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ヤマトヌマエビ
ヤマトヌマエビの寿命は?2010・10・13追記


まだまだ9年

前回の記事から考えても、9年は間違いなく暮らしているヤマトヌマエビ。
異常な猛暑も無事に乗り切りました。現在はレッドチェリーのみとの混泳です。
購入されたヤマトヌマエビの寿命に関しては、5〜6年は普通の範囲。7〜9年はやや長生きで、
10年以上は結構な御長寿といった印象です。(15年以上もあるようです)
熱帯魚カタログあたりに書かれている”寿命2〜3年”は、とりあえず項目を埋めておいたという程度でしょう。

売られているヤマトヌマエビには巨大なものが居ます。
この個体も水槽で最も巨大なものを購入したものですが、現在は随分と小さくなりました。
ヤマトヌマエビを買って長生きさせたいと思った時、普通に考えれば、最大個体は余命が短いと考えると思います。
しかし、こういうおばあちゃんも居るので、小さめ=余命が長いとはなりません。
食欲旺盛で、透明感が高くて、細胞が生き生きしている大型個体が理想ではないかと思います。
生後2年前後で、成長の上り坂の頂点である可能性が高く、6〜7年生きる可能性は高いのではないかと推測できます。
元気で大きくて健康的な個体を、ごく普通に買えば良いのではないでしょうか。

 

商品名の“ミナミヌマエビ”は、ヤマトヌマエビの寿命を縮めない?

この雌は、9年間の多くを、商品名“ミナミヌマエビ”であるシナヌマエビやコウライヌマエビ達と暮らして来ました。
現在同居中のレッドチェリーシュリンプも台湾産シナヌマエビの仲間のようです。
30匹や50匹は常時、彼女の脱皮に際しても、周囲に居たと思います。
←ミナミヌマエビとして飼われる事が多いシナヌマエビ類

ヤマトヌマエビの飼育に関しての注意点として、
“ミナミヌマエビと飼うと、ヤマトヌマエビの雌の産卵脱皮にミナミヌマエビの雄が反応して群がり、
交接されたヤマトヌマエビは死に至る”
という話があります。
しかし、彼女にとって、シナヌマエビ類が生命の危機をもたらしてはいないのは間違いないようです。
ヒゲ一本折れないで居ますから、なんら被害を受けていません。
2000年台の初頭には、採集されたミナミヌマエビと、同じく採集されたヤマトヌマエビによる交接が目撃され、
毎晩のように殺されるという報告がありましたが、現在はほぼ見ません。
ミゾレヌマエビ(本物)の雌も同様に交接を受け、殺される状態であったという報告でしたが、それも最近は聞きません。
(Web上にはミゾレヌマエビは殺されないと書かれる事がありますが、おそらく商品名“ミゾレヌマエビ”=ヌマエビの話。
ミゾレヌマエビの項目にアクアリウムで利用されるとある事からも“ミゾレはしか”による種類の誤認と推測される)
←ミゾレヌマエビではなく、ヌマエビ(旧ヌマエビ南部群)です。

ミゾレヌマエビはミナミヌマエビと同じ川で生活していても、種類で棲み分けが見られるという話でした。
http://www.geocities.co.jp/Outdoors/7766/kawaebi/ebisyurui/N.denticulata.html
これも、ミナミヌマエビによる“抱き殺し”が原因である可能性もあるように思えました。
←ミゾレヌマエビ(本物)。霙模様は消え易く、色彩の幅が広いエビ。

現在では買ったらほぼ100%、採集しても半分以上“シナヌマエビ”かその雑種の可能性(参照)という状態ですから、
水槽内で同居させられたヤマトヌマエビ(おそらく台湾産)にとっても、
ミナミヌマエビが元々居た地域の川のヤマトヌマエビやミゾレヌマエビにとっても、安泰な世界に成りつつある印象です。

河川のシナヌマエビが増えてミナミヌマエビの生息地を奪う、
もしくはミナミヌマエビと雑種化して、“抱き殺し”の性格が消失したり薄れたりすると、
中下流域ヘヤマトヌマエビが生息域を広げて来る可能性があるかもしれません。
そして、ミゾレヌマエビも下流域を完全に制覇するかもしれません。
河川の上中流域はヤマトヌマエビが占め、中下流域はミゾレヌマエビが占め、
人工的な池や汚染が高い水域にシナヌマエビ類が残るという構図になるかもしれません。

