潮の干満の影響を受けるような下流域に居たテナガエビの雌です。
実寸は触角鱗片先から尾扇先までで6.5cm程度です。
テナガエビには真上から見た場合に、
目の少し後ろに「肝上棘」と呼ばれる棘が生えています。
動き回る状態のエビに、これを見付けるのは至難の技だと思います。
これだけ大きくして、やっと分かるくらいの大きさです。
目と腕のちょうど間。
左右に一対、やや前向きに棘が生えています。
この写真の大きさでも、実際のテナガエビよりは、かなり大きいですから、
本物に肉眼でこの棘を確認するのが、一般的ではないのは当然という印象です。
ここまで大きければ見えます。
テナガエビ科のテナガエビ属にはこの棘があり、
同じくテナガエビ科のスジエビには、この棘がないそうなので
この2属を分ける決定的な相違のようです。
しかし、肉眼派には少々使い難い部分です。
とりあえずテナガエビ側には有無が探せるかもしれませんが、
小さなスジエビにこれの有無を見付けようという気にはなりません。
テナガエビの若エビや子エビに、これが見えるかというと、
たぶん見付けられない場合のほうが多そうに思えます。
そうなると、全てスジエビと判断されてしまいそうです。
右側の肝上棘です。
「薔薇の棘」そのものですね。
捕食しようとする敵を刺し、逆棘で、飲み込みを遅らせ、
後方へジャンプして逃れる時間を稼ぐためのものと思います。
この形状は、折れたりせずに、相手側へ的確な作用を生むのでしょう。
左側の棘。
目のすぐ下に、太い棘も生えています。
名前は知りませんが、触角や触角鱗片の付け根、鱗片上にも、様々な前向きの棘があります。
この太い棘は可動式のようです。
その付け根に重なって見える(先端が目に刺さっているように見える)棘は、
触角上棘という棘のようです。
こちらは可動式ではない印象。やはり薔薇の棘状です。
参照⇒【ヒラテテナガエビの肝上棘】
参照⇒【テナガエビの肝上棘(横から見た場合)】 横から探すのは、至難の技です。
鰓前棘に要注意!
よく、スジエビとテナガエビの違いとして、
“テナガエビには肝上棘があり、スジエビには肝上棘が無い”
と書かれているのを見掛けますが、
“スジエビには肝上棘の代わりに、すぐそばに鰓前棘が生えている”
ということわり書きが書かれているのは少ないです。
この棘の有無で見分けようとする場合は、
両方の棘の位置を正確に暗記してから挑まないと誤認の嵐になりそうです。
参照⇒【スジエビの鰓前棘】
似たような位置に似たような棘が生えています。
上や下から見ただけではほとんど同じ棘でしょう。
(よほど詳しくない限りは見分けに使わないほうが賢明と思います)
おすすめリンク
川エビ雑話
http://www.geocities.co.jp/Outdoors/7766/kawaebi/kawaebizatuwa.html
エビの体のつくり、生態などにとっても詳しいKENKENさんのページです。
2008/02/22 岩
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