★エビの死因
エビはアンモニアや亜硝酸が検出されてなく、phが適正値でも死ぬ事が多々あるようです。
濾過が機能していて、水が出来ていて、水合わせも問題無く成功し、
順調にいっていたそんなある日、とつぜん複数がバタバタ死に始める・・・
そんなエビの死亡原因の代表的なものを、知り得た範囲で書き記してみました。
参照⇒エビギャラリー【エビの死亡】
●飼育環境に大きな変動を与えた
水の換え過ぎ
水草のトリミングのしすぎ。
濾過槽、底床の掃除のしすぎ
底床を一気に全交換。(特に新しいソイルは溶出成分が多過ぎ、水が濃くなる)
『あげいんのホームページ』http://www2.tomato.ne.jp/~shin/
⇒アクアな基礎知識⇒6.底床における水質変化(ソイル系)
※他の項目もお勧めです
水は一滴ずつ、底床は一粒ずつ、水草は一葉ずつ、な、つもりで悠長に付き合います。
●カルキ(塩素)を抜かない水道水で換水
水道水には水棲生物にダメージを与えるように塩素が入っています。
これが入っているから安心してゴクゴク飲めるわけですが、
エビは水棲生物ですから、人間と逆の立場。
あまり気にせず三分の一程度をザバッと換えていた時期もありましたが、
季節や水源によって、塩素の投入量が変わるらしく、
3日汲み置いても抜けきれなかったのか調子が悪い場合もあったりしました。
塩素中和剤(ハイポやコントラコロラインなど)は
規定量入れる分にはエビに害はない様です。
残った塩素の方が遥かに危険なので、しっかり無くしてから使います。
カルキについてはこちらで⇒「エビとカルキ」
●酸欠
普通に扱う範囲では、エビがそれほど酸欠に弱い印象はないです。
少数を水草が育つ環境で飼うぶんには、エアレーション(ぶくぶく)は要らない場合もありますし、
水合わせ中に酸欠になって死亡する事もありませんでした。
ただ、水草水槽で二酸化炭素の添加をしている場合には、
夜間に植物の光合成が止まると酸欠になるそうです。
こんな場合は、なんらかのエアレーションを忘れずに。
●水草の残留農薬
入荷直後のアヌビアスが有名。
黒いポットにグラスウールで植わって袋入りで販売されているものは残留率高いらしい。
流水で本当によく洗ったつもりでも死ぬらしい。
症状は殺虫剤の項目と同じように、きりもみ状態で泳ぎまわって死ぬそうです。
水草を購入する場合は、エビが入っている水槽から買うのが吉。
ヤマトヌマエビが平気で葉のコケをつまんでいて、
ポットから底床に根をおろし、水中葉が展開しているものがベスト(日数が経ち残留量が低い)。
ちなみに、魚はこの農薬には平気な様なので、「魚が入っているから安心」とは云えないみたいです。
●餌用ホウレン草の農薬
エビは農薬系に弱過ぎるほど弱いらしい。
無農薬と表示されていたホウレン草を茹でて与えたのに死亡する場合もあるとか。
前作物に使った土に含まれる残留農薬は“農薬使用”に含まれないらしい。
ちなみに“有機栽培”と“無農薬”では意味が違います。
有機肥料をちょっとでも使えば“有機野菜”だとか。この場合、
化学肥料や農薬は使っているかもしれません。
“有機無農薬”という表示が一番よいのでしょう。
ところが、土壌殺菌剤や、牛糞・鶏糞に含まれる薬物は農薬に含まれないという話も。
このあたりの表示は逃げ道が多いので、エビに与えるなら自家栽培がお勧めです。
●高水温
エビの種類などにもよりますが、だいたい28℃以上で不調が見られます。
ゆっくり上がった場合は、30℃くらいでも平気だったり。
エアレーション強化で32℃まで耐えるという話も(溶け込む酸素の量の問題?)。
酷暑が何日も続くほど危険。
参考⇒【暑さ対策は置き場所から】
●上水道工事、貯水タンクの清掃
これらをした直後の水を水槽に入れると、エビに大ダメージが出るそうです。
使用される接着剤や樹脂に問題がある様で、最悪全滅もあるとか。
交換作業の振動で管内部から剥がれ落ちるものも良くないといわれる。
※年末や年度末は冷や冷やです。
●防藻剤(コケ抑制剤)の使用
エビには良くないと言われている。
「コケ除去剤」はさらに強力なようです。こちらはエビが死んでしまうらしい。
●pHの低下
低くなり過ぎると脱皮不全のような状態が頻発するらしい。
酸性に強い小型カラシンや小型バルブが元気だからと安心していると、
エビが一匹も見つからなくなる事が多いです。
ヤマトヌマエビやミナミヌマエビは例外的にかなり強いですが、
CRSは同じ水槽でも居なくなりやすいです。
魚が多くて、餌やりが多くて、水草が少なくて、水換えが少ない、ほど危険でしょう。
混泳水槽では水質は一番弱いエビに合わせて維持します。
その他、流木や枯れ葉などから、茶色いアクのような物質が出ます。
なんでも溶けるのが水の性質ですから、時間と共に水はどんどん濃くなります。
水を換えなさ過ぎると、清流だったものが沼地と化して行きます。
(遡上行動・脱走に繋がるかも)
●殺虫剤
神経がやられるようで、きりもみしながら泳ぎ、ひっくり返って、もがいて死ぬらしい。
水槽を密閉し、ドアも閉めたつもりでも燻霧式の殺虫剤は本当に家の隅々まで効くとか。
農地が近接している場合、風に乗った農薬で全滅もあるとか。
スプレー式水溶性殺虫剤が特に危険という話も。
ただし蚊取り線香はエビには効かないようで、我が家でも適宜使用しますが、
これが原因で死に至ったと思った事はありません。
『アクアインテリア ニワサキ』http://www2u.biglobe.ne.jp/~niwasaki/
⇒お気楽実験室⇒実験結果一覧
●アンモニアフラッシュ(?)