他にも、シナヌマエビの仲間は、スジエビやテナガエビに対する防衛能力が大変に低く、
呆れるほど簡単に捕まってしまい、水槽だと一匹も残らず食べられてしまうという問題もあります。
ミナミテナガエビが特に強敵で、口に一匹、両手に一匹ずつ、細い第一胸脚にすら捕まっているという状態。
本当のミナミヌマエビがここまで無抵抗とも思えませんから、交雑してこの劣化を受け継ぐと大問題です。
“抱き殺し”という能力も消え、回避能力や防衛能力も下がった雑種になった場合、
ミナミヌマエビ全体の生きる力は随分と失われてしまいそうです。

ちなみに、この雌は、数年前には多くのミゾレヌマエビとも生活していました。
ミゾレヌマエビの“抱卵の舞”は相当に激しく、「こんなに雄が居たの?」というくらいです。
しかし、その時にも全く被害はなく、無事に過ごしていました。
「本物のミナミヌマエビ」という強敵が居なくなると、この大きなエビに対抗できる種類は居ないのではないかと思います。
水槽での寿命も延びますし、元々環境に対する適応範囲は広いので、
自然界でも、堰の下にミナミヌマエビが居らず、シナヌマエビだけであったなら、喜んで暮らしてしまい、
寿命や生息域を伸び伸びと広げる気がします。(どうなるかは、なってみないと分かりませんが)

◆参照リンク
http://www.geocities.jp/polo6nhs/AZ/EBI9.htm
ロックシュリンプの雌に群がるビーシュリンプ。
胸部を密着させている所から、あきらかに交接行動。
ロックシュリンプの雌やヤマトヌマエビの雌は、他種の雄からモテモテ。

◆外来種“シナヌマエビ”と在来種ミナミヌマエビの分布の現状。
http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/19310150/2007/3/ja
本物ミナミは売っていなかったという証明でもありそう
オレンジ色の部分が、予想される元々の本物ミナミヌマエビの生息範囲。
北海道にはヌマエビ類が一種も居なかったので、増加傾向。
東日本もほぼヌカエビのみだったので、増加傾向。
西日本には競合種や亜種、そしてミナミテナガエビも多いので、様々な影響が出そう。
ヤマトヌマエビも基本が中部以南なので、シナヌマエビ類の動向とは無縁ではないでしょう。
ミナミヌマエビが弱体化すれば、増えるきっかけになるかもしれません。

 

2010/10/13追記



購入してから、かれこれ四年は経っているヤマトヌマエビの♀。
一緒に飼ったネオンテトラやチェリーバルブは既に一匹も残っていない。
鑑賞魚店のヤマト水槽の中から最大級の個体を取ってもらったので、
その時点で少なくとも1〜2歳であったのは間違いないはず。
とすると、現在5〜6歳以上。
「7年は間違いなく生きた」という記述を見た事がありますから、
不思議な事ではないのかも。相当な長寿命のエビです。
♂を購入する気がしないので、一度も産卵していません。
このヤマトが脱皮すると必ずミナミが舞ってます(^^;

最近の安売りヤマトの中には、
模様や顔つきに違和感満載な一群が居ました。
台湾産以外の種類も入って来ているのかな?

2005/04/02

ADAの天野尚という方が世界中に広めたからなのか、
ヤマトヌマエビは英語で“Amano Shrimp”なんですね。
検索すると相当なヒット数。
こんな温帯の丈夫なエビを輸入してしまって、
ヨーロッパ諸国の自然は大丈夫なんだろうかと少し心配(^^;。(2005・04・29追記)


6年は間違いなく生き続けています。(2008・02・06追加
最後まで残っていたカージナルテトラもヨボヨボになって他界しました。
しかし、6年程度は、ざらなようですね。
下にヤマトヌマエビの長生きした記事をリンクしてみました。
驚愕の年数があります。
犬や猫と同じくらい、あるいは金魚と同じくらい生きるのかもしれませんね。
気軽に死なせてよい生き物とはとても思えません。
エビは脱走して干乾びて死ねば「干しエビ」と笑われるのですよね。
水槽内で赤くなって死ねば「ゆでエビ」です。
可哀想という意識に結びつきにくい死に様ですから、
同感する部分でもありますが、
せめて、スポンジ片で水槽の角の隙間を埋めるくらいの事はしてあげて欲しいものです。
(特に、買ったその晩に脱走して、一夜で全滅という話が多い)

