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各種エビの飼育難易度の比較

今まで飼ってきたエビに対して、私個人が、なんとなく感じた飼育難易度の比較です。
【飼育難易度】⇒五段階で、●が多いほど難しいと感じました。

 

アフリカンロックシュリンプ
【飼育難易度】⇒●○○○○(ベアタンク、水流抑制、給餌ありの場合)
【飼育難易度】⇒●●○○○〜●●●●●(ベアタンク以外の場合。飼育環境から摂取できる餌の量による)
ロックシュリンプを健全に育成できる飼育環境は、かなり限られます。⇒【アフリカンロックシュリンプの飼い方
餌も良く食べ、光に対する怯えも少なく、ロックシュリンプよりペット向きです。
(存在感満点なので、死なせるとペットロスになり兼ねないですが(^^;)

アフリカン・ジャイアント・ロックシュリンプ
【飼育難易度】⇒●●●●●(小型の個体の場合)
アフリカンロックシュリンプと同種と思いますが、ジャイアントという文字が入っていました。
3cm未満の個体は底面からの摂餌をせず、飼育の手応えや体躯の向上がなく死亡しました。
餌の匂いに無反応でした。
底面を黒い水槽にすれば、飼育の見込みがあったかもしれません。

スジエビ
【飼育難易度】⇒●○○○○
ほぼ日本全土に分布する為、一口に「スジエビ」というのはふさわしくないほど地域変異の多い種です。
テナガエビを越えるほど巨大だったり、腕が太かったり、
メダカと混泳出来る程華奢な一群もあります。
最近、河川下流域の個体群は別種である事が分かって来たようです。
全般に、共食いが多く、テナガエビほどではないですが、最終的には一匹に成り易い傾向があります。
飼って最も楽しいエビとも云えますが、油断もできないエビなので混泳には注意が必要です。

ゼブラシュリンプ
【飼育難易度】⇒●●○○○
数種類がありますが、これは地味なグレー地に細い黒線のタイプ。
タイガーシュリンプというややオレンジに太い黒線の種類ではありません。
元祖ビーシュリンプが一時期途切れた時代がありましたが、
そんな時代にレッドテールグリーンと共にお目見えしたタイプ。

タイガーシュリンプ
【飼育難易度】⇒●●●●○
性質はビーシュリンプとほぼ同質。
爆殖と突然のもろさを備えています。
高温には弱いので、これからの温暖化の時代には飼い難そう。

テナガエビ
【飼育難易度】
河川下流域産(汽水型)⇒●●○○○
河川静水域産、湖沼産(淡水型)⇒●○○○○
脱皮時をねらう共食いの多さが厄介です。
カマキリをたくさん飼っても最終的に一匹になるのと似ています。
単独飼育なら楽に飼えます。
蓋に穴をあけた瓶を並べれば多数飼いもできます。
(特に広さを必要とはしませんので。穴暮らしが好きですから)
老成♂のあきれるほどの長い腕は必見。
汽水型は飼育水に若干の塩分はあったほうが良い印象です。
飼育の都合上、徐々に淡水化しましたが、
水換えで、調子を崩してしまう事が多かったです。

ドンキーシュリンプ(南米産ロックシュリンプ)
【飼育難易度】⇒●○○○○ベアタンクの場合。
ベアタンク以外の場合は●●○○○〜●●●●●飼育環境から摂取できる餌の量による。
ロックシュリンプの健全な育成環境は、かなり限られてしまいます⇒【ロックシュリンプの飼い方
ロックシュリンプの中では最も丈夫で飼い易いですが、最近の入荷は見ません。
まぶしい光にも怯えず、餌食いと成長も旺盛。行動も活発でした。
淡い大理石のような模様の雰囲気も良いエビです。

ニュービーシュリンプ(元祖ビー酷似タイプ)
【飼育難易度】⇒●●●●●
水質変化に敏感です。換水でコロッと死ぬことも多いです。
安価ですが、ビーシュリンプより遥かに弱い印象です。