濾材に生息している濾過細菌などの微生物が、長時間の濾過装置の停止などで死滅した状態で、
この濾過装置を再起動させ、汚水が大量に水槽内に流れ込んで起こる生体の死亡を云うようです。
アンモニア濃度が急激に上がり、生体にダメージを与えるらしい。
特に水位を下げた時に最起動が難しい上面濾過を使用していると多い。
濾材の汚れ具合や腐りやすい温度にも依ると思いますが、
メンテナンス中の一時間程度なら問題は少ないようです。
うっかり忘れて丸一日動かさなかった場合はやや危険。
濾過細菌群が濾材内で大量に酸欠死しているかも。
濾過装置を過剰なほどに複数の系統に分けておく(上面x1、底面x1、スポンジx2など)と安心。
複数あると、その濾過細菌が死滅したと思われる濾材は飼育水できれいに洗えます。
●原因不明
上記の死因のどれにも当てはまらない連続死の原因が
エビには有るのではないかと思う事があります。
エビの免疫機構はたいへん陳腐なもので、生きた生鮮食料品といった感じさえします。
水質というよりも雑菌の量によって鮮度が落ちて腐ってしまう感もあります。
“エビが綺麗な水にしか棲めない”理由の一つではないでしょうか。
エビの免疫の話など
『クルマエビ作りの職人をめざす、渡辺辰夫のホームページ』
http://www.inh.co.jp/~penaeusj/
⇒エビについてのよくある質問
●クルマエビはどのように病原菌から体を守っているのか
●エビの病気を治すワクチンは作れるのか
生きている状態なのに腹節が乳白色〜黄白色に濁って死に至るという
奇病?の続発に悩まされた事がありました。
死骸が異常に崩れやすく、触れると粉のように舞ってしまうほどでした。
クルマエビには“筋壊死症”なる病気がある様です。
言葉の響きからすると似ています。
これは感染症ではなく飼育環境の問題らしいです。(詳細不明)
一時期、ワイルドBEEを同ショップから同時に購入した複数の方の水槽で
エビの大量死が報告された、
あるいは、白濁して死亡した死骸を問題無いエビ水槽に投入したら、
その死骸を食べたエビのみ全てに同じ症状が出て死亡、
など、感染症を疑わせる症状の報告を見聞きしたことはあります。
本来、「水質と病気」両方の情報がなければ、
対象の生物を「飼う」という環境を成立させるのは難しいです。
両輪が揃って、始めて容易な操縦が可能になります。
しかし、ペット用のエビの病気に関しては、白濁のメカニズムの情報すらない(?)状況です。
研究費の採算が取れるクルマエビから推測する程度だと思います。
無理に「水質」のみに全比重を載せて片輪走行をしているので、
舵取りが難しく、倒れやすいのだと思います。
発生原因や経過が分かりませんから、予防の為に日頃注意しなければならない事や、
初期の対応も分かりません。
ある日突然死に始めても、「すべき事」「絶対にしてはならない事」も分かりません。
水を大量に換えたり、それでもダメなら次の日は一切換えなかったり・・・と
真逆な対応を繰り返し、様々な迷走をした揚げ句に全滅。
今後もこの辺りは解明される見通しは少ないでしょう。
原因の分からない死亡を全部、病気やウイルスのせいにするのは早計なので、
できるだけ上記のような原因の中に突き止められる様、追求するのは当然ですが、
念の為、不可解な白濁エビが多数出た水槽の個体(一見元気に見える個体も)や水は、
他の順調な水槽には移さない方が良いと思います。(新しい別の水槽で養生させる)
死んだエビも、仲間が食べないよう、できるだけ早めに取り出しています。
●その他の単発的な死亡原因 (飼育者の不注意がほとんどですね。これは全て経験談)
・潜んでいたのを知らずに水槽から流木を取り出し、落ちていた者を踏んづける。
・水槽から脱走して、とんでもない所で干乾びている。
流れに向かって泳いでいたり、飛沫で濡れたガラス壁面をよじ登る行動がサインです。
・全部移動させたつもりだったのに、バケツの底に小さな赤い干しエビ。
・同じく、乾いた網に、小さな干しアミ。
・水合わせしないで他の水槽へポイッと移動⇒1〜3日後に死亡。
面倒臭いですが、購入時に限らず、移動の際の水合わせは毎回した方がいいです。
・共食い。収容個体数(特にオスの個体数)は多過ぎないように。
参考⇒【エビの共食いについて】
・寿命。老成個体がたまにポツっとコチコチに。
よほど飼育数が多くない限り、二匹以上の寿命が重なる事はまずないです。
複数の同時死亡、あるいは短期で連続する場合は寿命ではないと考えた方が良いでしょう。
たとえ一匹のみの死亡でも、すぐ寿命として処理しないで、飼育環境の再確認を。
●まだまだ死因はたくさんあると思います。
(例えば、ゼオライトの大量使用、魚病薬の投入、ヤゴが潜んでいた、脱皮の失敗などなど)
2004/04/24 岩
2004/05/06 更新
2004/06/02 アンモニアフラッシュ追加