アフリカンロックシュリンプの飼い方(暫定版)

Atyopsis gabonensis?)

「綺麗な水で、餌は豊富」を目指します。
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小型個体の飼育の懸念


大きくて、おとなしくて、のんびりしています。「エビ界の水牛」。
ザリガニではありえない、平和な光景が見られます。
獰猛さや攻撃性を求める方には向いていないかも。。。
「牛」とか「ゾウ亀」に親しみを感じるような方にお勧めの生き物。

水槽

水槽は45cmが適当だと思います。
水の量と餌の量の差が大きければ大きいほど、水は悪くなり難い訳ですが、
かなり偶然任せに近い餌取りですから、あまり底面積が広くなるのは宜しくないです。
逆にあまり小さい水槽では、餌を撒く底面積が狭く、頻繁に撒かなければならなくなります。
さらに餌に対する水量も少ないので、水の悪化も早いでしょう。

餌を底面に撒きますから、底面積に対して水量が多い事が理想となります。
餌がある程度たくさん撒けて、水が悪くならない水量も確保でき、
同じ場所を何度も通ることで食べ残しも防げる大きさの水槽が良いという事になります。

ニッソーの規格で3M(幅450、奥行240、高さ300)という水槽があります。
一般的な45cm水槽と高さは同じですが、奥行が小さいため、
底面積が小さいわりには水量が多い水槽です。
同じく4ML(幅450、奥行295、高さ360)という規格もあり、
こちらのほうが底面積の少なさに対して、水量を多く稼げます。
どちらも底面積に対して高さがある水槽です。
背の高い水槽は、エアーリフトから出た強い水流が、底面に達しにくい利点もあります。
撒いてある餌が水流に当たり、しごかれたり、舞ったりすると餌が溶け、水質が悪くなりますから、
水流が底の餌に当たるのは宜しくないわけです。
餌は水に極力当たらず、水は水のみで十分に循環濾過してもらえるのが理想です。

蓋:
ロックシュリンプに脱走された経験はありませんが、見るからに遡上能力が高そうですから、
アフリカンロックに関しても、ガラス蓋はしっかりしておいた方が良いと思います。
特に水槽の四隅、立ち上げパイプ付近は、よく塞いでおきます。
ただ、脱走を試みると云う事は、「この水に入っていたら死んでしまう」という事だと思いますから、
環境を見直さないと、根本的な解決にはなりません。


濾過器

エアーリフト式のスポンジフィルターを使っています。
強い水流や強力な物理濾過は負荷が多くなるだけですから使いません。(参照 【
並立し難い三要素】 )
アフリカンロックの腕の力は、かなり強く、水槽に慣れない頃は、
強引にフィルターの裏などに割り込もうとしたりします。
立ち上げパイプをスポンジ部分からもぎ取ったり、
スポンジの傾きを変えるくらいは朝飯前です。
吸盤は新しくしっかりした物で固定するようにした方がいいでしょう。
もっとも、環境に慣れると、このような無駄な行為は、全くしなくなります。
エアー量は、水換え等で出水口が5cm以上水面から出ても、
出水口の径と同じ流れが問題無く注がれ続ける状態にしています。

ろ材:

スポンジには、“ぬかみそ”と形容したくなるような茶色のボフボフ、
いわゆる濾過細菌・活性汚泥がたっぷり含まれていなければなりません。
これを二基立て(ダブルブリラント)、詰まって「ガポッボコッ」言うようになったら片方ずつ交互に半洗浄します。
洗浄にはその水槽の飼育水を汲んで揉み洗いし、詰まりが半分解消する程度で終え、元に戻します。
スポンジフィルターは「きれい過ぎず、きたな過ぎず」の半詰まり状態を常に維持します。

