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ミナミテナガエビ♂
砂をかけて来るエビ



マテナガに比べて「虎」のイメージが強いミナミテナガエビです。
黄色っぽい腕に黒い模様が入っていますし、
胸の横にも太い黒縞が入っています。
性格も獰猛。
ヌマエビ類との同居では一匹残らず餌になってしまいますので、
間違いなく「単独飼育」になると思います。
飼育しているミナミテナガエビが雌の個体だった場合、
やはり、産卵準備が整っていた時の脱皮後には、交尾せずとも勝手に産卵しました。
この個体は産卵なしですし、腹節が膨らみませんので雄だと判断できそうです。


ミナミテナガエビとテナガエビの見分けは簡単です。
川エビ雑話さんで提唱されていた通り、
胸の横に黒く太い線がバシバシと入っていて、
各歩脚の爪が短ければミナミテナガエビと思って良さそうです。
●「m」に喩えられる模様の濃さ・太さ
●脚の爪の短さ
これだけで、まず事足りると思います。
※多数の生きたエビに実際に触れて研究されていた方々の情報には妙な因習が全く無いので安心です。
モノクロの文献のみを応用した世界では、「模様は使えない」&「額角だけだ」で、小さな写真の種名はトンチンカン。
人間は色彩や、今読んでいる「文字」を一つ一つ区別するような能力がとても高い生き物です。
エビの色柄を見ないで種類を分けるのは、犬に嗅覚を使わせずに犯人を探させるのと同じようなものでしょう。
一般的に、肉眼レベルでは淡水エビの種類を見分けられない事になってしまっているのは、
模様を見ないという因習の歴史の長さによって、人がエビの模様を一切見なくなって来ていたからだと判断できると思います。
「模様は使えない」というのは標本や論文には記述等が無いからという単純な話の誤解から生まれています。
模様や色彩の区別は「人間」という生き物の得意分野ですから解放するのが賢明だと思います。
(これを封じられてしまっては、立ち行かないのは当然ですね)
生きたエビの体表の模様は余す所なくしっかり見たほうが良いと思います。


指節の短さを見れば、抜け殻でも分かります。
この場合、模様が無いので、ヒラテテナガエビの殻と混同し易いかもしれません。
エビは額角の研究はし尽くされているようなので、
抜け殻でも種類判別は完璧に完了できるそうです。
指節が短いので、マテナガではない事はすぐに分かります。


このミナミテナガエビ。
行動もマテナガと違っていて、水槽の外に人の気配を感じると近付いて来ます。
(マテナガは結構「我関せず」で自由奔放な感じ。こちらの気配にあまり興味がありません)
ミナミテナガは、人の動き(というよりも自然界では魚の動きだと思います)に絶えず気を配っていて、
後ろ向きだった場合も、その場でくるりと反転できます。
そして、緊張しながらそろりそろりと近付いて来ます。
目も釣り上がって、緊張感満載。
それでも好奇心があるのか、確かめないと気が済まない感じです。
この奥に、普段安心できる隠れ場所として使っているスポンジフィルターの陰があるのですが、
そこから、こうしてわざわざ出て来ます。


そして、しばらく確認した後、とつぜん体を斜めにしたなと思った瞬間、
大きく地面を蹴って後方へジャンプします。
もちろん、地面を脚で蹴ってジャンプするわけではありませんが、
そう見えます。
写真の様に、体を斜めにした後に、尾っぽで瞬間的に大きな水流を起こして、
こちらへ向けて、砂や小石を飛ばして後ろへ大きくジャンプする行動です。
これは小さな個体をテナガエビの中から最初に発見した頃にも見られた独特な行動です。
エビは確かに、なにか瞬間的な攻撃などに対しては、大きなジャンプをして逃げますが、
そういうインパクトを一切与えずとも、勝手にひとりで大きなジャンプをします。
このジャンプをした後、ほぼ必ず長いヒゲをつるんと一撫でします。それでワンセット。
そのヒゲを撫でる姿勢が「どうだ!」という感じで、また偉そうに見えるのが面白いです。
長いヒゲを顎脚に通して先まで梳く時に、体を反らせるのですが、
こちらへ向かって胸を張るような姿勢になり、ちょっと威張った印象になります。
この「砂かけジャンプ」。相手を脅す為に使っているのか、挑発しているのかは分かりませんが、
敵に対して何らかの存在誇示をするような感じです。
この水槽には目立った砂や土は有りませんから、
少々ゴミが舞う程度ですが、浮泥が堆積したり、細かい砂が多い場所であれば、
かなりな砂煙が上がると思います。
チンパンジーのように、威嚇で物を投げてくるのと同じような行動か、
あるいは砂煙を上げて攪乱させたいのか、
このあたりの線引きは難しいですが、
相手がどういう反応をするかで、次の行動を見定める感じもあります。
瞬間的な砂煙と石つぶてに怯えれば「ざまぁみろ」でしょうし、
「餌が居るのか」と思われて近付かれたら、さっさと物陰に退散。
「隠遁の術」も上手いですし「煙玉」も使う、忍者のような行動をする面白いエビです。(投石かな?)

 

 

おすすめリンク

番匠おさかな館の図鑑・エビ おすすめ!
http://rs-yayoi.com/osakanakan/zukan/shrimpcrub/shrimptop.htm
テナガエビとミナミテナガエビの見分け方が分かり易く出来ています。
見た目にも、飼ってみても、全く違う別種。

 

2009/08/01


2009/08/02 更新


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