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商品名“ミナミヌマエビ”の仲間の
オスの腹肢の特徴


“ミナミヌマエビ”という呼び方には、広義と狭義があり、
商品名で呼ばれる場合の広義の“ミナミヌマエビ”は
外国種も含んだ亜種群全体を指すのが普通です。
(ツノナガカワリヌマエビ亜種群というグループ名称のようだ)
そんな亜種群全体に共通とも思えるのが、
オスの第一腹肢にある円盤というか杓文字(しゃもじ)のような物体です。

「抱卵の舞い」で泳ぎ回っているオスや、腹肢の掃除をしている個体などでは
肉眼でもなんとなく丸い物体が付いている事が分かります。
淡水エビの第二腹肢には雄性突起と呼ばれる独特の形状の部分があり
雌雄の判別や種類の識別に使われるそうですが、
それとは別に、“ミナミヌマエビ”の亜種達には第一腹肢の先端に
妙な形の部分があり、よく目立ちます。
写真は気持ち良さそう?に舞っている雄のレッドチェリーです。
なかなか泳いでいるエビを写真におさめるのは難しいので
こんなやや不鮮明な画像ですが、股間に変な物があるのが分かります。
「ミナミヌマエビのオスメスの見分け方」は、ここを見るのも簡単な方法の一つです。
・第一触角の長さ
・体に比べて手足が太くて長い
などと一緒に使うのに便利です。


これがその部分です。
恐らく、交接時にメスの体との固定や位置合わせに使われる物ではないかと思っていますが、
この形状の部分と合致する形状がメスの体にもあるのかは謎です。

 


こちらはレッドチェリーと市販偽ミナミとの交雑種です。
腹肢を畳んでいる状態だとなかなか分かり難いものなのですが、
この写真では良く見えています。
これだけ大きな物なのですから、
無駄に付いているとは思えないのは当然の事なのですが、
具体的にどう使っているのかが分かりません。
交接の瞬間は何度も目撃しているのですが、
この小さなエビのさらに小さなこの器官が、
二、三秒の間に使われる状態を、
自然な形で納得できるくらい観察できるかというと、
これはどう策を立てれば良いのか想像もつかない世界です。


精包の受け渡しに、なんらかの役割があるのだろうと思いますが
こんな大きな物が必要というのがちょっと不思議です。
ビーシュリンプなど他のエビでは、
それほど第一腹肢に目立った形状の特化が見られない(肉眼程度の場合)ので
シナヌマエビ類だけが持つなんらかの事情があるのでしょう。


これも雑種の別個体です。
泳いでいる状態だと、このように「へら」状の器官が良く見えます。
このへらで精包を塗り込んでいくのでしょうか?
あるいは自分より前に交接した雄の精包を掻き出してしまう為?
それにしては大き過ぎるような気もします。
“ミナミヌマエビ”の謎の部分です。


こちらは、アフリカンロックシュリンプの雄と思われる個体の腹肢の状態。
第一腹肢にへら状の物体があり、
第二腹肢が三本に分かれています。
この第二腹肢の一番内側にある小さな一本が、おそらく「雄性突起」と呼ばれるもの。
へら状になった部分や雄性突起で、やはりメスとの合致する部分を探して固定し、
位置合わせをして交接を行なうのではないかと思います。
エビの交接は腹と腹を合わせて、当然、目で見えない状態での交接ですから、
カチッと合わさる事ができるよう、なんらかの対策が施されているのは当然でしょう。
しかも数秒ですから、触覚の精度も相当に高いと思います。
(大きなロックシュリンプでも、
殻と殻を合わせた中での営みなので観察は出来そうにないです)

参考リンク

ヌマエビ類の体のつくり【水際喫茶室】
http://osampo1.hp.infoseek.co.jp/shrimp/karada.htm

エビの体【kenken's HP】
http://www.geocities.co.jp/Outdoors/7766/kawaebi/ebi_karada.html
ミナミヌマエビ
http://www.geocities.co.jp/Outdoors/7766/kawaebi/ebisyurui/N.denticulata.html

 

2007/05/16


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