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ハイポの量


ハイポの量について

水道水に溶かすだけで、換水用の水が作れてしまうという便利さは、
やはり、スゴイ!の一言。
直射日光に丸一日かけて作る安心な「汲み置き」に勝るとも劣らない水が数十秒で出来ます。

特に夏は汲み置きだけではとても足りませんし、
汲み置いた水は完全に“日向水”と化し、ぬるま湯状態ですから、
それを水槽に直接注いだら、さらに水温が上がってしまいます。
せっかく冷えている水道水を、そのままの温度で水換えに使う為には、
カルキ抜き・ハイポは必需品となります。

ハイポ

しかし、ハイポに関しては、粒の大きさのバラツキがひどく、
よく云われる「バケツに一個」でエビに安心な水が作られているのか?
塩素はちゃんと抜けているのか?
ハイポは入れ過ぎていないのか?
ちょっと不安でもあります。

 

入れ過ぎれば毒

エビはカルキに対してかなり敏感です。
丈夫な市販のミナミヌマエビでさえ、
水道水直接の三分の一の水換えをすると、グルグルと集団で泳ぎ回ってしまいます。
熱帯魚水槽に居るヤマトヌマエビも、熱帯魚が平気な中、
グルグルと一日中泳ぎ回っています。
ですから、このハイポやカルキ抜き・塩素抜きの製品に関しては、
「確実に塩素が無くなるまで入れる」ことを守らないと、
エビがカルキでダメージを受けるのは確かです。
しかし、逆にハイポの入れ過ぎがエビに害を与える可能性はないのだろうか?
という疑問も当然ながら起こります。
エビにわざわざ大量のハイポを入れる気はしませんが、
誤まって金魚にたくさん入れた経験はあります。

むか〜し、金魚を30cmくらいのプラケースで飼っていた頃の話。
水を換えてしばらく経った金魚が水面であっぷあっぷしていました。
「おかしいなあ、ハイポは入れたはずなのにねぇ」
「え?入れたの?」
「え?入れたよ」
どうも家族複数人が5個くらいずつ入れていたようです。
あわてて水を換え直すと、金魚は元気を取り戻しました。

こちらにも大量に入れてしまった方が・・・↓
http://members.at.infoseek.co.jp/marijuwa/013sa6-right.html


実際にこんな事がありますから、
ハイポは生体に完全に安全なものだとは思いません。
ただまあ、このロングセラーが意味するものを一般常識的に捉えるならば、
危険度よりも簡便さと安心さがはるかに勝っていると解釈して良さそうです。
説明書きに書かれている規定量を守っていれば大きな害はまずないでしょう。
食卓で毎日使っている醤油。
あれも大量に飲めば死ぬらしいですから、まあそんな程度に思っています。

ハイポ・カルキ抜きに関しては、猛毒を猛毒で征している訳ではないようで、
塩素という猛毒を、生体には緩やかなもので征している感じ。
つまり塩素と反応して、少々余ったハイポの成分が、
転じてすぐ毒として作用するという考えは、必要ないように思えます。
もちろん塩素一個にハイポの有効成分一個が確実に作用してくれて、
「御互いに残りゼロ」が一番良い訳ですが、
最後の一個同士が10リッターのバケツの中で出会うのは、いつの日になるか分かりません。
必然的にハイポ側の量が多い設定になってしまうと思います。

 

少々多いくらいは問題無し?

昔、ちょくちょく顔を出していた淡水魚屋の店主は、
洗って新しく入れ直す水槽に、無造作に一掴みハイポを入れていました。
90cm水槽だったとしても、片手に一掴みは多過ぎに見えましたが、
その店のエビや魚は元気そのものでしたから、そんなものなのでしょう。
「残った塩素は一切無く、余ったハイポが害を出し始めるまでの量」を、
経験で知っているわけで、残った塩素の害に比べたら、
多めに入れたハイポの害など屁でもないという感じでした。

 

「バケツに一個」という定説

とあるペットショップでは、糸ミミズを買うと必ず
「ハイポ持ってる?」と聞かれました。
糸ミミズを元気に生かせておくには、カルキは大きな害になるようです。
実際、水道水で糸ミミズの水を換えると、
全員が土中に逃げ込もうとする行動をする為、
糸ミミズの玉は非常に小さくなってしまいます。
尻尾の先の鰓のような部分が死んで千切れてしまう事も多かったように思います。
ここが切れてしまうと長生きしませんし、水の腐敗もひどい。
塩素は水の中の生き物を殺すために入れてある訳ですから、
今考えると、裸のイトミミズの皮膚には相当痛かったのでしょう。

