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ミナミヌマエビの白濁♂との恋模様


ミナミヌマエビの水槽から水草を他の水槽へ移動させると、
ミナミヌマエビの稚エビが2,3匹一緒にくっついて移動してしまう事が多いです。
そんな移動先では、本来あり得ないような少数の生息状態になるので、
多数の飼育状態では見られない、おもしろい行動が見られたりします。
(長期に交接できない雄ミナミに貯精嚢らしきものが見えたり)

この水槽(45x24x30)は、購入したてのロックシュリンプの連続死に遭ってしまい、
その後、ヌカエビもほとんど壊滅。アフリカンロックまで死亡という最悪の状態にまで発展してしまった環境です。
(やはり、東南アジア産ロックの検疫はしっかりした方がいいのかも⇒【混ぜるな危険またやってしまった(T.T)
他のエビは移動させ、プラナリア退治用のカダヤシのオス数匹のみと、
紛れ込んだミナミが3匹のみ生きています。

そんな中で、ある日、ミナミのメスが落ち着きなく水面付近を泳ぎ回っているのが目に入りました。
生殖脱皮を終了したのか、その直前なのか、そわそわそわそわしています。
背中の卵巣はしっかり産卵できるまでに発達しています。
しばらくして様子を見てみると、スポンジフィルターの根元で交接をしていました。
ところが、その御相手の雄は、腹節が真っ白の白濁状態です。
3匹のうちの1匹が白濁していたのには気付いていましたが、
その白濁した1匹が雄だったようです。残りの一匹は雌でした。
この白濁した♂との恋模様から、ミナミヌマエビのちょっと違った一面を垣間見ることができました。


見事なピンボケ
多数の飼育状態では数秒で終わってしまうはずの交接ですが、
異常に長い時間この写真のままの姿勢でいました。
二人きりだと、そうなるものなのか、
あるいはオスの調子が悪過ぎるのか・・・
しかし、見るからに体長不良な雄ですが・・・、ミナミは凄過ぎます。♂の鑑。


底に落ちてしまいましたが、メスには逃げる素振りは少しもありません。
やっと巡り合えたオスに身を任せている感じ。
2匹が出会った瞬間は確認していませんが、
今回のケースはメス側が待ち切れずに“雄探し”をしていた様にも見えました。
メス側からの“抱卵の舞”があるのかも?
しかし、オスが“雄フェロモン”を常に出しているとは思えないので、
雄にフェロモンが届き易い場所への“移動”が正解かもしれません。
メスの頭胸甲側面に三日月型の受精嚢と思しき白い部分が見えます。【参考】⇒CRSの受精嚢
これは満タンでなくとも白く透けて見えます。


全然抱けてませんが・・・・
オスも一生懸命なのですが、体が言う事を聞かない感じ。
腰が悪くて曲がらず、うまく密着できないといったところでしょうか。
メスの背中には熟した卵がぎっしりです。


これだけの体格差ですし、オスは体長不良ですから、
メスが“交接嫌い”であれば、簡単にこの状態を回避できるスキは山ほどありました。
しかし雌は身動き一つせず、辛抱強く事が済むのを待っていました。
この水槽にはこの雄しか居ないので、雌はなんとか雄に頑張ってもらいたいようです。
「必要以上の雄に交接されたり、共食いされるのは以っての他ですが、
産卵周期に雄に巡り合えずに産卵できない損失も避けたい。」
このメスが望む理想的なバランスを保ってあげる事が大切だとつくづく感じる出来事でした。

結局このメスは産卵に至りませんでした。
生物には一定量の交接での刺激がないと排卵しない種類が多いようですが、
ミナミにも似たような機構が備わっているのかもしれません。

「交接をした」という“記憶”を持つだけでは、本当に精子を受け取れているのかは不確実ですから、
これではせっかく長い時間をかけて成熟させて産んだ卵が、全て無精卵になる可能性が高いわけです。
受精嚢内に満たされる精包の量による“膨圧”の刺激が産卵を誘発していると考えるのもありかもしれません。
多数飼育でオスの欲求から逃げまわっているメスは、もう充分な膨圧を得ているのかもしれません。


【参照】⇒
CRSの交尾
【参照】⇒
テナガエビの交尾

 

2004/08/02 

※ここで取り上げている“ミナミ”は、
観賞魚店での購入もの(シナヌマエビ類のミックス)です。⇒【
本当にミナミヌマエビ?


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