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背腸(消化管)が細かったり見えないからといって、テナガエビ科とも限らない

ハサミ脚が4本とも欠損したテナガエビ科の個体がもし居たら、背腸の太さを見るのは有効ですが、
ヌマエビ科のエビが必ず食べ続けていて、常に腸管がパンパンに黒くて太いとは限りません。
『長いハサミ脚が4本全部落ちていて、“凶模様”も“m模様”も消えているテナガエビ科』という、
出会う確率の低い個体には有効というくらいで、普通はあえて見る必要はないと思います。


テナガエビの消化管が、尻尾の先まで太く真っ黒という事は、見た記憶がないですが、
逆に、ヌマエビ科の背腸が、細くて何も入っていない事は普通にあります。
脱皮両日や、体調が悪くて、食欲がなければ、食事はしませんから当然です。
ミゾレヌマエビの下側の個体は、腸に物が入っておらず、細いです。
上の個体は盛んに採餌中なので腸管は太いです。


同種と判断される事のほうが多いくらいの定番の2種。
スジエビは常に背腸が腰の頂点以前で終っている事が普通。そこから先は見え難いです。
このヌカエビの腸管は、物があまり入っていないようです。


腸管がほとんど見えない個体2種。
ヌカエビの奥のぼやけた個体は腸管が太いのが分かります。
何も食べていなければ、この前方の個体の様になります。


腰の頂点に似たような模様の有る2種。胸の横にも「ミ」模様が流れています。
脚の関節も黄色。目も同様に飛び出しています。
ヌマエビ(旧南部群)に、背腸は見えますが、食べ物は入っていないようです。
ヒラテテナガエビには、極めて細く腸管が見えます。


テナガエビは比較的、腸管が長めに見えます。スジエビよりは長いですが、
透明度が低いので探し難いかもしれません。


ミナミテナガエビの子供。細く長い腸管が尻尾先端近くまで続いている様です。
一番右に両腕の無い個体が居ますが、第一胸脚はどちらも健在でした。
小さくて折り畳める第一胸脚を失う事は少ないので、長い腕が無くとも、途端にヌマエビ科と見紛う事はありません。
参照⇒【長い腕を失ったテナガエビ科をヌマエビ科と見分ける
実際、ちいさな第一胸脚も失うと、食事に相当な苦労が想像されます。
この個体は、背腸に食べた物が詰まっていて、細く黒い背腸となっていますが、
第一胸脚があるからこそ、きちんと食べられています。
テナガエビ科は、背腸が長く通っていても、太さはこの程度で、ヌマエビ類の太さとは比べ物にならない細さです。
ヌマエビ類は、食べている時と、脱皮前後などで食べていない時で、大きく差がありますが、
食べているなら、このような細さではありません。


ヒラテテナガエビの子供はツマツマ(継続的食事法)するので、比較的、腸管が黒く続く確率は高いかもしれません。
(ヌマエビ科のように、太さまで変わるほど何でも食べる事はないですが)
奥のヌカエビも腸管が空っぽのようです。手前の個体には太く詰まっているのが見えます。

食欲のあるヌマエビ類の消化管には、太く長く食べたものが詰まっている事が多い、という事であって、
腸管に何も無いから、手が短いけどテナガエビ科だ、とか、
手は長いけど、腸管が見えるからヌマエビ科だ、という事ではありません。
「手も無くて、模様も無い」という、極めて少ない可能性ながら、
頭の片隅に巣食っているテナガエビ妖怪“うでなし”や“スジエビ妖怪“すじなし”の正体を、
「ただのヌマエビ科」と見破るのに使う、有効な識別ポイントです。

 


絶好調のウンチ製造マシーン。
背腸の特徴でテナガエビ科とヌマエビ科を見分けてみる
たくさん食べているヌマエビ類との消化管の違いはこちら。

 

2010/11/21 


2010/11/21 更新


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