実年齢としては6+3で9年以上という事になりそうです。
まじまじと模様を見たことはなかったのですが、
Web上でも様々な斑紋の個体があります。
メスでも点状の模様が多いものもありますし、
このような線の長い個体もあります。
斑紋の特徴で、産地の区別がある程度つくかもしれません。

 

◆サイズと年齢
http://www2u.biglobe.ne.jp/~niwasaki/department/qanda41-50.htm#q48
サイズと年齢が書かれています。Q48
大型個体は3年以上と考えて良さそうに思えます。
ここの成長具合との比較から判断すると、寿命は2〜3年以上と云えると思います。
ところがおかしなことに、
「寿命=2〜3年」と書かれてしまっているのをよく見かけます。
“以上”が取り外されています。
これではLサイズを買って来たら、その年に死ぬ計算です。
飼育経験からしても、ヤマトヌマエビの「寿命2、3年」ほど怪しいものはありません。
買ってから2〜3年という意味でも少々短いでしょう。
(「平均寿命」となると、ゾエア期で死ぬ数も死亡に含めることになるのかもしれません。
そうなると計算で一年未満になってしまいそうです。
「販売サイズの平均寿命」が最も身近な寿命に思えます)

 

◆ヤマトヌマエビのご長寿記録

信憑性の高いエピソード付きですので、正確な情報と思って間違いなさそうです。
Lサイズで購入の場合、実年齢は(飼育年数+3年以上)という事になりそうです。

15年 飼育15年以上という例もあるようです。実年齢は20歳を超える可能性も。

14年

13年

12年

11年
http://plaza.rakuten.co.jp/penciller/diary/200712010000/
実年齢は15歳以上である可能性もありますね。
この記録には驚きました。

http://north-field.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-37d3.htmlup!
こちらの方も11年記録。魚少なめで安定しているのでしょうね。
産卵もし続けているそうですからスゴイ。

10年
http://beer.asablo.jp/blog/2008/01/17/2565150
こちらも13歳以上でしょう。
すばらしい。

9年
現在の我が家のヤマトさんはこのあたり。2010/10

 

8年
http://cafe0713.blog51.fc2.com/blog-entry-70.html#top
ヤマトヌマエビなのかな?
どんな種類にしても8年はすごい。

7年
飼育6〜7年は特に珍しいものではないようです。

 

 


水際喫茶室のおさんぽさんから貴重な情報を頂きました。2008・04・27追記
実験室内で孵化して育てていたヤマトヌマエビは、
丸い大きな水槽内でそれなりの数が居る中で、
申し合わせたように4〜5年で死亡したそうです。
ほぼひっきりなしに抱卵していた個体達だそうです。
分布調査等を行なっていた地域の自然下のヤマトでも、そんな印象だったそうです。

自然下の生き物では、基本的に成熟したその年に繁殖行動をして、
疲弊して死んでしまうものが多数。
そして一部は生き残って大型の個体として繁殖に加わり、その年に死亡。
これは川魚などでもよく云われる事で、定石的なパターンですが、
そんな印象と同じだということでした。
成長するのに3年前後。最初の産卵年の終わりで4歳。うまく年を越して5歳。
といった感じなのでしょう。
栄養豊富で、オスの数も少なく、温度も一定という熱帯魚水槽だと
6年以上生きるのは普通なのかもしれません。
・ギリギリの栄養状態ではなく、産後の回復が早い。
・オスからの追尾から跳ね回って逃れる回数が少ない。
・冬がない。(夏もクーラーが効いている部屋である可能性もある)
といったあたりで、自然下よりも環境が良ければ、
生き残れてしまうのは往々に有りそうです。
このあたりは、ロックシュリンプが、いくら産卵し続けても死なないのと
通じるものがあります。(ロックはオスにガードされますからさらに疲弊しない)