ヌカエビ
【飼育難易度】⇒●●●●○
【長寿記録】⇒三年九ヶ月以上
高温にかなり弱いです。水質変化にもやや敏感。
他の種類のエビの飼育水を注いだだけで白濁したり、水槽を移動させると死んでしまう事が多いです。
非常におとなしく、浮遊感が楽しいエビです。
共食いが無い(過剰な交接がない)のも良い点です。
淡水で育つゾエアなど、面白味は豊富。
少々神経が必要ですが、おすすめなエビです。
東京など関東の大都市周辺に暮らすエビですが、
その暮らしぶりに関しては、ほとんど知られておらず、
「小卵型だ」、「ヌマエビの亜種だ」などという誤まった記述が多いです。

ビーシュリンプ(元祖)
【飼育難易度】⇒●●○○○〜●●●●○
濾過の出来・不出来に大きく左右されるため、
ビギナーズラックや長期スランプが同居し、難易度の特定は難かしい印象です。
エビ本体自体は汲み置き100%換水でも平気。ですが、後々濾過細菌のダメージが効いて来ます。
点滴換水などで濾過細菌優先の管理にするのが安全です。
高温に弱く、水槽一本全滅する連続死も多いです。
複数の水槽で飼ったほうが良いと思います。

ヒラテテナガエビ(ヤマトテナガエビ)
【飼育難易度】⇒●○○○○単独飼育。
【長寿記録】⇒四年以上
若エビは「完全に忘れてました」な水槽でも元気(^^;
植物質も良く食べ、ツマツマとコケを取るような行動もします。
大変に活発で、目が良く、飼育者の姿にも反応する愉快な生き物。おすすめ。

ミゾレヌマエビ(本物の方)
観賞魚として店頭やアクアリウムでおなじみの“値札名ミゾレヌマエビ”は、
下記の“ヌマエビ南部群”がその正体です。
本物のほうは、まず売られていません。
本や雑誌にも登場する事はありません。(ヌマエビとして登場する事は多いです)
奄美産ミゾレとか、カタカナ表記の新種的扱いで販売される事はあるようです。
【飼育難易度】⇒●●●○○
共食いなどもなく比較的飼い易いエビです。
河川下流の感潮域などにはあきれるほど生息している場合があります。
汽水域に居ますが、淡水で問題なく飼えます。

ヌマエビ(南部群)
(観賞魚業界的には“ミゾレヌマエビ”という商品名で販売されています)
【飼育難易度】⇒●●○○○
【長寿記録】⇒二年半
本当の“ミゾレヌマエビ”は、混ざり程度でしか市販されていません。
同属のヌカエビよりは、かなり丈夫でした。
高温にも比較的強かったです。(南部ですから当然かもしれません)
ヌマエビとヌカエビは亜種ではないことが確認されています。
本物のミゾレヌマエビとは出版物などでも混同が著しいですが、
模様や眼の出っ張り具合を見れば、誰にでも見分けられるレベルです。
外肢(歩脚の付け根に小さな脚がたくさん生えている)も簡単に見る事が出来ます。
これは本物のミゾレヌマエビ(ヒメヌマエビ属)には生えていません。

商品名“ミナミヌマエビ(おそらく“アルジーライム”と同種か近縁。前側角部棘があるタイプ)
【飼育難易度】⇒●○○○○
市販の“ミナミヌマエビ”は中国産などの輸入シナヌマエビか、台湾産ノコギリヌマエビ(トロピカルシュリンプ)、
あるいはその雑種や混合種などがほとんどのようです。
(額角の長さや前側角部の棘の有無で簡単に見分けられます)
純粋な国産在来ミナミヌマエビは飼った事がありません。
(採集ものは市販ものよりは弱いという噂。夏の高温期に死ぬ例が多いようです)
今まで飼ったエビの中では最も丈夫。“エビ”というくくりからは別扱いにしたいほどです。
殖え過ぎるため、最も放流され易いエビなので、放流欲と戦える人のみに飼って欲しい種。
すでに各地の池や各河川で密放流されたこの亜種群がたくさん報告されています。
もはや、多摩川に“ミナミヌマエビ”は常識。

