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名前がいいかげんな生き物です
近年は、アクアショップで様々なエビが売られているのを見ることが出来ますが、
その販売名に関しては、かなりイイカゲンなものが多いです。
エビ自身と値札の名前が一致しているほうが、むしろ少ないと思った方が良いくらいです。
販売名「ビーシュリンプ」は、
俗に「ニュービーシュリンプ」と呼ばれる、数種類のエビの総称ですし、
販売名「ミナミヌマエビ」は、ほとんどの場合、大陸から輸入されている「シナヌマエビ」。
「ミゾレヌマエビ」は、本当のミゾレヌマエビではなく、ヌマエビ(小卵型)。
「レッドテールグリーンシュリンプ」の中には、
見たことのない新顔や元祖ビーシュリンプなども含まれています。
「トロピカルシュリンプ」も、
台湾産ヤマトヌマエビとノコギリヌマエビ(同じく台湾産)の二種を呼びます。
販売店では区別される事の少ない“ニュー・ビーシュリンプ”(写真左)。
“ニュー”をつけて売るお店は少なく、愛好家側の通称に等しい呼び名です。
(個人的には偽ビー(^^;)
これと分ける為に、昔から馴染みの種類が“元祖ビーシュリンプ”
あるいは“香港ビーシュリンプ”という呼び名にされていました(写真右)。
しかし、その名前でニュービーが売られていたりもします。
(簡単に云うと、一番良く売れる名前にするだけ。イタチごっこ)
元祖ビーシュリンプの赤色変異個体は、
クリスタルレッドシュリンプ(略してCRS)、
レッドビーシュリンプ、レッドゼブラなどなど、
販売者まかせで様々な呼び名が付いています。
「釣用語」では、ミナミヌマエビはブツエビと称されているようで、
ブツエビの実体は、やはりシナヌマエビなようです。
モエビと呼ばれるスジエビも、
外国産なのか、国産にはない珍しいテナガエビなどが一緒に混ざって売られています。
その他「漁師用語」や「地方名」などもありますし、
「もえび」「川えび」といったら、それこそあらゆる種類を含んでしまいます。
店頭などで“ミナミヌマエビ”、“ブツエビ”と呼ばれて売られているエビは、
ほとんど外国種シナヌマエビ。
本当の国産ミナミヌマエビが売られていることは、かなり少ないようです。
シナヌマエビ類の特徴は額角が短い事。
第一触角が二股に分かれる太い部分の先端に額角の先端が到達しない。
(本物のミナミヌマエビは、ここに達するかそれ以上に長いのが特徴)
アクアリウムで御馴染みの“ミナミヌマエビ”には額角が長い者を見た事がありませんので、
99%近く外来種であると思います。
※アルジーライムシュリンプという、おそらくシナヌマエビ類の一種には、
前側角部に棘があるようですが、やはり額角は短いです。
他にも、採集されたエビであれば「混ざり」もあります。
ロックシュリンプの中には大きなテナガエビの仲間が入っているのも良く見掛けます。
熱帯魚ショップのエビ販売水槽の数が少ない場合は、
前の種類の残りに、別の種類のエビが混ぜられて売られてたりします。
特徴のない透明な「東南アジアヌマエビ」が一種類な可能性が、
はたしてどれくらいあるのかは見当も付きません。
完全に名前とエビが一致しているのは、ロックシュリンプくらいかもしれません。
(アフリカン・ジャイアント・ロックシュリンプとアフリカン・ロックシュリンプの区別はわかりませんが)
ヤマトヌマエビ
“トロピカルシュリンプ”という販売名の台湾産もあるようです。
むしろそちらの方が多いのかもしれません。
同じ“トロピカルシュリンプ”という販売名で、
ミナミヌマエビの台湾産近縁種ノコギリヌマエビが売られている場合も。
昔から定番の大型のエビ、ロックシュリンプ。
地域的な色彩・模様をもった個体は多いですが、
特に区別されることはありません。
これからも次々と新しい名称の種類が店頭に並んでいくと思いますし、
前からある種類も、別の名前で再デビューしてたりします。
アクア業界の販促用雑誌のようなものも、
ほとんど店頭そのままな掲載です。
というわけで、エビは、気に入って買ったエビの種類は自分で調べて確認する、
というのが慣例のような部分があります。
(川で採集したエビは言うに及ばず)
ミゾレヌマエビとして売られているエビは、
ほぼ100%“ヌマエビ(小卵型)”
古くからエビを飼っている(買っている)エビに詳しい方でも
これを「ミゾレヌマエビ」としている場合が多い要注意種。
この誤認はエビ愛好家に深く浸透しています。
タイガーシュリンプ、ゼブラシュリンプ、ハニーシュリンプなどは、
別種だったり、同種だったり。
中には中国産スジエビだったりする場合もあるとか。
たしかに縞はありますが(^^;
店頭でよく見るエビの種類は、
1.ビーシュリンプ
2.ヤマトヌマエビ
3.ミナミヌマエビ
4.ロックシュリンプ
5.ミゾレヌマエビ
6.タイガーシュリンプ(ゼブラシュリンプ)
といったあたりですが、
1.ビーシュリンプ⇒何も明記されない場合はニュー・ビーシュリンプである場合がほとんど
2.ヤマトヌマエビ⇒台湾産のヤマトヌマエビ(トロピカルシュリンプ)も多いらしい
3.ミナミヌマエビ⇒まずシナヌマエビ
4.ロックシュリンプ
5.ミゾレヌマエビ⇒ヌマエビ小卵型(ヌマエビ南部群)
6.タイガーシュリンプ⇒ゼブラシュリンプと一緒。縞さえあればこの名前といった感じで数種類あり。
であるのが現実で、エビの名前は、とりあえず付いているといった程度のものです。
観賞魚店などでよく売っている御馴染みの普及種であるにも関わらず
ここまで実態と違うものを販売しているというのは、
テトラ、アピスト、コリドラス、タナゴなどを見渡しても
あまり例のない話です。
エビの名前は、最初から鵜呑みは厳禁な世界です。
※【蝦ギャラリー】に載せてある種類に関しては、実体と名前は一致していると思いますが、
過去にミナミヌマエビとしていたものが、実はシナヌマエビとの雑種の可能性があったり、
ミゾレヌマエビとしていたものが、ヌマエビ小卵型(俗にヌマエビ南部群)だった事もあります。
※標準和名を使用しています。
※輸入観賞エビに関しては、最も古くに付けられた名前を尊重しています。
その方が先達の経験が豊富に活用できます。
※良く似た種類の見分け方はこちらなどにある各種“見分け方”を参考に、どうぞ。
※他のサイトとしては、有名所の【エビずかん】があります。
【えび道】と【珍エビ捜索隊】が共同で運営していたので、
HOMEと違うURLになっていて、最近どちらも更新がされていないサイトですが、
これは大いに参考になります。
ただ、「エビずかん」は販売名で分類されている場合もあります。
担当者の強い監修はありましたが、
画像提供者の自己申告な部分もありますので、必ず一致するという保証はありません。
(自分で調べる一つの参考としては強い味方ですが)
2006/09/23岩
2006/10/07 写真追加
2007/02/04 更新
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