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ロックシュリンプ脱走記

それは、ある冬の日の出来事。
ロックシュリンプの水槽を、太陽光の射す窓際に移動した3日目に起きました。

カーテンを開けて、急に日光が射し込んでくると、
ロックシュリンプが大騒ぎになってしまうのは、前日も確認していて、
ここは置き場所には無理かなとは思っていました。
上からの蛍光灯の光はマツモで遮られるので、
その点灯でロックシュリンプが騒ぐ事はないのですが、
冬の日差しは低く、真横から水槽を貫いてしまいます。

ロックシュリンプ達は、一番部屋側のほうに集まり、
さらに暗い奥へ行こうとしてガラスを鼻先でこすり続けていました。
腹節のパタパタを使って、
ガラス面を泳ぎ上がってしまうこともありました。
(「ロックシュリンプが泳ぐ」という事は、余程のことなのですが・・・・・)

窓を開け、換気をしたまま20分ほどして戻ってみると、
床に大きな何かが横たわっています。
こういう時は、一瞬なにが起こったのか分からなくなりますが、
次の瞬間には、それがロックシュリンプの雄である事に気がつきました。

つまんで持ち上げてみると、それはまだ生きていました。
太い腕を上下に少し動かします。

水槽のマツモの上に体を沈めてみます。
ほとんど動きません。
腕を少し動かす程度です。

呼吸の助けにするために、鼻先のマツモをどけて、
スポンジフィルターからの水流を呼び込んでみます。
しばらくそのままにしてみましたが、
少々痙攣するような動きをする程度で、
見込みの無さが覗える状態でした。

乗っているマツモをどけてみます。
ロックシュリンプはそのまま落ちていきます。
トンという軽い底面との衝突音がするまで、
なんの抵抗もなく固まったまま落ちました。

落ちた後は横倒しになっています。
ヒゲや脚がたまにぴくぴくと動く程度です。
体の色もピンク味を帯びてきています
一応、呼吸を助ける為、スポンジフィルターからの水流が
体に当たるようにしておきましたが、
もう手遅れ感満載の状態です。

突付いてみると跳ねようとする反応はありました。
そして一回、横倒しのまま、やや大きく動いた後は全く動かなくなりました。
これは断末摩かもしれません。

甲羅の中にある呼吸器は波打っていますから、
生きているのは確認できますが、
ガラスをコンと叩くとほんのかすかな反応がある程度。
無数のケンミジンコが横倒しの体の上を這いまわっていました。

 

そして半日が経過。
ロックシュリンプの水槽を覗いてみると、
なんと!彼が水槽の真ん中に立っています。
体は斜めですが、一応立てています。
驚きです。復活の兆しがあります。

翌日、彼はマツモにしがみついていました。

その翌日、スポンジフィルターにしがみ付いたままです。

3日目。スポンジに掴まりながらも、手を少し広げています。
食欲が戻って来ている印象を強く感じます。
これなら大丈夫かもしれません。

4日目。ようやく底面に降りました。
若干左半身に麻痺が残っているのか、
そっちの手を上に持ち上げる様子がありませんが
反対側の手は通常の位置で開きっぱなしにしています。
まだ底面を掃除して周るまでには回復していない様子。
一ヶ所にじっとしています。
しかし、近付いてきた雌を、脚で叩いて追い返す行動は普通にしていました。
あとは餌さえ食べてくれれば回復しそうです。

1週間目
底面の餌を取り始めました。
まだまだ完全ではないですが、
地面に向けた手で、なんとか底面をつかんで口に持っていく行動が確認できました。

10日目
以前の様な食欲と食事量とは云えませんが、
底面に餌が無い状態だと餌を探して盛んに歩き回るようになりました。
一週間以上ほとんど食べていませんでしたから
その分を取り戻すべく、積極的な採餌行動を示している様にも見えます。

2週間目
もう何の心配もいりません。
「ザリガニの餌」を投入する角に集まって、
ごく普通に餌を口に運んでいます。
体の不具合も確認できません。
完全な回復を果たした様です。

冬の冷え切った床と寒風にさらされた瀕死状態からの見事な復活。
頭胸甲の中に脈打っているものが確認されたら
あきらめてはいけません。

今回はロックシュリンプの体力に助けられました。
脱走後、寒さで動けなかった事も良い方向に働きました。
(夏だと、歩き回って、腐臭で気付く事になります)

●まぶしい光には当てない!
●水槽の隙間にはスポンジを詰めておく!
が大事ですね(^^ゞ改めて痛感。

 

2007/02/23


乾燥と血行障害からか、ヒゲの先が欠損してしまいました。
六本全ての触角の先が途中で切れています。
元気さは元通りなので、いずれ脱皮して再生する事でしょう。

※無事に触角は再生しました。(2007/04/15追記)
一回の脱皮で元通りに戻りましたが、
脱皮前の絶食期間が4〜5日も続き、
体長不良を疑うほどでした。
まだ再生が完了していなかった為の脱皮延期に思えます。
そして、また新たなる再生を余儀なくされた彼です。⇒【胸脚の自切


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