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テナガエビ
湖沼産のゾエア(孵化当日)



まず間違いなく湖沼産だろうと思われるテナガエビの孵化当日のゾエア幼生です。
1,000匹以上は舞っているといった印象でした。
30cm水槽に雪が降ったような状態です。
幼生の大きさは、かなり大きい印象です。
左のエアーチューブと比較していただければ分かると思いますが、
肉眼でも一匹一匹が分かります。
「ゾエア」というと、エビとは異形のものという想像がされることがあると思いますが、
エビのゾエアは、エビの頭を下にして浮かせただけです。
見た目にとても小さなエビというだけです。


メス親の右側、肘の部分にゾエアが写っています。
その上のほうにも一匹居ます。
孵化当日でここまで大きいとは思いませんでした。
さすが純淡水産という気がします。
ヌカエビのゾエアと似たような雰囲気です。
汽水産のテナガエビは何度も何度も抱卵し、孵化もしているはずなのですが、
雌の腹に卵が無くなったという確認は簡単に出来ますが、
一度もゾエアの存在には気が付きません。
おそらく非常に小さいのだろうと思います。
あるいは極端に淡水に弱いのかもしれません。
簡単に死滅するようで、孵化当日に見回しても発見できませんでした。
それに対して、こちらのゾエアは発見とかいうものですらありません。
目に付かないほうがおかしいくらいの大きさで、
確実に孵化が分かります。


眼が大きくて、脚が四本、頭の先にヒゲがちょこんと生えた感じです。
ヌカエビのゾエアには脚が多いのですが、⇒参照【ヌカエビゾエア
テナガエビには少ない印象です。
(ヌカエビの脚は外肢である可能性も大きいです。両方有るので多く感じるのでしょう)
ここまで大きければ、比較的、繁殖は難しくないのではないかと思ってしまいますが、
テナガエビを着底させたという情報には遭遇した記憶がありません。
スジエビで数匹くらいが着底というくらいで、
テナガエビ科は餌の確保でつまずくようです。
(学校のプールを利用して大量に養殖して放流という記事はありました。
この獰猛な生き物の大量放流は弱った生態系をさらに壊しそうですが・・・・・。
食物連鎖の下位に位置する生き物の存在が今度は危ぶまれます。
川が弱った原因を取り除かないと意味がありません。
結局、餌となる側や殖え過ぎを防止する捕食者側も含めた全体の底上げという事に
成らざるを得ないと思います。
「減ったら放流」はちょっと安易過ぎる気がします)


着底とは無縁の完全なプランクトン生活です。
もちろん、跳ねて泳ぐくらいの事は出来ます。
関東北部や東北地方は、ヌカエビ・スジエビ・テナガエビの三種類のみの生息ですが、
この三種類はどれも淡水繁殖種です。
正確には河川下流域型がスジエビとテナガエビに見られますから、
・ヌカエビ⇒淡水繁殖
・スジエビ淡水型⇒湖沼や小川で淡水繁殖
・テナガエビ河川静水域型&湖沼型⇒淡水繁殖
・スジエビ河川下流域型⇒繁殖に海水が必要
・テナガエビ河川下流域型⇒繁殖に海水が必要
という五種類になると思います。
どの種類も大きな通し回遊は行なわないらしいので、
山間の池や湖、溜め池や小川などに生息している個体群であれば、
まず淡水繁殖型と思って良さそうです。


ハエやアブを思わせるような触角と頭です。
尾扇部分の形は、この段階のゾエア独特のものです。
ヌカエビなどとも共通な印象です。
食性は肉食性と思われますが、共食いをするような感じは見られません。


長めの脚で獲物を捕獲し、
短い手を使って齧るといった構造に思えます。
【BREEDING LIFE】さんで多くの成功をおさめている、
浮泥方法を応用してみましたが、
特に浮泥を抱え込む個体は見られない印象です(小さいのであまり確認していませんが)。

 

2008/08/24


 


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