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テナガエビ
湖沼産のゾエア(三日後)(五日後)


孵化三日後

胃や腸に相当すると思われる部分が黄色くなっています。
なにかしら食べているのかもしれません。
この水槽は、30cmで、臨時の個体を入れるような位置にあり、
シナヌマエビを一尾放してある程度。
照明も当てていません。
ダブルブリラントは回してありますが、餌になる微生物やプランクトンは望むべくも無い印象です。
他水槽のスポンジの搾り汁を与えていますが、
・二日目で少し減った印象
・三日目で随分減った印象
でした。

テナガエビを淡水の水槽で殖やしたという具体的な情報には遭遇できませんでした。
今回は見送りという感じです。
「ゾエアは三日程度で死滅する」という常識には、2種類の側面があるようです。
一つは、ゾエアの育成には海水が必要というもの。
もう一つは、餓死によるものです。
一つ目には二つ目も含まれます。
小卵型を繁殖させようとした場合にも三日目程度で死滅するのを避けるほうが難しいようで、
餌に適した微生物の発生がうまく行っているかで左右される様です。
一昔前は、ヌカエビや淡水スジエビ、淡水テナガエビなど、
浮遊幼生で孵化するものの、海水域まで流されず、そのまま淡水域で稚エビとなるタイプも全て、
「ゾエア=海水必要」と思われていたようです。
どの種類も小卵型と同様に、3日程度で減っていくゾエア達から想像されたもののようです。
しかし現在は、淡水繁殖である事が確認されているようです。
塩分ではなく、餌が足りない事が原因ではないかと考えられている様です。

今回のこのテナガエビについては、純淡水型の湖沼産ではないかと思っていますが、
ゾエアが三日程度で死んでしまうという状態は、当然のように起こっています。
これでは、この個体群が「純淡水型」と言い切るのが難しい印象です。
この中卵型に相当すると思われるヌカエビ・純淡水型スジエビ・純淡水型テナガエビは、
難易度もテナガエビが最も高い印象です。
ヌカエビは個人的に何度も成功していますし、
各種の水質汚染の耐性実験にも「殖え易く薬物に弱い」という事で良く使われています。
スジエビも“逆さカマキリ”といった姿にまでは育てた経験がありますし、
着底にまで成功した方もWEB上で何回か拝見しました。
(最近は、繁殖がやたらと簡単な“ニュースジエビ”が存在するようです。体型や模様が違和感だらけ)
しかし、テナガエビに関しては、若干塩分があったほうが生存率が高いといった情報があるくらいで、
具体的な成功例が探せませんでした。
着底に成功したという一般の方の情報も個人的には聞いた事がありません。
親エビと同じ水槽で、偶然に一匹くらい育つといった感じではないのは確かなようです。


若干、エビっぽさが増している感じはします。
ややスマートになった印象がありますが、
育っているのかどうか、脱皮したのかどうかは微妙です。

五日後

個人的には明らかに大きくなっている印象ですが、
周りに仲間がほとんど居ない為、そう見える可能性もあります。
脚の形状が若干変わっている印象もあります。
ゾエアの数は、数えられる程度にまで減りました。


脚の本数が増えている印象ですが、
はたして、これは成長しているのか、
単に写りが良かっただけなのか。

結局、8日目には消滅です。
3日で全滅という事ではないようで、
屋外で日光を当てた水槽を用いれば可能なのではないかという、
希望が存在する印象を持ちました。
彼等の棲んでいる環境は、親の体中にツリガネムシが付着する世界です。参照⇒【湖沼産テナガエビ雄
おそらく毎日体を掃除し続けていてもそれだけ付いてしまうという生物量。
そのツリガネムシの幼生もたくさん浮遊しているでしょうし、
ツリガネムシが食べる微小な生き物も水中にたくさん存在するという証拠です。
エビの殻にくっついたままで餌を採れて生活できるわけですから、
その浮遊微生物の量は半端な数ではないでしょう。
同じような濃さのプランクトンや微生物を用意できれば、
かなり繁殖の確率は上がると思います。
水槽内のツリガネムシの有無は目安に成りそうです。

この湖沼型と思われるテナガエビの生息地には、
おなじく容易に陸封されるトウヨシノボリ、ヌマチチブの幼魚が湧くようにたくさん居ます。
石の下を大型の個体が独占している事もあります。
テナガエビが居れば、必ず居るような、おなじみの隣人であり、
互いに食べ合い、住処を奪い合っているライバルでもあるこのハゼ類。
やはり小さな浮遊仔魚を放出します。
この仔魚も、テナガエビのゾエアの食べ物とほとんど同じような物を食べて
大きくなっているのではないかと考えられます。
産卵はしますが、水槽内での繁殖例はほとんど聞かないこれらのハゼ類も、
太陽エネルギーが生物エネルギーに変換され蓄積されているような“力のある水”であれば、
繁殖は可能だということなので、
淡水型テナガエビについても難易度はトウヨシノボリやヌマチチブの繁殖と同様という気がします。
数匹のケンミジンコがちょろちょろしているだけの、
濾過の効いた、10W蛍光灯の下では無理という印象です。(追記2008・09・01)

2008/08/30


 


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