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ヤマトヌマエビ



以前の記事からすると、7年は経っているヤマトヌマエビの雌です。
相変わらず、一匹のみの為、産卵はしていませんが、元気そのものです。
販売水槽の中の最も巨大な個体を選んだので、
当時で3歳以上と推測されますから、
10歳にはなっていると思います。
購入から5年を経過したロックシュリンプのメスを遥かに凌ぐ、我が家の最長老です。
「淡水エビの寿命は1〜2年」とされることが多いですが、
全般にと考えても短過ぎる印象です。
経験的に、ヌマエビ(ヌマエビ南部群)も3年以上。
ヌカエビも3年以上。
ヒラテテナガエビも4年以上生きています。
マテナガも雄の場合3年は生きるのは間違いないと思います。
ビーシュリンプも2年半は確実に超えます。
トゲナシヌマエビが長寿なエビなのも有名です。
このあたり、エビを死なせてしまったお客さんに、後悔とか精神的ダメージを与えずに、
再び購入してもらう為の情報操作的なものなのかもしれません。
本来なら5年、10年と生きる生き物を自分の責任で短命に終わらせてしまうというのは、
深い傷になるかもしれませんが、
「元々一年の命」だと思えば、傷は少なくて済みます。
脱走して干乾びたエビが自分と同年齢、あるいは年上だったなんて例もあると思いますが、
短命という先入観が先に入っていますから、考えなくて済みます。傷も負いません。
どうせ一年の安い命なら、躊躇なく、安心していくらでも買えます。
エビの命の安い扱いと、この「寿命は1、2年」という情報は密接と云えると思います。
「1〜2年」と書かれていれば、だいたい「1」という数字が多用されると思いますが、
さすがに寿命1年の種類を探すのは辛いと思います。
個人的には、ちょっと都合が良過ぎる数字だと思います。
(1にこそ意味がある訳で、絶対に消える事はない数字ですね^^;)


買った個体なので、どこの出身かは分かりません。
日本産ではないかもしれませんし、
下手をするとヤマトヌマエビではない近似種かもしれません。
熱帯魚的な扱いで現在まで来ているので、細かく調べた事がないのです。
店頭のヤマトヌマエビには、妙に黒い模様が濃い集団があって、
それはさすがに違和感がありますが、
この感じは慣れ親しんだタイプとは思います。

コケ取りに活躍するハサミの部分が、
丸く膨らんでいて、力を使う場所である事が分かります。
先には毛が生えていて、テナガエビ科のような攻撃力は感じません。
それでも、弱ってヘロヘロの魚には飛び付いてツマツマすることはあります。
ヤマトヌマエビはヒメヌマエビ属なので、外肢がありません。
腹節の中から一本出ている、外肢かと思うような腹肢の先はお約束です。
参照⇒【ヌマエビの外肢など
どのエビも、腹節から出ている腹肢の先は外肢のように見えます。

ハサミの前には、長く発達した顎脚。
まるで歩脚かのようです。
餌を抱え込んで持ち歩いたり、ツマツマ行動で“つんのめらない”ように、
つっかえ棒の役をします。


こんな感じで出て来られると、本能的にゾッとする事があります。
ヒトは大きめの外骨格の生物があまり好きではないです。
ハチとかゲジゲジとかに酷い目に遭わされて来た歴史が、
本能的に避ける行動を与えて来ているのだと思います。
考えるより前に反射的にゾッとします。
脚を開いた時の、このクモのような、フナムシのような感じは、
「うっ」と思います。
苦手な人が多いのは分かります。
「エビだから無害」と新しい脳の部分が、反射を打ち消しているだけかも。
(アシダカグモが無害でゴキブリの天敵といわれても、かなりキビシイ)


前側角部が尖っているように見えるのは、
単純に角度の問題です。丸い皿を横から見たのと一緒。
ヤマトヌマエビには前側角部に棘はないです。
外肢がないのも良く見えます。腹肢の一本が出ているのも見えます。
参照⇒【ヌカエビの外肢など
ヌマエビ属は色々と出っ張りが多い。(進化の上では古いエビの形質らしいです)

ヤマトヌマエビは毎度「死なない生き物」で、熱帯魚が一匹も居なくなっても健在で、
オトシン・ネグロと共に、再燃まで水槽の主として残ります。
水草と水槽を維持させ、また観賞魚店に日参させられることになります。


このヤマトヌマエビ。
種類の誤認の多い日本産淡水エビの中では、
唯一、全く誤認を受けないエビです。
小卵型でゾエアの生育には海水が必要という部分まで完全に周知されています。
(ヌカエビと対極。ヌカエビの誤解や誤認は逆に酷過ぎ)
姿かたち、産卵形態までが完璧です。
誰も額角など見ずとも100%見分けられるという部分でも模範となる種類です。
他の淡水エビもこのランクにまで知られると良いのですが、
その為には商品として宣伝されないとダメだとすると、ちょっと考え物です。
(そこそこ売れているヌマエビ南部群があの程度ですから、
売れる事と正しい知識の普及は別ですが(^^;。
ヤマトヌマエビがむしろ稀有な例ですね)

2008/11/29

 

◆おすすめリンク◆

http://stay0329.fc2web.com/howto.htmBREEDING LIFE
ヤマトヌマエビに限らず、
様々な小卵型を繁殖させているSTAYさんのサイト。


 


 

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