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ロックシュリンプを、プランクトンや微生物のみで飼う、具体的な方法は?

有名な割りには具体性のない、
ロックシュリンプを「プランクトンで飼う」場合の飼育環境

「夜間の拾い食い」という抜け道無しで、あの大きな体を維持できるのか・・・・・
個人的には技術不足で、とても無理ですが、
実際に、プランクトンや微生物のみで飼う為の飼育環境構築の情報はあるのかというと、
再現性の高いまともな情報は無いに等しいのではないかと思います。
飼った事がない方にまで良く知られている“お話”ですが、
具体的な“飼い方”としては成立していないのではないかと思います。
「どんな水槽にもプランクトンは豊富に湧いているに決まっている」
といった妄信を前提にした“お話”にしか思えません。
理屈や根拠が揃っておらず、単純な矛盾もそのままの世界です。

水槽の大きさ具体的な情報なし
30cm水槽でプランクトンでの飼育が可能なのか、
120cmないと無理なのか、この最も初歩の部分の情報がすでにありません。
「最低でも60cm水槽は欲しいところです」とか、
「45p以下では、かなり難しいです」などの
指標となる「ある程度の範囲」の情報がありません。
水量の差が著しく違うわけですが、
全て「心配ない」範囲なのでしょうか?
いきなり信憑性に欠けてしまいます。

収容匹数の目安具体的な情報なし
一水槽内で再生産されるプランクトンの量は限られるはず。
そこに何匹飼えるかは決まっているはずです。
当然、自分の水槽のプランクトン量に合った尾数しか飼えないはずです。
しかし、プランクトンや微生物の量を計る術も公表されていませんし、
経験上の保証数の情報もありません。

照明・光量・点灯時間具体的な情報なし
プランクトンの発生には絶対に欠かせない光エネルギー。
この強さによってプランクトンの量も大きく変わるはずです。
しかし、どんな管が良いのか、何本点けるべきなのか、
何時間当てればプランクトンが維持できるのか・・・といった、
本当に基本の部分の情報であるはずなのに、まったく具体的な情報がありません。

濾過装置の工夫濾材の工夫:具体的な情報なし
水を漉して、キロキロの湧き水のような透明度にしてしまう一般的な濾過装置。
このまま流用してしまうと、ロックシュリンプには餌が欠乏してしまうのは
目に見えています。
“プランクトンを漉さない濾過”を実現する工夫は必須です。
しかし、この最も重要と思われる部分に関する工夫を見た事がありません。
さらにもう一つ、プランクトンにダメージを与えないポンプである事も重要です。
生まれる量より、ポンプに破砕されて殺される量が多ければ、
プランクトンはロックシュリンプの口には入りません。
懸濁物を濾過しない濾過槽で、プランクトンを殺さない強水量のポンプ?
この部分は極めて高度な技術が必要と思います。
これを克服したという情報を見た事がありません。

水の透明度に対する注意:具体的な情報なし
餌が水中のプランクトンや微生物である以上、
当然、少しは水が濁るのが常識です。
なんとなくぼやけていて、その中をやや大きめな生き物がたまに見える。
あるいは、ぴょこぴょことミジンコの仲間が、
手で水をかいて浮かんでいるという状態になるはずです。
これは避けられない水の姿となります。
水滴を拡大すると、無数の生き物が蠢いている。
そんな観賞とは遠い、濁った世界でしょう。
この濁った世界を維持することになるわけですが、
その濁り具合をどの程度に維持するのかの説明がありません。
「澄み渡った、見事に透明で、なんの粒子も感じない通常の濾過をされた水では餌不足が心配です」
という注意書きがあって良さそうなものですが、一度も見た記憶がありません。
プランクトンや微生物の濃度は、この濁り具合で目安をつけるのが簡単ですが、
どのくらいの濃度が必要量や再生量、そしてロックシュリンプ自体の呼吸などに対して適切なのか、
この辺の重要なバランスについての情報が全くありません。

餌・プランクトンの種類:具体的な情報なし
プランクトンと一口に言っても、その種類数は膨大。
植物プランクトンなのか、動物プランクトンなのかという区分もあります。
「微生物」という括りだと更に種類数は膨れ上がります。
さらに、「食べている」のと、「消化している」のは別問題です。
実際にロックシュリンプに消化しやすく、吸収しやすいプランクトンの種類を知っていなければ
飼育が難航するのは当然なのですから、
これは確実に知っておかなければならない情報です。
プランクトンや微生物は、他のプランクトンや微生物を食べる食物連鎖を起こします。
絶えず、ロックシュリンプに合った種類のみをコンスタントに殖やしていく環境を維持しなければなりません。
しかし、そのような具体的な種類名を聞いた事はありません。

水温具体的な情報なし
ロックシュリンプは案外高水温が好きで、食欲も増進します。
ただ、彼等の消化吸収に合ったプランクトンなり、微生物なりの培養に必要な温度が、
ロックシュリンプの好む温度の間にあるのかは分かりません。
どちらもうまく行くバランスで設定する必要がある訳ですが、
プランクトンの種類や効率の良い培養方法も分からない為、
具体的に何度に設定すれば良いのかも分からないというのが現実。

水質具体的な情報なし
ロックシュリンプは特に水質にうるさい生き物ではありませんが、
プランクトンにも棲み易く、ロックシュリンプにも棲み易いというバランスを取るのは難しそうに思えます。
プランクトンや微生物の培養には、概して富栄養の濃い水が使われますから、
そのままその中でロックシュリンプが暮らせるのかは疑問です。
極めて高度なバランスを取る能力を要求されると思うのですが、
具体的な方法を目にした事はありません。

