ます。
テナガエビ科ではないですから、手は短いです。
参照⇒【ミゾレヌマエビ 「見分けは困難」の暗部

採集された淡水エビは、必ず一度は「スジエビ」とされ、
その後、「あれ?違うかな?」となる事が多いようです。
透明で、腰が曲がっていて、眼の出っ張っているエビが居たら、
すぐ「スジエビだ!」と断定せずに、上記を参考に、もう一歩踏み込んで確認してみると良いと思います。
「魚を襲うヌカエビ」
「コケが大好きで、おとなしいスジエビ」
といった、およそ、その種類らしからぬフレーズもよく見掛けます。

参照⇒【スジエビの見分け方
ヌカエビとスジエビは同種だと思っている例も多い印象です。
性格はカラスとハトぐらいの違いがあります。

参照⇒【テナガエビの見分け方
スジエビの含まれるテナガエビ科4種類は、案外簡単に見分けられます。

参照⇒【「スジエビ」の範囲
スジエビに似たエビの比較写真集

 

おすすめリンク

番匠おさかな館の図鑑・エビ
http://rs-yayoi.com/osakanakan/zukan/shrimpcrub/shrimptop.htm
スジエビの近縁種各種が載っています。
頭胸甲側面の模様の違いで見分けるのが比較的簡単です。
他のエビも綺麗な写真でたくさん掲載されています。
※ヌカエビが生息していない為、掲載されないので、比較し難いのが残念。
ヌカエビの認知が遅れている原因の一つは、
エビに詳しい人が多い九州や沖縄に生息しない事が大きいと思います。

 

2008/12/10


2008/12/13 本当にスジエビ?追加・更新
2010/05/25 更新


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