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テナガエビの指節
〜細くて長い脚の爪〜


テナガエビの指節に関しては、以前から、KENKEN’S HP↓で
http://www.geocities.co.jp/Outdoors/7766/kawaebi/ebisyurui/M.formosense.html(ミナミテナガ)
http://www.geocities.co.jp/Outdoors/7766/kawaebi/ebisyurui/M.nipponense.html(テナガ)
ミナミテナガエビとの見分けとして確実な方法であると紹介されていましたが、
あらためてこちら↓で比較されているのを見て、「なるほど」と思い、
http://rs-yayoi.com/osakanakan/zukan/shrimpcrub/shrimptop.htm
実物を見比べて「これは使える!」という確かなものになりました。

テナガエビに関しては、「よくそれで体重を支えられるものだ」と思う程に、
足先が細いと感じる事は何度もありました。
しかも、それが、どう考えても脚を挫いてしまいそうな角度なのです。
細いのに、それを内側に曲げ過ぎているのが基本姿勢です。
なんとも危なっかしい足元ですので、ミナミテナガやヒラテテナガとの区別は容易です。


まだまだ若い個体です。
ハサミ脚ではなく、歩く脚の爪の長さを見ます。
ハサミの先端部分に毛が生えているかいないかで、
ミナミテナガとただのテナガを見分ける方法は、
このような若い個体や雌の個体には使えませんから、
常用に足るものではないと思います。
それに対し、指節の長さは、一瞬で違いが目に飛び込んできますし、
子エビや雌エビにも使えますから非常に重宝です。
写真のように、爪がたいへん長いのがマテナガの特徴です。
その爪を内側に曲げて、爪の背中側を地に付けて歩く性質があります。
左の奥に、ややボケた指節も写っていますが、
それもハッキリと長くて細いです。
脚の爪が不必要に長く、しかも寝かせ過ぎな印象を持つのがマテナガの特徴です。


こちらは2cm程度の子エビです。
ハサミがとても小さいです。
こんな大きさだと、逆に指節がより長く感じます。
どの脚の先にも、内向きに曲げた細長い爪が生えています。
マテナガは、なぜか、どの個体も、
内側に曲げた爪の背の部分で体を支えるような姿勢を取ります。
10cm近い重そうな個体でも、この脚をくじきそうな姿勢で歩きます。
この写真では良く写っていますが、
指節の関節の部分に外向きに棘(毛)が生えています。(画面左の脚)
この棘というか毛というかと一緒に、寝かせ気味の長い爪は、
砂地や泥地を歩く場合に沈み難くなっているのではないかという想像ができます。
爪を立てて歩くと毎歩ずつ砂に突き刺さり、抜き上げるのにエネルギーを消費します。
横に寝かせて、爪も長くすれば沈み難いですから、負担は減ります。
さらに、沈み込みを防止する毛が付属していれば万全です。
石や岩と常に接しているミナミテナガやヒラテテナガはそれらに合わせた短く太い爪。
そして、砂や泥の上を歩くテナガエビは細長く寝かせた爪。
そんな印象です。


この個体では、右側に3本の歩脚がきれいに並んで写っています。
その先端には、見事に内側に曲げた指節が生えています。
一番後ろの脚に生えている爪が一番長いのが分かります。
指節が生えている脚全体も、テナガエビは華奢です。
ポキンと折れてしまいそうです。
急流から上の上流域には棲めないのも良く解かります。
この脚では、激流の滝などを登って行けるとは思えません。
河川下流域の砂地や、湖沼の泥地に適応した脚という印象が強いです。
流れのほとんど無い世界で、
そこに降り積もった細かいふわふわした砂や土の上を歩くのに適応した、
脚や爪なのではないかと思います。

 

比較参照ページ

ミナミテナガエビの指節

ミナミテナガエビの指節には「長過ぎ」という感じを持ちません。
マテナガに比べると明らかに短いです。
脚全体も太くがっしりしています。

ミナミテナガエビの若エビ
m模様(“川”模様)と短い指節を見れば、ミナミテナガの見分けは簡単です。

ミナミテナガエビの若エビの採餌行動
貝を食べようとしている写真

ミナミテナガエビの指節
前から見ても、すぐ分かると思います。
全体は酷似していても、パーツが全然ちがいます。
見分けは容易な生き物と思います。

 

ヒラテテナガエビの指節

幼エビ時代は上から見る印象と遡上への意欲がミナミテナガエビに良く似ています。
横からみれば、m模様がなく、横筋模様なので見分けは簡単です。
脚は3種の中で一番短い印象です。その分、とても太いです。
脚の爪(指節)も当然の如く短くて太いです。

ヒラテテナガエビのハサミ脚の再生
ハサミではなく脚の爪を見てください。

上から見た幼エビ2種
ミナミテナガエビとヒラテテナガエビの、主に採集時などに上から見た状態。
追記の写真にヒラテテナガエビの短い指節が写っています。

テナガエビの3種類の見分け方はこちら⇒【テナガエビの見分け方


 

おすすめリンク

ミナミテナガエビ
http://www.geocities.co.jp/Outdoors/7766/kawaebi/ebisyurui/M.formosense.html
形態や生態などがたいへん詳しく書かれています。
ページの更新はされていませんが、色褪せない魅力があります。KENKEN’S HP】 

番匠おさかな館の図鑑・エビ
http://rs-yayoi.com/osakanakan/zukan/shrimpcrub/shrimptop.htm
額角に頓着せず、「見た目」に重点を置いた掲載方式です。
淡水エビの「種類の違い」というものが、より身近に感じられる事は間違いなしです。
種類も間違いなしと思います(個人的には違和感ゼロ)。ここは安心してお薦めできます。
「淡水エビは額角でしか見分けられない」なんてことはありません。
こちらのサイトを参考に、どんどん見分けると良いと思います。

琉球淡水エビ
http://www.h2.dion.ne.jp/~karo/
琉球列島産の珍しいテナガエビがいっぱい載っています。
m模様を持つ種類が多いのが解かります。

 

2008/10/10


2008/10/26 リンク追加


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