総合目次に戻る】>【淡水エビの種類の見分け方・目次へ戻る


外来シナヌマエビ類の脚は湾曲している

http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/19310150
ミトコンドリアCOI遺伝子の塩基配列を比較したり、リボソームのRNA塩基配列を比較したり、
一般素人には不可能な識別方法で調べられています。(それはそれで重要で面白い情報ですが)
額角の長さは、現在では使っていないのか、「額角」の文字は出て来ません。
一般が生きたままのエビに使える方法としては、
「雄の第3・第4胸脚前節が湾曲している」という部分が使えそうです。
福建省の9集団113個体で確認された部分なので、使えると思います。
(ただ、中の1集団では、遺伝子比較でも、前節の湾曲でも同一という結果もあります。
これが移入されたら御手上げらしい)

第3・第4胸脚とは、歩く脚の前脚と中脚です。(第1・第2はツマツマ用のハサミ脚)
第3胸脚は、ケンカにも使う脚です。その次の脚が第4胸脚です。
前節というのは、爪の次の節。
http://www.geocities.co.jp/Outdoors/7766/kawaebi/kawaebizatuwa.html
川エビの体・参照

写真を見ると簡単に分かると思います。
下にある、長い脚の3本のうち、一番前が第3胸脚。次が第4胸脚。

その爪先の次の節が湾曲しています。
上側の脚も緩やかなカーブで曲がっています。
このエビはレッドチェリーシュリンプの雄です。台湾産のNeocaridina heteropodaとされているようです。
当たり前でしょうけれども、ここまで綺麗に曲がっていると、日本在来亜種ではないと言えそうです。


これはシナ類とチェリーの雑種。一番前の脚の前節が見事に曲がっています。
タカの爪ほどではないですが、なかなかな曲がり具合です。
その次の脚は、曲がっている外側から見ることになりますが、
光の反射が、明らかに湾曲している事を示す光り方です。
ちなみに、雄と雌の見分けは容易です。
股間(笑)に妙な「しゃもじ」か「洋ナシ」のような物が付いていれば雄です。
この写真と、上の写真に写っています。


一番前の歩く脚。その爪の次の節がゆるく曲がっています。
2本目の脚も湾曲しているのが、光り方でもよく分かります。
このエビは、流通名“ミナミヌマエビ”の子孫とレッドチェリーシュリンプの交雑個体です。
第1・第2胸脚は短いハサミですから、単純に6本の脚のうち、前側の4本を見ればよいだけです。


これは、“ミナミヌマエビ”という商品名で購入した子孫のオス。
内側に曲がっています。
比較的見易く、分かり易い違いではないかと思います。

雄個体にしか使えませんが、かなり有効な識別ポイントに思えます。
●額角が短いことがほとんど
●胸脚前節の湾曲
この2点を見れば、額角が長くて、脚が真っ直ぐであろう本物ミナミヌマエビとは違うと判断し易そうです。

予想される本物ミナミヌマエビの分布。
静岡県焼津以西(日本坂を越えられない)、京都府以西のよう。
琵琶湖の個体群も近年急増した外来種らしい。

現在は外来種が各地で急増中。⇒参照
http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/19310150/2007/3/ja
西日本の生息地内でも、半分以上の確率で外来種か交雑の可能性の高い個体。
北海道や東日本では全て外来種だろうと思います。
(安い中国製・韓国製の台頭で、常識的に日本製が売られる可能性は考え難かったですが、実際にその通りのよう)。

採集した雄の脚を見れば、外来種か在来種かは簡単に見分けられるのではないかと思います。
雄が全部曲がっていれば、同じ場所の雌も外来種と判断して良さそうに思えます。
福建省の1地域個体群では在来種と同じで湾曲していなかったようですが、
それが輸入されていなければ、識別は簡単ではないかと思います。
(日本向けの“商品開発”がされると厄介ですが。まだ今なら使えそうです)

額角だけでは微妙な個体が多いですから、
この雄の第3・第4胸脚の前節の湾曲を合わせて確認すると、随分と識別確率は上がりそうです。

100円高倍率ルーペでも充分に湾曲の確認は可能です。
一見の価値ありです。

 

2010/10/16 


2010/10/17 更新


総合目次に戻る】>【淡水エビの種類の見分け方・目次へ戻る

 

 

inserted by FC2 system