エビ飼育に向いた水草〜目次


エビ飼育に向いた水草(5)

セキショウモ


日本に自生している水草のようです。
涌き水がある小川で採集。
採集時には葉がややねじれていて、琵琶湖に生えるネジレモの移入なのかと思いましたが、
水槽で育成するに従い、ねじれは無くなってしまいました。
草丈が小さく、この36cm水槽では、水面に少し笠を掛ける程度までにしか伸びません。
ジャイアント・バリスネリアやスピラリスよりも相当に小型です。
スクリューバリスネリア程度の植物ですが、
何度も購入していたスクリューバリスがいつの間にか消えていたのに対し、
このセキショウモは「絶える」という感覚を全く持てない、おそろしく剛健な種類です。

育成は極めて容易で、低光量の小型水槽でも繁茂し続けます。
二酸化炭素の添加を全くしていないエアーリフト底面濾過で、なんら支障なく殖えます。
低光量下ではマツモよりも丈夫かも知れません。
同じ水槽に、オオカナダモも入っていましたが、オオカナダモはほぼ消滅状態。
それに比べ、このセキショウモは留まるところを知らない繁殖ぶりです。
夏の暑さにも強く、冬の寒さにも強い。ヒーター、クーラー無縁です。


ランナーを伸ばして数珠繋ぎに伸びていきます。
この水槽は底面濾過の為、底砂掃除の際に、ランナーが切れたり、
掘り上げられたりといった、かなり乱暴な扱いを受けますが、
掘り上げられて水中に浮きあがってしまった株からも、やがてランナーが下へ伸び、
砂中に根を張って、簡単に勢力を回復していきます。


最初、花芽かと思いましたが、これがランナーの先端です。
この丸い先端がついた柄を伸ばしていき、
砂に突き刺し、そこから葉と根を出して定着します。


砂中に刺さったランナーから新葉が出ています。
このような先端部分が、まるで白いミミズのように、
水槽前面のガラスから良く見えます。
短期間で余す所なく這い回ってしまいます。
カワコザラガイが写っていますが、
この貝による食害はなさそうです。


試しに3,4本を持ち帰り、植えてみただけですが、36cm水槽が2つ分みっしりです。
子株2,3本を御裾分けしてもらう程度で充分でしょう。
放っておくと竹林状態になってしまいますが、
エビ水槽内に「上下方向の表面積」を多く作る事ができます。
水槽の上部と底部をつなぐエビの散歩道が出来るので、
水面の餌などを泳がずに取りに来れたり、残り餌が発見され易いといった効果もあります。
エビの遊泳時に大きな邪魔になるような絡まる構造も無く、
ウィローモスの森よりはさわやかで、水流の通りも良いです。
(エアリフト式の底面濾過には向いているかも。掃除で抜けるのが気にならなければですが)

底凄性の強い赤BEEでも平坦で安定性が高いこの水草はよく登ります。
そして表面をツマツマして歩きます。
特に消灯後は、かなり大胆に上部付近にまで大群で上がっています。
(点灯で一斉に飛び降りていくのが見れて、ちょっと面白いかもしれません)
この水草自身、表面は滑らかなので、コケ類が付く印象も低いです。
エビからの食害もありません。

水槽内では、これだけ丈夫で消えようのない水草なのに、
野外では湧水地などの限られた場所にしか生えていません。
(自生地の小川がコンクリ護岸の用水路に流れ落ちた時点で消滅)
地域によっては絶滅危惧種に入っている場合もあるようです。
そう言えば、あの剛健なマツモも天然の群落には御目に掛かっていません。
実は、足もとの水環境は異常に汚いんだよ、ということを実感させられてしまう
そんな水草でした。

 

2006/12/03

 


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