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新ヌマエビ・新ヌカエビ

ヌマエビ・ヌカエビに関しての情報は以下のように滅茶苦茶。

  1. ヌカエビは肉食で小魚を襲って食べる
  2. スジエビとヌカエビは同種の地方名
  3. ヌカエビとヌマエビは亜種関係である
  4. 沼や池、湖に多く生息するため「ヌマエビ」という種名がついた
  5. ヌカエビは小卵型で孵化したゾエアは海に下る
  6. ヌカエビのゾエアは海水がないと育たない
  7. ヌマエビとヌカエビは額角を顕微鏡で見ないと識別は不可能
  8. 額角上の歯が眼窟後縁を越えて頭にまであるのがヌマエビ、越えないのがヌカエビ
  9. ヌカエビとヌマエビは酷似していて見分けは困難
  10. ヌマエビには小卵型と大卵型の産卵形態違いがある
  11. ヌマエビは陸封種で水槽内でも累代繁殖できる
  12. 南部群とか北部−中部群とかが付かない、真の「ヌマエビ」が存在する
  13. ヌカエビは中卵型の陸封種
  14. 観賞用“ミゾレヌマエビ”はヌマエビ南部群
  15. ヌカエビは東北・関東など東日本のエビで、西日本はヌマエビ
  16. 東海地方ではヌマエビとヌカエビが混在している
  17. ヌカエビの生息域の縁辺はハッキリしない
  18. ヌカエビとヌマエビ大卵型は同種⇒ヌマエビ北部−中部群
  19. ヌマエビ小卵型⇒ヌマエビ南部群
  20. 旧ヌマエビ小卵型は、旧ヌカエビ+旧ヌマエビ大卵型とは別種
  21. ヌマエビ南部群は、ヌマエビ北部−中部群とは別種
  22. 「ただのヌマエビ」「無印のヌマエビ」は水槽でも殖える
  23. ヌカエビは愛知県知多半島と新潟県村上市を結ぶ線の以東および以北の本州に分布する
  24. ヌマエビ属には、ヌマエビ北部−中部群、ヌマエビ南部群、ヌカエビがある
  25. ヌカエビとヌマエビ北部群は酷似している
  26. ヌマエビは休耕田で養殖できる

とんでもない誤解から共感のあるものまで色々な情報があります。
各人各様のヌマエビ像・ヌカエビ像があるといった感じで、
情報のどれとどれを取って像を結んでいるのかは人それぞれです。

そんな混乱をよそに、中心的研究者の中では、
普通にヌマエビ・ヌカエビで治まっているそうです。
ヌマエビ南部群⇒ヌマエビ
ヌマエビ北部−中部群⇒ヌカエビ
ということです。
H.N.にしさんから情報を頂きました。
2007年発行の『日本産エビ類の分類と生態2 コエビ下目(1)』
に、この辺りのことが書いてあるそうです。
過去のややこしい混乱については特に触れられていないようです。
新しい学名も載っているそうなので、機会があったらぜひどうぞ。
http://aquabiology.m78.com/publications/books/EbiHayashi.html
こんな本のようです。
※Web上の、この本を同定の参考にしたという情報でも、
Paratya compressa compressa (De Haan, 1844)のままの表記しかなく、
額角上の棘の量で2つを分けているままです。
新しい学名もWeb上にはまだ反映されていないようです。

内容を想像するに、旧ヌマエビ大卵型の単純な所属の変更と別種の確認と思います。
ヌカエビの分布域が広がり、ヌマエビ大卵型は抹消のように思います。
ヌカエビには眼より後ろ、頭胸甲上の額角の延長上にも歯がある個体群もある、
という事なのでしょうけれども、どこまで書いてあるかは知りません。
遺伝子比較研究の発表が1994年ですから、13年経ってやっと。
でも結局元に戻っただけ?という感じもあります。

ヌマエビ北部−中部群⇒ヌカエビ
ヌマエビ南部群⇒ヌマエビ
2つは亜種ではなく別種。
円の重なる本州中部に生息している陸封種「旧ヌマエビ大卵型」がヌカエビに正式に移行、
という事と思います。(未確認ですが、とくにそれ以外に考えられませんので)
※この地図と円はテキトウです。あくまでイメージ。

一般アクアリストにしてみたら、
ヌマエビなんてものは、そこらの川に居る地味で汚いエビという感じ。
(実は、熱帯魚や水草が好きだと一回ぐらいは知らずにヌマエビを飼った事があったりする)
ヌカエビに関しては、小卵型で水槽では殖えない地味で詰まらないエビといった感じと思います。
分類が変わっても特に影響なしです。

よくある『ヌマエビとヌカエビは亜種で、額角の歯が眼窟より後方にまで・・・・・』
といった一連の文章をすらすら言える程に記憶している人々にしてみれば、
種名はそのままで、中身が違う情報が主流になって行くものと思います。
「浦島太郎」「置いてけ堀」状態です。
法律の施行みたいなもので、「知らないほうが悪い」という感じかもしれません。

個人的にもその文献を読んでみたい気もしますが、
『ヌマエビ大卵型という認識は最初から無かった。ヌマエビ属に混乱は無かった』
と書いてある感じがして、ちょっと恐いです(^^;。

当サイト内での呼び方ですが、
世の中の情報のバランスから考えると、
ヌマエビ(旧ヌマエビ大卵型除く)
ヌカエビ(旧ヌマエビ大卵型含む)
と書くのが良いかもしれません。所属の移動そのままが分かります。しかし字数が多過ぎます。
カッコはだいたい省略されてしまいますから、省略されると元の木阿弥。
中身の違うヌマエビ・ヌカエビだけが以前のままの顔をして歩いてしまいます。
「新ヌマエビ」
「新ヌカエビ」
あるいは、
「ネオヌマエビ」、「ヌマエビNEO」
「ネオヌカエビ」、「ヌカエビNEO」
でしょうか。
当サイト内では『旧ヌカエビ』という表記をよく使っていたので、
『新ヌマエビ』、『新ヌカエビ』を使っておくと、
過去の記憶を持っている方は「あれ?何か変わったの?」と気付けるでしょうし、
新しい分類のみから入る方にも過去に混乱があった事が感じられて、双方に誤解がない感じがします。
正直、ヌマエビ北部−中部群とか、ヌマエビ(ヌマエビ南部群)とか書くのは面倒ですから、
『新ヌマエビ』『新ヌカエビ』を適宜使用して行くかもしれません。

(ヌマエビ大卵型の所属の問題なので、
当のヌマエビ小卵型とヌカエビには、何も新しい部分はありませんから、
何も変わっていないのに『新』とはこれ如何にですが(^^;)←新たな混乱源になるかも?


ヌカエビは陸封型なので、こう描いたほうが正解ですね。

 

※追記2010/07/26
http://opac.ndl.go.jp/articleid/10627632/jpn
単純に、
ヌマエビ⇒Paratya compressa
ヌカエビ⇒Paratya improvisa
になっただけのようです。

 

2010/07/19 


2010/07/19 更新
2010/07/26 追記
2010/07/29 地図追加


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