※洗浄は「ガポッボコッ」言う前にする方が良いのですが、
なかなか洗浄が必要になった時期を把握するのは難しいので・・・
先回りの洗浄でスポンジの濾過細菌を掃除し過ぎるよりは、この方が安全です。
ロックシュリンプは生息地から推測されるほど特別に酸欠に弱いという感じはありませんから、
水流が減ることによるダメージはそれほどありません。
ただ、底面に餌が置いてある時間が長いというこの飼い方をする場合、
循環水量が減ると水質悪化->食欲減退->残餌の腐敗->さらなる水質悪化
という悪循環になる可能性はやや高めになります。
ですから、上記の吐出量を維持した方が良いのは言うまでもありません。
「カポッ」っと言い始めたら、早目早目に“詰まり過ぎ”を解消した方がいいです。


照明

東南アジア産ロックシュリンプ
Atyopsis moluccensisだと、
点灯時に大慌てになる場合が多いですが、
このアフリカンロックシュリンプは東南アジア産ロックシュリンプより光に対してかなり鈍感です。
点灯時もちょっとした水草の陰でもあれば、特にパニックになるような慌て方はありませんでした。
生息地で日中に隠れている石をひっくり返されて捕獲されるといった行為がなかった証しでしょう。
(肉がおいしくないのかな?)少々の振動にもびくともしません。
南米産ドンキーシュリンプ同様、極めて飼育しやすいロックシュリンプです。

ちなみに東南アジア産ロックシュリンプも、消灯におびえる事は、ほとんど無いです。
いきなり暗くなるのに「おいでおいで」をやり続けているのだから不思議。

エビ全般に、照明時間によってエビの何かが変化するという印象は、現在のところ感じていません。
(短いと抱卵しなくなるという説はあります)


底床

敷きません。物理濾過の効いた綺麗な水と砂利が揃うと「絶食ダブルパンチ」です。
水中から必要量を満たす餌を採らせるという方法は、実用的ではないですから、
底面からの採餌の方は確実に残す必要があります。
底床を敷かない事で「綺麗な水で、餌は豊富」という環境を簡単に提供できます。
腸の中を、餌が流れ続けます
底床を敷かない事によって、はじめて食事が可能になります
予想通りの大食漢でした。食欲に途切れがありません
水槽底面がピカピカになるまで掃き掃除。


糞は多くても水は汚れません
よく食べるから、糞も水牛並み。
ベアタンクは掃除も楽々です


水温

【寒さ】
23度だとやや動きが鈍い感じがします。22度で半分寝ています。
現在一応24.5度にしています。
餌の食いも糞の量も多く、活発に動いているので、この温度でも問題はないようです。
日本にもロックシュリンプの仲間「オニヌマエビAtya spinipes」「ミナミオニヌマエビAtya pilipes
が沖縄周辺に生息している様ですが、屋久島以北には生息しないそうですから、
寒さに強いことはないでしょう。
海に流されたゾエア幼生が黒潮に乗って本州にも達していると考えられますが、
恐らく定着できずに冬期に死滅しているものと思われます。
このことから、輸入される外国産ロックシュリンプも低温には弱いと判断しています。
最低20度は保った方がよいと思います。

※その後、サーモスタットのコンセントがはずれ、水温16度になる事がありました。
途切れない食欲は影を潜め、立っているのがやっとの状態です。ヒゲのみしか動かせません。
水温を徐々に上げていくと、水温17度で、まっすぐ立てるようになり、
20度でようやく動けるようになりました。
24.5度に戻しても、ふたたび調子良く動くのに5,6時間、
以前のような食欲と糞の量を取り戻すのに2昼夜を要しました。低温は要注意です。
ちなみに、東南アジア産ロックシュリンプも水温16度で、ほとんど冬眠状態でした。
こちらも同じく回復に2昼夜かかりました。

【暑さ】
東南アジア産ロックシュリンプと南米産ドンキーシュリンプは、
ビーシュリンプがばたばた死ぬ水温30度を超える夏の高温季にも弱った感じはありませんでした。
そこから推測すると、アフリカンロックも暑さには強いかもしれません。