で、大体の金魚屋さん、ペットショップでは、
ハイポはバケツに一個(洗面器に一個と言われたこともあったような)
と言われました。

実際、私も言われるままに、バケツに一個入れて使用していました。
現在なら、バケツ一杯にハイポ一個では多過ぎる事は、
カルキ計を使用した経験やウェブ上の情報で分かりますが、
当時はそんな事は分かりません。
ただ、それで問題が発生した事はありませんでした。

 

不揃いなハイポ達

しかし、前々から悩まされているのが、
そのハイポの「一個」の大きさの、あまりの違い。


市販されているハイポの粒「一個」の差は2倍〜5倍は楽にあります。
小粒を揃えているメーカーもありますが、
基本的には不揃いです。

あるメーカーの袋の中には、大小様々なハイポの結晶が入っていて、
30cm水槽に対して1〜3個を使用と書かれていました。
最小の粒と最大の粒では5倍は違う大きさ。
最も小さい粒を1個使った場合と、最も大きい粒を3個使った場合とでは、
15倍の差が出来ます。
小粒でも30cm水槽に15個使用するのは個人的にはちょっと恐ろしい感じもしますが、
それでも「残った塩素は一切無く、余ったハイポが害を出し始めるまでの量」
の間に入っているのでしょう。
(金魚をあっぷあっぷさせた経験があるので、大丈夫?と思ってしまうが・・・)

 

ハイポ一個は使い切れない

せっかくカルキ計を持っているので、
電池が無くなる前に実験をしておく事にしました。

たいへん重宝させてもらっている「ミズミル」

バケツ一杯(10リットル)の水道水にハイポ一個(7×5mm程度)を溶かしてみます。
結果は当然、5個のLEDが一気に全点灯します。

次にその水を、もう一個のバケツに半分入れ、
水道水を上まで注いでみます。これでも塩素は検出されませんでした。

さらに同じ事を繰り返してみましたが、塩素は抜かれてしまいました。
それをさらに半分にして水道水を足して計測してみても、
カルキが無い事を示す5個のLEDが点灯します。
そしてそれをまた半分にし、さらにそれを半分にし、さらにそれを・・・・・バケツが足りません。
一粒で、10杯、20杯のバケツのカルキを中和してしまうのは楽勝のようです。

一個のハイポの粒で抜く事が出来るカルキの量は桁違いに多いです。
7×5mm程度の粒で、風呂桶一杯(約200リットル)の水道水も、簡単に中和できてしまいました。
我が家に供給されている水道水をハイポ一粒で中和した場合、
試算では480リットルくらいは充分に中和出来てしまうことになりました。
最大限有効に一粒を使おうとしたら、水換えで使い切れない大量の飼育水が出来てしまいます。
これは困ります。
私の場合、水換えで使うのは大体10リットルのバケツです。
そこで、バケツ一杯に対して、どのくらいの量のハイポを使えば良いのかを実験。

うちに供給されている水道水に含まれるカルキは、
下から三つ目が点灯する量が常に計測される。

 

バケツ一杯に対する量

カルキ計など無い昔は、最も小さい5ミリ程度の粒を規準に、
大きい粒はハサミで割ったり、削ったりして使っていましたが、
それでも多かったようです。

7×5mm程度の粒を2mmの厚さにハサミで輪切りにし、さらにそれを半分にした半月状の粒を
10リットルの水に溶かしてみると、塩素はなくなってしまいました。
これで換水しても問題ありませんでした。エビは何事も無かったようにツマツマしています。
さらにそれを3分割して実験してみます。
ハイポの大きさは胡麻粒と同じくらいですが、やはり抜けてしまいます。

さらにその胡麻粒程度の粒を半分に割ります。
粒を掴むのも難しいくらいですが、
なんとか2mm四方程度の粒になりました。
「もう無理だろう」と思っていましたが、抜けてしまいました。
点灯していくのはかなり遅いですが、最終的に全部点灯してしまいます。

ならば、さらにそれを半分にします。
ハサミで半分に割るのに、相当難儀する状態。
もうこれ以下に割る事は不可能な粒、1×2mm程度の粒です。
ここまで来たら、これでも抜けてしまいそうな気がしましたが、さすがにつらい。
仮装大賞の「おまけ合格」程度の微妙なスピードでLEDが点灯していきます。
かな〜りゆっくりで、5個目は、やや点滅しかかっています。