エビはカブトムシと違って、
産卵後に必ず死ぬと決まっているわけではありません。
カブトムシでは、成虫になってしまうと、
もう脱皮をして更新することが出来ません。
しかし、エビはいつでも脱皮して更新できます。
成虫なのにいつでも幼虫状態。
死なずに済む条件が整っていれば、
死なないで生き続けるのも、そんなに不思議な事ではないとも思えます。

たまに何十年と生きているであろう巨大なロブスターが発見されたりしますが、
エビには、魚で見られる耳石の年輪のようなものが無いそうで、
何歳なのか解からないらしいというのを聞きます。
水槽内などで、確実に同一の個体が追えれば、
寿命や年齢はある程度解かりますが、
いきなり自然下から採集した個体や、
ペットショップで購入した場合は難しいです。
発育途上の小型の個体であれば、
その種の発育段階から推測できますが、
最大級の個体を購入した場合は、見当も付かなくなってしまいます。
うちのこの個体は最大級を購入したので、
おさんぽさんの情報からすると、5歳以上に相当する大きさだと思います。
そこから6年経っていますから、11歳以上と推測できます。

 

メスの寿命を縮めるオスの量

小型のヌマエビ類のメスの疲弊に関しては、
水槽内でのオスからの激しい追尾をかわす事が大きく関わると思います。
オスの数がメスの生死を決めると云ってもおかしくない部分があります。
ヤマトヌマエビやヌカエビ、ミゾレヌマエビあたりだと、
広義の“ミナミヌマエビ”やレッドビーシュリンプほどの
「ねちっこさ」は無いですが、
一度交接を終えたメスの跳ね回る行動はしばらく続きます。
脱皮前の絶食⇒脱皮⇒脱皮後のオスからの追尾をひたすらかわす⇒
そして産卵と、メスにはこの数時間に疲弊する出来事がドッと押し寄せます。
中腸腺に蓄えたエネルギーのみで乗り越える事になると思うのですが、
耐え切れなかった個体が産卵後に死んでしまう確率が高いのは頷けると思います。
環境の変化がない大きめの水槽で、飼育数が少なくて、
餌が豊富に渡っていて、そしてオスが少なく疲弊がない、
という状態だと、より長生きさせられそうに思います。
メスは最初の一匹のオスとのみ交接をし、
あとのオスからのアタックは全て回避しようとします。
この要らない求愛が多過ぎるか全く無いかでは、
メスの疲れは大きく違います。
オスは1〜2匹も居れば、メスの20匹〜30匹に対応できてしまうので、
メスの寿命の為には極力少なめが理想です。
もちろん一匹も居なくても、メスは卵を産まない分、
見違えるほどの大きさになったりします。
むしろ、オスは居ないほうが良いのでは?と思う事もしばしばです。
自然下であれば、自分が脱皮した場所に匂いで集まったオス達から、
さっさと逃げ出してしまう事が出来ますが、
水槽内はつるつるの断崖絶壁に四方を囲まれたコロッセオ。
ここで硬い鎧を着た多数のオスとの勝負はフェアではありません。

参照⇒【ロックシュリンプのガーディング1
参照⇒【ロックシュリンプのガーディング2
ロックシュリンプやテナガエビのように、メスを確実に取得する方向に進んだエビは、
雄同士の闘争と、雄の大型化と、武器の特化が避けられません。
しかし、メスからすれば、過剰な交接を繰り返される危険はほぼゼロ。
強いオスの遺伝子を貰い、疲弊なく産卵が終わります。
参照⇒テナガエビの産卵行動あれこれ⇒エビ写真館のテナガエビの項目。脱皮からの時間の経過で様々な雌の行動。
雌の臨機応変の勝手な振る舞いに雄は翻弄されています(笑)。

それに対して、「早い者勝ち」的な小型のヌマエビ類は、
小回りの効く小さなオス達が、競ってメスに群がります。
大量にオスが居る水槽では、メスの疲弊は計り知れません。
参照⇒【メスの脱皮を待つミゾレヌマエビのオス達
参照⇒【脱皮直前のメスにしがみついているヌカエビのオス達

参照⇒【“ミナミヌマエビ”の過剰な交接状態
参照⇒【レッドビーシュリンプの共食いへの過程
カワリヌマエビ属には頻繁に起こるメスの寿命の短縮作業。


2008/04/27 追記
2010/10/13 更新


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