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テナガエビ
手の先、脚の先



感潮帯に棲んでいたテナガエビの雌です。
5cm以下の時から他の個体と共に飼っていて、一時は産卵もしていましたが、
大きくなるにつれ、配偶相手さえもおなかに納めてしまい、
現在、独身で、ずーっと産卵していません。
テナガエビも交接を行なわない限り、卵巣は次回以降に持ち越す様に思えます。
テナガエビを数多く飼うには、最小のプラケースや虫かごなどに個分けして、
それを水槽の中に多数積み上げるといったような方法を取らないと、
なかなか長期間、同一個体の生命が守れないと思います。
どんなに強くて大きな個体でも、脱皮した途端に最弱の活造りになってしまいます。

 

ミナミテナガエビとテナガエビの違いは一瞬で分かりそう

ミナミテナガエビとテナガエビの見分けがよく分からない、
というのは普通に理解できる事だと思います。
淡水エビに、見分けが“困難”とか“酷似”とかいう諦めに近い言葉を使うなら、
この2種に対してのみが妥当と思うくらいです。
しかし、実際に見分けている方の文章から、
とっても簡単に見分けられる部分があるのが分かりました。
額角の長さや形が違う、模様が違うなどの見分け方がありますが、
一瞬でわかる場所は「指節」のようです。
これで“困難”や“酷似”といった諦め界からは脱出できそうです。
※エビの見分けに関しては、
とかく、“困難である”、“酷似していて難しい”など、
見分けを諦めさせようというマイナス方向へ持っていく文章が多いです。
せっかく使う文字数。少しでもプラスの情報に差し替えたら良いのに思うことばかり。
「指節の長さが短い」という文字が並ぶだけで、全然違うのですが・・・
当然ですが、マイナス情報は何回読んでも、向上やヒントを与えてくれません。
以下のようなプラスを教えてくれる、ありがたい場所もありますから、
こういう親切なページで勉強させてもらえますけれど。

テナガエビ
http://www.geocities.co.jp/Outdoors/7766/kawaebi/ebisyurui/M.nipponense.html
m模様での見分けに詳しいkenkenさんの解説。
模様で両種はある程度分かります。

ミナミテナガエビ
http://www.geocities.co.jp/Outdoors/7766/kawaebi/ebisyurui/M.formosense.html
kenkenさんの解説。
・一番確実に見分けられる部分は「指節」
・テナガエビよりも力強い胸脚をしている
と書かれています。
比較写真がなかったので、記憶に残り難かった印象ですが、
以下の番匠おさかな館の写真で、シナプスが繋がった感じです。

番匠おさかな館
http://rs-yayoi.com/osakanakan/zukan/shrimpcrub/shrimptop.htm
2008年の春から突如現われた見分け参考お薦めサイト。
淡水エビ情報は、属を越えるほどの、とんでもない種類間違いが付き物ですが、
個人的に、ここには違和感がありません。とりあえず安心かと思います。
ミナミテナガエビの3番目の写真にハサミや指節の比較があります。
これを見ると、脚の先に明らかな長さの違いがあります。
ハサミの毛の量も、ミナミテナガ側は、ほとんど生えていません。
ここまでしっかり比較されると頭に入らざるを得ないです。
※テナガエビの3番目にも解説画像がありますが、
上下がちゃんと入れ替わっている!細かい配慮にびっくり。
作者の「解からせたい」といったような意気込みが伝わって来ます。

ミナミテナガエビ島根県
http://www1.pref.shimane.lg.jp/contents/rdb/rdb2/cnt/cnt186a.html
主語がテナガなのか、ミナミテナガなのか分かり難い箇所がありますが、
ミナミテナガの指節は短くて太いという部分があります。

 

指節を見るべし!

という訳で、
テナガとミナミテナガの見分けは、
・まず最も見易いm模様の違いで見当をつけて、
・額角の長さや形でさらに確認。
・そして、脚の爪の長さ(指節)で駄目押し。
この3点を見れば、ほぼ大丈夫だと思います。

 


このテナガエビですが、額角の大きさが大きい、そしてm模様が崩れていることから
テナガエビの方である事は分かりましたが、
そこに、指節の長さを加えると、もうかなり完璧に近いのではないかと思えます。
太いとは思えないですし、短いとも思えません。
細くて長いテナガエビの足先そのものです。


テナガエビは、この長い爪の背側で体重を支えます。
先端をまっすぐ立てるのではなく、
かなり内向きに折った足の甲の部分の曲面で支えます。
砂地に生息している事が多い印象ですが、
まっすぐ突き立てると、砂に深く刺さってしまい、
一歩一歩を抜くのに余計なエネルギーを使いますから、
沈まないように、このような感じにしているのかもしれません。
写真で、一番右側に写っている脚の爪が、
かなり内向きに曲がっているのが分かると思います。
長い腕の次の脚の爪も奥側へ曲がっています。
この、ちょっと曲がり過ぎと思える角度。
最大級の個体だと、体重が支え難く、限度を越えて折れてしまう場合がありました。
それは脱皮直後の個体でしたが、完全に折れて指節が白く壊死していました。
参照⇒【雄の大型個体
他の原因かもしれませんが、
ベアタンクではなく、細か目の砂を敷いたほうが、
つま先には優しいような印象を覚えました。
テナガエビの脚は、とても細くて、
体の大きさには不釣合いです。
体重の重い個体だと、負担が重そうです。
ミナミテナガエビに関しては、太くて短いので、
あまり考えなくても良さそうに思えます。

 

第二胸脚


大きなハサミ脚に付いている大きなハサミです。
雄の大型個体だと、もっと毛に覆われていて、すぐにテナガエビだと分かりますが、
雌の場合は、この程度なので、この部分だけでミナミテナガエビと見分けるのは難しそうです。
番匠おさかな館の見比べ画像を見れば毛の生え具合の違いは分かりますが、
このハサミ一本のみを見て、さあどっちだと言われたら、答えに窮しそうです。

ヒラテテナガエビと同様、刃のような白い部分が内側にあります。
テナガエビは草食度はかなり低めで、積極的なツマツマ行動は見ません。
ヒラテテナガも第二胸脚ではツマツマしませんから、
こちらの刃の形にはそれほどの差はなさそうです。

参照⇒【テナガエビ河口域産雄】のはさみ

 

第一胸脚


こちらは第一胸脚。細かい作業を一手に引き受けているハサミ脚です。
ヒラテテナガエビの剪定ばさみのような構造にはなっていない印象です。
可動側も不動側も大きさ・太さはほぼ一緒です。

餌を探す時の動かし方も、ツマツマではなく、「探す」という印象。
小刻みに探っていきます。
餌に触れると摘み上げて口に運びます。

剛毛と呼べそうな短くて太い白い毛が生えています。
スジエビとも共通の部分です。
テナガエビとスジエビの通常の行動上の違いはあまり感じません。
大きさのみが違うという印象です。

スジエビやテナガエビを観察していると、
しばしば、この第一胸脚を、左右の頭胸甲の下側から体の中に突っ込んで、
鰓の掃除を行なうのが見られます。
体の中に深く差し込んでいるように見えて、痛くないのか驚く行動です。
ヌマエビ類では手が短いのでまず見られない、テナガエビ科特有の動作です。
参照⇒【テナガエビの体の掃除

やはり、小枝を切れるような構造には見えません。
探して、掴んで、口に運ぶという作業用で良さそうです。

 

2008/06/07


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