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エビの病気


エビの病気について

エビの病気に関しては「病気を出さない」しか対応のしようがない感じです。
「病気=死亡」である場合がほとんどで、病気になってからの対処法は「掃除」や「水換え」がせいぜい。
観賞エビの病名や原因、対策が、しっかり書かれた名著は見た事がないですし、
エビ用の薬も一般的には販売されていないと思います。

エビが不調になる原因の大部分は「水質悪化」と「高水温」。
なかでも栄養価の高い動物質の与え過ぎと、夏の暑さがほとんど。
まれに「新規参入エビからの持ち込み」と思われる症状があります。

水温低めの綺麗な水で飼い、
新しく購入したエビは、トリートメントタンクで充分に様子を見る。

を守っていくしかないと思います。

白濁
エビの体調不良の代表的な症状。
白濁と一言で云っても原因は様々なよう。
他の項目のエビも、だいたい白濁しているのが普通。

老衰
寿命の短いヌカエビは、半年や一年でうっすら白濁していき死んでしまいます。
体力や免疫力が落ちているものと思います。

目の前の仔エビは元気。

高温期に多い白濁

水温が連日28℃を超えるようになると多発。(なんらかの酵素が正常に働かなくなる温度?)
渇水の夏などには、自然の川でも腹節が白濁して元気のないエビを見る事がある。
自然の状態でもエビは暑さと戦っているようだ。
酸欠に起因する場合は、エアレーションの強化で発生が抑えられる事もあるようだ。
小型水槽なら、水槽を涼しい場所に移動するだけで解決する事も多い。【暑さ対策は置き場所から
高温が直接響くだけでなく、
“置き餌飼い”なエビ飼育は、高温期に餌の腐敗で水質悪化に成り易い(特にロックシュリンプ)。

白いミナミヌマエビ
国産ミナミヌマエビの採集個体でよく報告される“白いミナミヌマエビ”は、
後天的な特有のバクテリアの共生?といった印象を個人的には持つ。
病気とは系統がやや違う印象を受ける奇妙な現象。

“ミナミヌマエビ”には白濁しても元気な個体が多いようだ。【ミナミヌマエビ白濁個体

黄濁(連続死タイプ)
元祖ビーシュリンプに発生。
腹節部分が黄白色に濁り、柔軟性を失う。
体が黄濁しているのに食欲が減ったり、行動自体の鈍りは感じられずに、
死亡前日くらいでも、背虫のような格好のままで、普通に採餌行動を行なうところが奇妙。
つまり、「弱っている」という行動は示さないまま腹節部分のみ黄濁して固まる。
発症から3日程度で死亡する。
黄濁した腹節部分は、生きている時点で既に組織が崩壊しているようで、
事切れた死骸の崩れが激しく、粉のように崩れる。
おそらく東南アジア産ロックシュリンプからの持ち込み。

発光死(連続死タイプ)
夜中に蓄光材のように黄緑色に輝くエビの死骸。弱った個体も光る。
死亡率・感染率が非常に高く、次々と発光個体が現われ、次々死んでいく。
バーンスポット?との合併で、数百匹いたヌカエビが3匹にまで減少した。
一回のみの発生で、終息してからは一度も発生していない。
これも、東南アジア産ロックシュリンプからの持ち込みの可能性が大きい。【発光するエビの死体

茶色の小班点(連続死タイプ)
おそらく、ザリガニの病気として良く知られる「バーンスポット病(焦点病)」。

体に茶色い焦げたような小さな丸い点やドーナツ状の点が出て、
それが出た個体は翌日に死亡するという急性な病気。
バーンスポットという病気は、ヌマエビ類での発生情報は見掛けない。
一回のみしか見られなかったので「常在菌」という印象は低い。
おそらく東南アジア産ロックシュリンプからの持ち込み。【発光するエビの死体

“琴を弾く”
CRSやビーシュリンプ特有。
“崩壊”という状況下にあるCRSの症状ではないかと思われます。

一ヶ所にじっとしたまま、ピアノか琴でも弾くかのように手脚のみを左右に振る。
体色はぼーっとし、滲んだ様に赤味が強くなる。
体力にもよるが、2、3日で死亡する事が多い。
この症状が出た水槽の個体は毎日数匹ずつ死亡していき、
最終的に全滅する場合が多い。
極めて初期の場合を除き、環境改善策が全て無意味な場合が多い。
連続死を起こすが、感染症という形ではなく、
一度同時期にダメージを受けた多数の個体が、
各々の体力によって、死ぬまでの時間にバラツキが出ているといった印象。

・同じ水槽内にいる仔エビ・若エビには発症が極めて低い。
成熟サイズのエビ特有と言えてしまえるほど。
・新たな発症や連続死が続く水槽に、
ヌカエビや、レッドチェリー、ミナミヌマエビを投入しても
これらのエビには発症しない。
・試験紙で亜硝酸は検出されない
・底床の種類に限定されない。(ベアタンクでも発生)
・濾過装置の種類に限定されない。(相当な過剰濾過でも発生)
・水温に限定されない。(高温なほど多いのは当然ですが)

※追記(2006・03・08)
この症状に関しては「アンモニア」が原因ではないか?という印象が強いです。
アンモニアによって鰓組織が破壊されたのかな?という推測。
エビは胸脚の体内側に「えら」が一つずつ付いています。
ザリガニも酸欠になると、同じように胸脚を横に振ります。
鰓が損傷を受け、やや呼吸困難になっていると考えられると思います。

新しくソイルを足すと軽減(吸着効果・酸性に傾く事による中和効果か?)。
餌の種類を軽くすると軽減。

体内に赤い炎症
すぐに死ぬという事もないですが、長生きはしませんでした。

頭胸甲がめくれている(追加2006・03・08)

かなり不恰好に左右の殻がめくれて浮いていましたが、
餌食いも良く、普通に寿命を全うしていました。
広がりが進行する事はなかったですが、
脱皮しても直りませんでした。
これは、その個体特有の奇形と思っています。

背中の隙間が開く
頭胸甲と腹節の間の隙間が広がる。

毎日少しずつ背中の隙間が広がって行き、最終的に死亡する奇病。
(別の原因なのか、広がったまま元気に餌を食べて生きているものもある↓)【エビの死亡
この頭胸甲と腹節の間の「隙間」が広がる原因は水の汚れのようです。
これは奇形ではないので、
底床掃除の強化、控え目の投餌、ソイルの交換や追加、
ろ材の目詰まりの確認、適度な個体数での飼育、
などの基本的な管理の再確認や強化で発生を抑えるしかないと思います。
日々隙間が広がっていって完全に前かがみになり、
餌食いも落ち、死んでしまうケースが多かったです。

実は隙間は案外日常的に見られます。
間隔は日々変動しています。
間延びしている個体が多数見られたら危険。

この状態なのに、なぜか元気に煮干の骨をツマツマしている個体。
黒い背腸が見えるのが元気な印。
病気とは別の問題なよう。

白濁から背割れてくる場合も。

脱皮不全

脚と触角が脱げなかった状態。


主に頭胸甲、そして触角が脱げなかった状態。


尻尾が脱げなかった状態。
この程度なら自分で皮を剥いでしまえる。
脱いだ後でも、固まってしまった甲羅は伸びない。

腹肢を開いたままになる

不調の初期に見られる状態。
このままじーっとしている。
脱皮直前に一時的に数分間このような状態になる事は有る。

エビヤドリツノムシ?

ヌカエビの鼻先に付いたエビヤドリツノムシと思われる生物。【エビヤドリツノムシ?

参照エビの寄生・共生生物情報

 

2005/09/18 


2006/03/08 追記


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