水質水換え

他の小型ヌマエビ類の飼育水と同様で問題ありません。
ビーシュリンプ(CRS)やヌカエビ等を長期飼育している方なら、なんら問題無く飼えると思います。
印象としては、それらに比べ、はるかに丈夫です。
最上流部に生息していると云われているだけあり、
特に新しい水と相性が良いようです。

どのロックシュリンプも水質変化に関しては極めて寛容です。
他のCRSなどの小型のヌマエビ類の導入時に必要な「慎重な水合わせ」も特に要りませんでした。
水換えに関しても、エアチューブをサイフォンとして使った程度の投入で問題なしです。
汲み置き水で半量換えても平気。これを2、3日連続でやっても平気でした。
(大量の水換えとスポンジの洗い過ぎを同時に行なうと、濾過細菌が減り過ぎて危険です)
ロックシュリンプは上流部に多いと思われる頻繁な氾濫に耐性が高いのかもしれません。
(体の大きさと、歩脚の巨大なフックで流されない為か余裕です)


混泳

ロックシュリンプは、基本的には同じくベアタンクで飼う事の多い大型魚のような、
個体そのものの姿態を楽しむ生き物であると思います。
体も大きく、存在感たっぷりの彼等は、十分その任に足るでしょう。
水草ディスプレイ水槽や、魚の多い混泳水槽では、餌問題が生じ、成長不良・短命が予想されます。

ミズミミズ、ユスリカ、ミジンコなどの小虫退治用のメダカ3匹程度は全く問題無しでした。
プラナリア退治用にクローキンググラミー、ピグミーグラミーは入れた方が良いかもしれません。
ただし、以前ヤマトヌマエビの水槽でピグミーグラミーを飼っていた所、
抱卵しているヤマトヌマエビの卵のみを狙って突付き、食べていましたので、
繁殖を試みる際には、ピグミーグラミー等は除いた方がいいでしょう。
混泳向きだが、混泳に向かない生き物
本当に平和主義。
水牛に乗っかる鳥を見る想いです。

小型の各種ヌマエビ類は問題ありません。頭に乗られても意に介さない風です。
むしろ広い背中のコケ取りや糞の分解役に、あまり住み処が競合しないヌカエビなどを
混泳させた方が良いかもしれません。
同居のロックシュリンプに対しては、やや攻撃的な場面も見られます。
特に大きめの個体を認識すると、猛牛の如く突進します。
鳥には無関心な水牛でも、意識に上るサイズの動物にとっては猛獣なのと一緒な感じです。

底生性の強いビーシュリンプとは生活域が重なりますから、
ほどほどの数にしないと、ビーシュリンプに餌をすべて持って行かれてしまうかもしれません。
一緒に入れたヌカエビも、豊富に置いてある餌で著しく早い成長速度になってしまいました。
この、のんびり具合に合う生き物であることが混泳の絶対条件です。

予想ですが、バタフライフィッシュ(Pantodon buchholzi)など、
底面にある餌に全く興味を持たない魚で、ロックシュリンプにも興味が無い上層魚とは
よい混泳相手になるかもしれません。
ベアタンクでの掃除の腕は折り紙つきですから、
それらの魚の残餌は綺麗に片付けられると思います。

ひたすら食べて、出す一日。
大きな糞もヌカエビが分解。



アフリカンロックシュリンプは東南アジア産ロックシュリンプに比べ、餌の匂いに敏感に反応します。
(南米産ドンキーシュリンプも同様でした)
手を広げたり底面を掃いたりしてあちこち歩き回っている所へ餌を投入すると、
エサの所にちゃんと寄って来て、さかんに拾って食べ始めます。
ガラス蓋の角から水槽の一角に餌をぽとぽと落として与えていますが、
その角に居座って、延々食べ続けています。

