ニュービーシュリンプ(元祖ビーに酷似した種類)と元祖・本物ビーとの見分け


一見、高グレード元祖ビーに見えるニュービーの一種

観賞魚店で「ビーシュリンプ」として売られるエビは、
大きく分けると、CRSの元となったビーシュリンプ
(のちにそれ以外の種類と区別する為に“元祖”“本物”“香港”と冠される場合が多くなった)
と、ビーシュリンプが熱帯魚店の水槽から完全に消えた時期に、
代用として入ってきた種類から始まるニュービーシュリンプの二つに分けられます。
売り手側では全く区別していない場合が多く、
ニュービーなのか本物ビーなのかの区別は買い手側が勝手にするものという傾向が強いです。
※“香港”と冠してあっても、“香港で捕れたニュービー”だったり、
あるいは“香港で流通しているニュービー”だったりという事もあるらしいです。


一口に“ニュービーシュリンプ”と云っても、これは一種類ではないでしょう。
タイプというよりも種類として違うと思われるものが、少なくとも4種類から5種類はあります。
ビーシュリンプの代用として入ってきた当初に見られた種類は、色も柄も見るからに元祖より劣り、
見分けようとする必要もないほどのものでしたが、
つい最近の新しいものには、観賞用として十分な魅力があり、
ニュービーという枠に入れておくのはモッタイナイと思える種類も出てきました。
元祖ビーなのかニュービーなのか、しばらく確認時間を必要とするほどに似ている種類もあります。

以下にあげる1種類は、数あるニュービーの中でも元祖ビーに極めて似ている種類です。
もっとも、元祖ビーはグレードによって模様が大きく変わりますから、
元祖ビーに似ているというよりも
「元祖ビーのSグレード」のみに酷似していると云った方がよいニュービーです。
他の写真も併せて御覧下さい⇒【えびギャラリー】⇒ニュービーシュリンプ(元祖ビーに酷似した種類)
※このタイプのニュービーシュリンプのみの見分け方です。
※交雑実験はしていませんので、生殖隔離がされているかは不明。
(元祖ビーのオスが、ニュービーのメスの背に乗っかる、交接前の前戯?行動は一度目撃)


元祖ビーのSグレードに酷似なニュービー

グレードの高い元祖ビーシュリンプと見紛うようなクッキリ白黒ストライプのニュービーです。
元祖ビーシュリンプとの大きな違いは以下の通り。

●このニュービーには、腹節を斜めに横切るように黒い模様が入るという特徴があります。
同腹節上であるのに、青い矢印(下の特徴を記した写真内)の部分で色がクッキリ白黒に分かれています。
黒い縞の構成が、第二腹節の腹側の後端と、
第三腹節全部と、第四腹節の背側半分によって成り立っている。
つまり黒い模様が、腹節などに関係なく、斜めにまたがって付いているわけです。
腹節にこだわる事なく、模様が優先になっているのです。
(多くの個体にある独特の模様ですが、全個体に共通ではありません)

●体の白黒の高グレードさに比べると、尻尾の先の四つの白点が低グレード過ぎるのがほとんどです。
ここまで高グレードの元祖ビーですと、尻尾の先の白点は、もはや「点」にとどまっていません。
体のグレードに比例して、白いペンキでも塗ったかのような思いっきり目立つ状態になっているはずです。
それがこのニュービーでは異様に貧弱で、あまり目立ちません。
見慣れない模様だったり、中心付近に黒点があったり、ほとんど透明だったり。
尾扇のへりがオレンジな個体もありますが、大半の元祖ビーの尾が全体にオレンジ色なのとは趣が異なります。

左が元祖ビー。右2つがニュービー。
ニュービーの上は独特の不思議な模様。
下は、それの色褪せたタイプ。

※水に慣れたのか、尾扇の模様が濃くなった個体が現われました。⇒こちら


元祖Beeの抜け殻を食べる黒Beeと赤Bee。
顔・手足・尾のオレンジ色は殻の色。
その他の白黒は身の色である事が解かります。尻尾の白点も残さず抜けます。
脱皮殻がオレンジだったら元祖、というのも有り?かも。

(ちなみに、CRSの殻は無色透明)