水槽の維持年数に対する目安:具体的な情報なし
新規に立ち上げた真新しい水槽に棲むプランクトンの量と、
10年維持してきたバランスの取れた水草水槽に棲むプランクトンの量が
大きく違う事は単純に理解できると思いますが、
はたして、どの辺りからの水槽なら間違いなく飼えるのか、
その目安となる熟成度の情報がありません。

水換えの頻度・量注意点の情報なし
プランクトンに重大な環境変化を与えてしまう換水。
これを食べるとされるロックシュリンプには極めて深刻な問題です。
流されてしまうプランクトンが多ければ、再度殖えるまで食事の量が足らなくなります。
水質が変わってしまった水に、再生産する力があるのかも測らなければなりません。
しかし、なんら注意点が発表されていません。

肥料など具体的な情報なし
プランクトンが発生するには栄養塩類をたくさん必要とするはずなのですが、
「微生物!プランクトン!」と云われる割りに、
それら半主役とも思える彼等の餌の部分に触れている情報がありません。
ロックシュリンプに害を与えない濃度など、投入量のバランスを明記した情報もありません。

魚病薬の注意具体的な情報なし
魚病薬を入れたら、プランクトンは死滅してしまう場合も多いと思いますが、
この重大な注意点を公表されている印象がありません。

万が一の場合の臨時の給餌方法実質的な情報なし
プランクトンに何らかのダメージがあり、増殖が難しくなった場合の応急の給餌方法が必要ですが、
この実質的な方法論がありません。
「細かくした餌を溶いてスポイトで与える」⇒せっかく掴んでも「ぷはっ」。水を汚すだけで、むなしい努力です。
「ブラインシュリンプを与える」⇒動き回って掴めません。
「沈下性の餌を撒く」⇒底砂を敷いていたら底床が腐敗してロックの命が危ないです。
何個か用意した別水槽で、ロックシュリンプに向いた微生物を常にストックして置ければ
心配は要りませんが、前述通り、その情報がありません。
(ベアタンクで沈下性の餌をまく方法では飼えてしまうので、
「プランクトンで行く」以上は、この方法は極力避けないと面白くないでしょう。
逆に云えば、この方法があるので、心置きなくチャレンジできますが)

混泳魚の注意ロックシュリンプの立場に立った正しい情報は無し
「たいへんおとなしく、魚には無害。どんな小さな魚とも混泳可能」が有名です。
プランクトンを目の前でことごとくかすめ取ってしまう小さな混泳魚は、
“入れないで下さい”“おすすめしません”が、本来、提示されるべき回答でしょう。
お客さんの飽和してしまった水草熱帯魚水槽に「なんとか買わせたい」商品という説明。
「主役に対しては悪さはしません」という意味です。
「ロックシュリンプにとっては・・・」という逆の立場の情報ではありません。
そういう意味では正しい情報はありません。

 

秘訣は鈍感力?

こうして見ると、手間なし一辺倒の説明の割りに、
実際に飼ってみた感想が「難しい」になってしまうのは当然な気がします。
長めの飼育が出来た場合も、そこへ導いた要因は何だったのか、
死んでしまった場合にも、足りない物は何だったのか、
おそらく的確な説明をする事は出来ないと思います。
とうぜん、的を得た情報交換も不可能でしょう。
現時点では、この飼育方法は、何も解明されていないに等しい
と思ったほうが自然という印象です。

水槽の環境は飼う人すべてで違うはず。
どういう規準なら飼えるのか、納得尽くの具体像があれば、
自分の水槽に足らない部分を補うなどの策を講じる事が出来ます。
しかし、これでは、ほぼ“運まかせ”。
飼えない状態の水槽にも、とりあえず入れてみる、という事になります。
照明無しの真新しい30cm水槽に放り込まれたロックシュリンプも、必死に努力するはずですが、
水槽内に無い物は手に入れようがありません。
「熱帯魚を飼う水槽には食べ物となるプランクトンや微生物が豊富に湧いているに決まっている」
これではインパール作戦です。
いくら脳内に大量にプランクトンが湧いていても、当のロックシュリンプには食べられません。
最低でも、ロックシュリンプに適切な種類の選別技術、
水槽内のプランクトン量や微生物量を常に把握できる技術、
そして、その確実な培養技術の習得は必須です。

「ベアタンク+ザリガニの餌(キョーリン製)」での飼育の成功はもう検証が充分なので、
そろそろ、プランクトンのみで飼ってみるのも面白いかなとも思っていますが、
個人的には、まだまだ飼育環境の具体像が浮かびません。
栄養的に良好な状態にあるロックシュリンプを知っている身からすると、
“衰弱のさせ方”、“弱らせ方”にしか見えないのです。
上記の個々の事柄について、もっともっと突き詰めた、具体性の高い情報が欲しいところです。

 

2008/01/26 


ロックシュリンプを水流に手を広げた状態のみで飼いたいという方は、
“二枚貝の飼育方法”、“二枚貝の飼い方”などを参考にすると良いと思います。
ロックシュリンプは拾い食いも出来ますが、
二枚貝は100%水中の微生物・プランクトンを餌にしています。
タナゴの繁殖に欠かせないカラスガイ、マツカサガイなどの淡水二枚貝は、
タナゴ愛好家がなんとか長生きさせようと様々な努力を積み重ねて来ています。
まだまだ偶然や運や思い込みの世界にあるロックシュリンプよりは、
具体的で、説得力のある情報が得られることと思います。
淡水二枚貝の飼い方・リンク集


2008/09/19 更新


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