水槽の立ち上げ

水道水を使った立ち上げ

水道水に含まれる塩素は強力な酸化作用があり、有用な濾過細菌やエビ自身にも害があります。
水換えなどのエビの飼育に使う水は、必ず、塩素が全く無くなっている水を使用します。
エビ数匹の飼育のみであれば(そのエビが死ななければ良い、とか、繁殖はしなくても良いなどであれば)、
この塩素の入っていない水と、1リットル以上はある容器やバケツでもあれば、とりあえず飼えます。
しかし、魚も入れたい、水草も育てたい、たくさん繁殖して欲しいとなると、
基本的な水槽セットを使った方が維持が「楽」になります。
エビ自身の行動も自然環境に近いものになるので、観察も「楽しい」ものになります。

水道水を使った水槽の立ち上げは、わざと水棲生物が住みにくいようにした人間用の水を、
生き物が住みやすい自然に近い水に変えていく作業です。
「楽で楽しい」セットになるには、それなりの時間は掛かります。
エビを水槽に入れてもよい水になったかどうかの基準として体感できるものは、
・水が抜けるように澄んでいる。
・ガラス面に薄茶色の珪藻が生えた。
・水草の新芽が成長している。
・ミジンコが泳いでいる
・パイロット・フィッシュが元気(メダカが餌を良く食べる、産卵した等)
があります。
メダカの稚魚が育っているようなら、まず安心です。
微生物が水槽内にたくさん繁殖し、生き物が生活できる水になった事になります。

※立ち上げ当初で発生してくるミジンコは、その水槽で甲殻類が生息・繁殖できる事の目安として役に立ちますが、
エビの耐久限度以上に水質が悪化した水槽の末期的状態でも、ミジンコは生きています。
ケンミジンコとエビの生息環境は、かなり重なっている場合が多いのですが、
ミジンコの耐性の方が、遥かに上回ると思います。
つまり、ミジンコが住んでいる=エビが生息できる、という事ではありません。
立ち上げした新しい水槽セットに初めて発生したミジンコのみが有効な判断基準なのであって、
ミジンコがいる泥の堆積した水溜りがあるから、エビを入れられるというわけではありません。

立ち上げ当初はバクテリアの数や定着が弱いですから、
餌は控えめ、あるいは与えないくらいで済む量の個体数にし、
水槽内の自然度が増すにつれ、徐々に増やしていく事をお勧めします。


種水を使った立ち上げ

長い間良い状態を保ってきた他の水槽を持っていたら、
その水槽の濾過細菌(濾材を揉むと出る茶色いボフボフ。これ、汚れではなく「お宝」です)と飼育水を
新しい水槽に分けて、汲み置いた水で割れば、ほぼ同質の環境が比較的簡単に複製できます。
この「種水」の量が多ければ多いほど短期で水が出来ます(100%なら即日。安定には数日要りますが)。
ただ、親水槽の飼育水が薄まりすぎて状態を崩してしまっては元も子もなくなりますから、
くれぐれも親水槽の状態を崩さない範囲(状態にもよりますが、通常、水も濾材も三分の一まで)で
行なって下さい。
しばらくは水換えの時も、親水槽の水を注ぐようにすると良いかもしれません。

ただ、種水を使った場合、雑菌やウイルスなどの病原体も、そっくりそのまま移植される可能性もあるわけで、
そのような歓迎できないものを避けたいのであれば、水道水と真新しい濾材で一からの立ち上げをした方が
良いでしょう。
種水を使う利点は、殖え過ぎてしまったり、喧嘩が絶えないなどで、同じ環境の水槽を瞬時に増やしたい、
あるいは、水槽の破損などで緊急に新しい水槽を購入した等の場合に、
生体やバクテリアにダメージを与える事なく立ち上げる事ができるという事です。

2002/11/27 


2005/03/18 更新


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