●目に掛からないぎりぎりの線(額?)で白い模様が止まり、
眼の上や眼の付け根に白が乗らないという特徴があります。
この為、目が周囲にとけ込み、目線を探せませんから、元祖ビーのような顔の表情感に欠けます。
この部分で、可愛らしさという要素が元祖ビーより、やや劣ります。
人相が悪い感じ
目の周囲が暗く、暗い所に居るのを前から見ると、
“ほっかむり”をした泥棒のようで、やや目付きや人相が悪い印象


同じ角度から見た場合、元祖ビーやCRSでは
白い模様の上に眼が来る場合が多く、
目線が合う感じ。
顔の印象も明るい。

●頭胸甲の黒い部分と白い部分の比率が、
このニュービーの場合、黒:白が3:2くらいで、かなり白い面積が大きいです。
元祖ビーの場合は、黒:白が4:1くらいです。

ニュービーシュリンプ(元祖ビーに酷似な種類)の特徴

↓元祖ビーシュリンプの特徴

残念ながらこの高グレードニュービーに対抗できるほどの
高グレード元祖ビーが居なかったので、
標準的な模様の高グレードの白黒ストライプ系元祖ビーと
模様の位置は一緒のやや低グレード個体で代用。

元祖ビーシュリンプ、そしてその改良品種のCRSの場合、
目の裏側や「まぶた」のように見える部分に白が乗るのが普通です。
これが無いニュービーとは、顔の印象だけでも「なんとなく違う」と思うものです。
この白い「まぶた」や「アイシャドー」によって目が強調されますから、
元祖ビーには、小さいながらも“表情”というものが演出されます。
ひとに愛される、お得な模様
まんまる黒目が強調される白いアイシャドウ。
カワイイ!という印象を与える大きなポイント

この目の上や目の間の白は、稚エビ・仔エビ時代には特に濃いです。
後ろから見ると、目が飛び出したカエルのように見えます。⇒【元祖ビーの仔エビ
この白は成熟した後のかなりグレードの低い個体や老齢個体でも残っている場合が多く、
元祖ビーを見分ける際の特徴として重宝します。
⇒参考写真CRSギャラリー(CRSも模様の傾向は元祖ビーと同じ)
ましてや比較する必要のある程の高グレード元祖ビーなら、
目の間や目の上は間違いなく白いはずです。
腹節の黒い模様もきっちり第三・第四腹節に納まっていると思います。
さらに、それほどグレードが高くなくても、
元祖ビーでは尾の先の四つの白点はよく目立ちます。
体型も、このニュービーがやや寸胴で胴長な印象なのに比べ、メリハリがやや強いです。

当然ですがCRSの標準的なくっきりストライプ系個体の腹節の赤い模様も、
第三・第四腹節のみにキッチリ納まっています。
(ベタ赤系や、模様が乱れたタイプは、この限りではないですが・・・)
※最近のSS級とか非売品とされる元祖ビーやCRSには、
とんでもない所にまで白色模様が入っている個体もあるようです。

ママ、まゆげ忘れてるよ
老成した個体では
目のまわりに完全に白が無いこともあります


ちょっとおもしろい、エビの第二腹節

重なる順番が逆
ひじょうに見やすいアフリカンロックシュリンプの第二腹節です。
淡水産のヌマエビ類やテナガエビ類(コエビ下目に含まれる)は皆、
第二腹節が洋ナシ型というか、雪だるま型で、
背中側に比べ腹側の面積が大きく、しかも前後の腹節の上に重なります。
順番に重ならないで、この第二腹節が一番上になっているんですね。

上のニュービーの写真では、この第二腹節の腹側の後端の膨らんだ部分に
黒い模様が乗っていることになります。
高グレードの白黒くっきりストライプ元祖ビーでは模様が腹節をまたぐ事はなく、
この第二腹節の次とその次の第三腹節・第四腹節のみが、
お行儀良く黒い模様になっています。


もちろんCRSも同じで、一番広い第二腹節が、前後の腹節の上を覆います。
ちょっと見難いですが、卵を包む透明で大きな部分が洋ナシ型の第二腹節。


2004/04/07 


2004・05・21 元祖Beeの抜け殻写真追加


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