粒を割る限界と、LEDが全点灯する限界が、うまく重なってくれました。
「粒」という状態ではバケツ一杯に丁度良い量は有り得ないのでは?と心配しましたが、
なんとか、その先の「粉」や「水溶液」の世界にならずに済みました。

うちの水道水には、バケツ一杯に、安全を見越した「胡麻粒一個」程度の使用で良さそうです。
これなら事前に砕いておいたものを使えば楽です。
水溶液は苦手なので助かりました。
(水溶液は一々計測するのが面倒ですし、倒してこぼしたら最悪・・・まあ、粒も湿気ますが)

ちなみに、最も有名な「カルキ抜き溶液」の製品も同じように実験してみたところ、
「10リットルに対して2ミリリットル使用」という表示でしたが、
80分の1の使用量で充分だということが分かりました。
(我が家の水道の場合、だいたいバケツ一杯に2分の1滴くらいで良さそう)

※地域差・季節による変化・配水場からの距離などを考えた
最も多くカルキの入った水道水に対して、
カルキを100%取り除き、チオ硫酸ナトリウムが害を出さない使用濃度
が表示されているのだと思いますが、
中和剤の製品の設定は、かなり過剰な投与(かなり安心)な方向に振られているようです。
(あくまで、うちに供給されている水道水に使用した場合ですが)

※規定量でも充分に「多過ぎ」なのですが、それでもエビに大きなダメージがない事は
エビ自体がツマツマし続けていることで良く分かります。
カルキ(塩素)によるダメージ状態は見たことはありますが、
ハイポ・カルキ抜きによると思われるダメージ状態は見たことがない。
つまり塩素の害には比べようがないほどハイポ・カルキ抜きの害は少ないと判断して良さそう。
規定量を余程上回らなければ大きな害はないようだ。
(エビに規定量を上回らせた事はないですが・・・
・・・もっとも、ハイポの規定量は粒の大きさからしても、最初からかなりイイカゲン^^;)
特にハイポは大袋だと極端に安いので、節約する意味もあまりないですから、
無理に節約してカルキの害が出るようでは馬鹿らしいです。

 

「カルキが一切無く、ハイポの成分が最も少ない水」が理想、となると思います。
そんな理想の水換え用水を追求してみるのも一興でしょう。

※ちなみに、ハイポを少なくし過ぎて、水換えをしたエビが泳ぎ回ってしまったら、
ハイポのかけらをコップに溶かして注ぐと、エビの騒ぎは治まります。(2005・09・21追記)

 

ハイポ・カルキ抜きについての参考ページ

水道水の塩素対策を極める
http://www.geocities.jp/goleshiiriin/Knack/chlorine1/chlorine.htm【GOOD AQUA】
濾過バクテリアの事も考えれば、多目に添加は妥当なようだ。

塩素を中和する
http://www2.tomato.ne.jp/~shin/aqua_kiso/ensocyuwa.htm【あげいんのホームページ】

残留塩素とカルキ抜き
http://www.rr.iij4u.or.jp/~kohda/chemistry/tapwater-chlorine.htm【Ren’s Aquarium】

ハイポの量
http://innesi.fc2web.com/aquarium/knowhow/haipo.htmlインネスのアクアリウム小屋

ちなみに、鑑賞魚用品メーカーが販売している各種「カルキ抜き」の主要有効成分もハイポらしいです。
ハイポ水溶液のような物を、高〜いおかねを出して有り難がって使っている事になるのかも。
自家製コントラコロライン
http://www.yoshiwo.jp/waza/contra/index.htmlよしをのホームページ

自家製コントラコロライン
http://www7a.biglobe.ne.jp/~sigotnin/aqua/aqua004.htm創造の館
他にも、いろいろあって面白い。

水替えの勧め
http://aquaplant.net/page208.html

残留塩素を除去する方法
http://www.pref.mie.jp/suishitu/hp/sec_4_mame_2.htm
ビタミンCでも抜けるそうな。
そういえば「ビタミン・カルキ抜き」なんて製品もあります。
レモン汁は皮の農薬が危険かも。

水質について
http://www.city.numazu.shizuoka.jp/global/suido/institution_quality/quality.htm

http://www6.ocn.ne.jp/~chamber/shiiku_2.html【Spla@ash!】

 

2005/09/05 


2005・09・21追記


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