キョーリンのザリガニの餌が大好物。
腰を据えて、ふやけた表面をゆっくりと食べていきます。


そこに餌が無くなると、またあちこち動き回ります。
底面が彼等のホウキで綺麗になったら投入するようにします。
水草に引っ掛かった餌は全く食べませんので確実に底に落とします。
他のエビ類同様、四六時中食べ続けていたい素振りです。
食べ方はゆっくりですが、実際、与えただけ食べます。
朝一回と消灯前一回は必ず与え、その間は与えられる時に適当に与えれば良いと思います。
よく沈み、胸脚で掴んで口に持って行ける大きさの粒の熱帯魚用の人工飼料を、
3〜5種類、よく食べるものを多く、あまり食べないものを少なく混ぜます。
腐りにくい種類の餌は、多めに撒いておけるので、彼等の途切れない食欲を満たす事が出来ます。

中でもキョーリンのザリガニの餌がお気に入りのようです。
沈ませやすいので、餌をあげる時にも便利です。
丸ごと一個を口に含み、表面がふやけた部分を食べて、まだ固い芯の部分は吹き出します。
これを繰り返して、長い時間をかけて食べています。

たくさんあって御満悦。


細かい粒も無くなってきました。


「おーい!餌がねぇーぞー!」
エサ中毒に近いです(^^;

植物質のエサにはあまり興味が無いようです。
プレコ用のタブレットを小さく割って与えておいても食いは悪いです。
焼き魚や煮魚の黒い「きも」の部分(肝臓かな?)を少量(腐りやすそうなものは、遊びで与える程度)、
たまにあげると「んぐんぐ」食べています。けっこう肉食が強いのかもしれません。


水草

彼等は水草が生えたような場所には生息していないと思います。
ガラス底面を歩くのはそれほど苦労しませんが、
水草が脚の下にあると、ゴツゴツした脚や股の間に引っ掛かって、非常に歩きづらそうです。
そんな訳で、沈んだマツモやウィローモスは苦手です。
鼻先のヒゲの付け根に水草がぶつかる状態も好きではないらしく、
水草の茂みに潜っていくような事は出来るだけ避けたい様です。
ですから、水草の奥にある餌は、そのまま残ってしまいます。

逆に、彼等の生活域である底面から8〜10センチ以上の部分に関しては、
何を入れておいても、無関心です。
背中が触らない位までにマツモを浮かせてあります。

水草を食べるという場面も見ていません。


流木

人影を意識することはしますが、目立っておびえる素振りはありません。
ヒゲをこちらに振り、探る行動をする程度です。
部屋の照明を遮るかたちで水槽の前を横切った場合に、たまには2、3歩バックしてみる事はあります。
明るいライトの下にも出て来ますので、流木の必要性は感じません。
餌やりや採餌の際に歩く邪魔にならない程度に、丈夫な有茎草(マツモやアナカリス)を浮かせ、
影を作ってあげる程度で良さそうです。
その無頓着ぶりは、ドンキーシュリンプとほぼ同レベル。
大きな体に比べ、深海性か洞窟性の生き物を連想させるような小さな目は、
生息地の川が始終濁っている可能性も彷彿とさせます。
実に、おっとり、のんびりした生き物です。
点灯時や人影におびえて、物陰に大慌てで隠れようとする東南アジア産ロックシュリンプとは、
別の生き物のような感想を持つ種類です。
東南アジア産ロックシュリンプを“スズメ”とすると、
アフリカンロックシュリンプは“アホウドリ”に近いものがあります。
鳥島やガラパゴスといった隔絶された孤島の生き物の印象です。
食用に漁獲された歴史や、好んで捕食する天敵が、あまりなかったのかもしれません。

東南アジア産ロックが臆病過ぎてなかなか姿を現さず、つまらなかったという方も、
このガラス前面まで平気で出てくるアフリカンなら、きっと満足できることと思います。



2004・01・11 

 


2004/01/18 低温に追記
2004/04/08 画像を追加


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