水づくりとは

川の水の一滴一滴には大量の菌類が生息していて、
その中では熾烈な菌類同士の食物連鎖や生存競争が行なわれていると思うのですが、
それらを大量殺戮した結果が水道水です。(私達人間は、この大量殺戮の結果を飲んでいる事になりますね。)
この無菌に近い水を「自分の管理に合った菌類が生息する、川の水に近いもの」に戻していく過程が
「水づくり」だと思います。
最初のうちは増えやすい菌、環境変化に強い菌のみしか(えてしてそういう菌は悪玉菌である場合が多いです)
居ない為、白濁したり、水カビがはえたりしますが、
環境が落ち着くにしたがって、それらを食べる菌、さらにそれらを食べる菌、あるいは競合する菌などが
混在していき、1種類が増えすぎて暴走する余地が無くなっていくものと思います。
「定期的な少量の水換え」が推奨される理由は、魚やエビに対してでもありますが、
この菌類(バクテリア)の生態系を壊さない為という理由の方がはるかに大きいのです。
大量の水換えやリセットが続くと常に初期の段階の暴走系のバクテリアのみしか生息できず、
それらを押さえ込む側のゆっくり殖えるタイプの菌類が生育できないために、
どこに転んでもおかしくない不安定な状態を繰り返すのだと思います。
無菌に近い水を大量に加えたり、濾材をきれいに洗ってしまう事は、
暴走系の菌類に自由に増殖できる空間を与えてしまう事になり、たいへん危険な行為です。

水槽で餌や死骸がイガグリ状になる場合、その水は「熟成度が低く懐の浅い水=水道水に近い貧バクテリア水」
である可能性が高いです。
カビという状態は1種類の菌の暴走状態だと思います。
菌糸を思うがままに伸ばせる環境である印であり、その種類に対抗する種類、あるいは食べる種類が、
その飼育水には含まれていないことを意味します。
水に含まれるバクテリアの種類や数が少なく、菌類同士の食物連鎖や生存競争が
ギチギチにせめぎ合っていない為に起き易いのだと思います(腐って水が白濁するよりはかなり良い状態ですが)。
我が家の10年ちかい古ぬか床のような水槽では餌もエビの死骸もそのまま自然に溶けていく感じです。
(うちのは濃度高過ぎかな?)

この事は病原体の増殖を抑え込む事にもつながると思います。

2002/11/27 


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