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エビを食べていた魚(目撃談)

エビの成体と混泳できそうな微妙な魚種のうち、実際にエビが捕食された瞬間を見たもの、
あるいはエビが死に至りそうな多大なダメージを受けている場面を目撃したもの。

ワイルドグッピーの♀(成体の大型サイズ。産地は失念)
熱帯魚屋さんでもグッピーはエビとよく同じ水槽に入っています。
それだけ多くの事例があるので、
まあ、大きな問題は起きていない組み合わせなのでしょう。
尾鰭の大きな改良品種は瞬発力も低いでしょうし、
野生の記憶も薄れているのかもしれません。
しかし、フルサイズ級のワイルドの雌は、かなり危険な模様。

「ワイルドグッピー○○産」と書いてある水槽にレッドチェリーシュリンプが同居。
2匹居るワイルドグッピーは両方雌。一匹はかなり大きい。
尾鰭も短いので、見た目はカダヤシの雌と変わりない。
レッドチェリーは売っているものとしてはやや小さめで、1.5cm程度。
底に置いてある流木は、どっかりした丸太状。
丸太の下はひさし程度です。
エビの隠れ家と云うより、袋小路。

レッドチェリーは、たまに寄って来るグッピーに対してヒゲを振って警戒しながら、
その心許ない避難所の下で、せっせと採餌行動。
水槽の手前にはエビの抜け殻が複数・・・「ん?」
抜け殻ではありません。
尻尾の先や脚先に赤い肉が残ってます。
「プラナリアにでも食われたか?」
いぶかしく思っている目の前で、ザサッと大磯の飛び散る音。
なんと、たった今ツマツマしていたレッドチェリーがグッピーの口に頭から入ってます。
大根でも抜くかのようにレッドチェリーを袋小路から引き抜き、
振り返りざまに水中に放り投げ、また瞬時に尻尾から咥え直しました。
エビは脚や額角などにトゲが前に向かって生えてますから、
飲み込むには、尻尾からなんですね。
カワセミやサギが魚を飲み込む時は頭からなのと同じです。
(佃煮のエビなんかを迂闊に食べると、けっこうトゲが痛いのと一緒)
さすがワイルド。野生の血は狩りのしかたを心得ています。

レッドチェリーはグッピーの口の中に尻尾を丸めたまますっぽり納まり、
ヒゲ先だけが口から出ています。
「私にも頂戴よ〜」と小さい方のグッピーが口元にまとわりついていました。
ただ、あのまま喉を通って飲み込める大きさとは思えませんし、
水槽に転がる殻からして、
エビが弱ってから、何度も咥え直し・食べ直しが行なわれるのでしょう。

ホトケドジョウ
中流域の本流に注ぐ小さな沢や、涌き水のある小川などに棲むドジョウの仲間。
山間の細い小川を登ると、魚が上がれない「エビの楽園」があったりしますが、
そんな所にも必ず居る不思議なドジョウ。
オイカワやウグイも居ない、数メートルはある滝の上にもしっかり居ます。
体長も5cm前後で、エビと仲良く泳いでいたので、
気楽に混泳させていたら、
なんと、脱皮した直後のスジエビを襲って食べてしまいました。

こんな、おとなしそうな顔ですが...

スジエビが倒れているので「あれ?死んじゃった」と思って見ると、
脚が一本しかない。しかもまだ生きている。
脚の付け根の出っ張りと目だけを動かしている状態。
すぐ近くには、真新しい脱皮殻。
そこへやって来たホトケドジョウ。
まだ残っている腹肢に食いつくと、思いっきり振り回します。
このホトケ君。ひかりキャットを与えても意外と大きい口でバクっとくわえて、
振り回して千切り、飲み込みますが、
その食いっぷりと、浮き袋で浮遊する泳ぎ方は、
ドジョウと云うより「ナマズ」。
仏ではない事は間違いなし。

かなり大きなスジエビだったので、
加害者になる想定しかしていませんでした。
今回のケースでは、
ホトケドジョウは鰭先を裂かれる事もありませんでした。

脱皮時のおいしい匂いに誘われて捕食するタイプの典型。
以前、人口飼料をまったく食べない困ったウグイの雌を飼っていましたが、
ある日、そのぺちゃんこだったおなかが、ぷっくりしてる。
水槽にはスジエビの抜け殻・・・。
普段、エビが固い時には全く問題ない混泳相手でも、
脱皮直後のエビは、本当によく狙われます。
脱皮する前も脱皮した直後も、見た目にはただの「エビ」ですから、
違いは脱皮時に出てしまう体液の匂いでしょう。

トミヨ
古くからよく販売されている、トゲウオの仲間。
この魚はスポイトに目と鰭が付いたような感じで、
見るからに小さな動く生き物をついばむのに適した体型です。
鉤状にした細い針金で糸ミミズを与えて飼育していた事がありますが、
針金から放すのを待ちきれずに食いついてきて、
その細い口からは想像もできないような、固い力強い攻撃力を伝えてきました。

川魚売り場の水槽で、スジエビと一緒に売られていましたが、
四,五匹でスジエビをコーナーに追い詰め、
順番に突付き倒していました。
針金より細いスジエビの足が悲鳴をあげていたのは間違いなし。



●死んだエビを突付いている魚は、いくらでも見る事が出来ますが、
生きたエビを食べる瞬間に出会うのは、なかなか難しいものがあります。
別の原因で死んだエビを突付いていただけなのに=エビを食べている!=エビを殺した!
と“冤罪”をかけて混泳を諦めるのも面白くないですし、
かと言って、大丈夫なハズの魚に咥えられているエビを見るのも悲しい。

熱帯魚店や、鑑賞魚売り場でも、
当然ながら混泳させて「大丈夫そう」な魚としか混泳させませんが、
なかには、「オイオイッ」な組み合わせもあって参考になります。
魚種の入荷数が多くて、入れ場所に困った揚げ句、
やむを得ず混泳させてしまう事になるのでしょうけれども、
個人的にはまずしない組み合わせは、かなり勉強になります。
「案外、平気なものなんだなあ」とか「意外とダメなものなんだねぇ」
などと思いながらエビ水槽を巡ると混泳に関する知識が増えます。

 

2005/03/26 

【参照】エビ飼育に(やや)有効な混泳魚

【参照】スジエビの混泳を考える


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