ヤマトヌマエビ
【飼育難易度】⇒●○○○○
【長寿記録】⇒6年以上。11年生きたという情報もあります。
シナヌマエビに次いで丈夫な生き物。
寿命も長いです(購入後5、6年以上楽々生きる)

レッドチェリーシュリンプ
【飼育難易度】⇒●●●○○
“ミナミヌマエビ・レッド”などと呼ばれますが、
元になった個体群は台湾産のシナヌマエビの一種のようで、
本当の日本在来のミナミヌマエビとは関係がないようです。
ペットショップで「ミナミヌマエビ」としておなじみのシナヌマエビ類とは、
楽に交配でき、累代繁殖も出来ます。
しかし、レッドチェリーシュリンプはシナヌマエビほどの丈夫さではない印象です。
おなじみの市販“ミナミヌマエビ”のつもりで飼うと、
案外てこずるのではないかと思えます。
寿命は比較的短い印象です(煉瓦色の濃い雌は余命が短い)。
さすが台湾産まれで、高温には相当強いです。
温暖化やヒートアイランド状態の高温の地域では飼い易いエビと思います。
低温にも強く、室内ならヒーターも要らないです。(産卵はしませんが)

レッドテール・グリーン・シュリンプ
【飼育難易度】⇒●●○○○
この名で数種類が入ります。
これは“元祖”の場合。
地味ですが丈夫で飼い易くよく殖えました。

レッドビーシュリンプ(クリスタルレッドシュリンプ、CRS)
【飼育難易度】⇒●●○○○〜●●●●○
各水槽の「濾過の出来」に大きく左右されるようです。
エビ本体自体は汲み置き100%換水でも平気です。
1リットルの容器で二年半、無濾過・無エアーレーションで飼育できました。
飼えない水槽、爆殖する水槽、停滞する水槽などに分かれてしまいます。
一つしか水槽がないと、どれかに当たる可能性がありますから、
様々な飼育感想が出る印象です。
何個かの水槽に分けて飼うと、どれかしらで成功すると思います。

ロックシュリンプ(東南アジア産ロックシュリンプ)
【飼育難易度】⇒●○○○○(ベアタンク、水流抑制、給餌を満たした場合)
ベアタンク以外の場合は○○○○○〜●●●●●飼育環境から摂取できる餌の量によります。
飼育に達しない水槽環境もあります。その場合、数ヶ月〜半年程度で死ぬ事が多いです。
健康に長期飼育できるロックシュリンプの飼育環境は、かなり限られてしまいます。
⇒【ロックシュリンプの飼い方
飼育未経験者にまで有名な「プランクトンで飼う」というのは余程の高度な技術が要求されると思います。
餌を積極的に与えたほうが、確実で、安全で、あきれるほど簡単です。
【長寿記録】⇒四年以上
水流を抑制したベアタンクと「キョーリンのザリガニの餌」があれば、
余程の環境悪化が無い限り死ぬ事はないと思うほど剛健。(入荷直後の個体は弱い傾向あり)
高水温にも強いです。(低温には弱いです。16℃で動けない)
産卵に際して、ペアを形成したり、
他種に比べ体が大きいため、迫力満点の飼育感を得られますのでおすすめです。
共食いのない大型甲殻類というのはなかなかないので貴重な存在です。

※ガラス水槽、スポンジフィルター、水槽用ライトなどの基本的な熱帯魚飼育機器を使用した場合です。
※あくまで、やや御気楽な飼い方をこよなく愛する私個人の感想です。各種類ごとの最良の飼育環境を追究しているとは限りません。
例えば、最初から●●●●●に合わせた飼育環境を整備している方には、全ての種類が難易度●○○○○に感じることになると思います。
※同一環境に飼育して比較したものではありません。

※認識が変わったら、その都度更新します。

2004/10/24 


2006/07/07 更新
2008/08/24 更新


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