ヌカエビの写真を見ると、
脚の付け根付近に、細いひらひらした物がよく写っています。
これは外肢と呼ばれる物だそうで、ヌマエビ属の特徴のようです。
ヌマエビ属とは、ヌマエビ(ヌマエビ南部群)とヌカエビ(ヌマエビ北部−中部群)のこと。
この属は、ヌマエビ(ヌマエビ南部群)が古くから“ミゾレヌマエビ”として売られていたり、
ヌカエビ(ヌマエビ北部−中部群)の、頭の後ろにも棘があるタイプがヌマエビ大卵型とされたりと
色々と大変な属です。⇒【新しくなったヌマエビ属の分類】
その混乱を治める材料の一つに、この外肢の有無は有効そうです。
というのも、ヒメヌマエビ属には、この外肢が無いらしいので、
まぎらわしい本物ミゾレヌマエビ(ヒメヌマエビ属)には無い事になるからです。
※ミゾレヌマエビ(本物)には外肢が無いのを確認しました。
⇒【ミゾレヌマエビに外肢を探してみる】その一
⇒【ミゾレヌマエビに外肢を探してみる】その二
⇒【ミゾレヌマエビに外肢を探してみる】その三 第一腹肢の外肢は共通。
脚の基部の節から、太い脚と、細い外肢が一緒に生えています。
甲羅に沿ってある一本は、第一腹肢の外肢のようです。
後ろから随分と長く前へ出て来ています。
この外肢たち、歩く時に結構邪魔そうな印象がありますが、
何の為に存在しているのでしょうね。
別個体です。
水草に少々隠れ気味ですが、外肢が見えます。
この外肢の形状。他のヌマエビ類、ビーシュリンプやシナヌマエビ、
ミゾレヌマエビ(本物)あたりでも、口元にはよく見掛けるものです。
それもそのはずで、顎脚には他のエビにも、これが存在するらしいのですね。
口元でひらひらと高速で動かして、水流を起こし、餌のカスなどを飛ばしている器官です。
ヌカエビでは、呼吸を助けるなどの活躍を実は担っているのかもしれませんが、
高速で動かしている印象は、今のところありません。
◆比較参照◆ ヌマエビ(ヌマエビ南部群=ヌマエビ小卵型)の外肢
販売名“ミゾレヌマエビ”で不動の知名度を持つヌマエビ南部群。
以前撮った物なので画質が少々悪いですが、
あらゆる胸脚の付け根に細くて短い外肢がひょろひょろと見えます。
全ての胸脚(歩脚)に付くわけですから、
当然のように、第一・第二胸脚付近にまで存在しているのが見えます。
“本物ミゾレヌマエビ”と“販売名ミゾレヌマエビ”は、
“本物”がヒメヌマエビ属で外肢が無く、“販売名”のほうはヌマエビ属で外肢があるという、
属を越えた混同なのがさらに明確になります。
この写真では眼上棘が見えていませんが、
小さな眼上棘の有無を探すよりも、外肢の有無を探すほうが楽そうに思えます。
これなら写真に撮ったり、虫眼鏡で見る程度でも「ヌマエビ属!」と一発で分かります。
外肢の有無はもっと前面的な部分に出して活用したほうが良い見分け箇所ですね。
楽で有効ですので、ここで見分けるのはオススメです。
眼上棘は探すのがたいへんですから、
模様で見立てた後に、外肢を見れば、もうそれだけで万全でしょう。
◆おすすめ参照リンク!
http://www.interq.or.jp/jazz/rhinoda/aqua/ebi5.html
ヌマエビ南部群の外肢。
標本にハッキリと見えます。
http://www.interq.or.jp/jazz/rhinoda/aqua/ebi6.html
奄美産のヌマエビ南部群の外肢の写真。
琉球列島付近の南部群は、本土のものとは若干遺伝子的な違いがあるそうですが、
ヌマエビ属の特徴である外肢は鮮明にあります。
第一腹肢の外肢の長さが長いのも写っています。
参照⇒【ミゾレヌマエビとヌマエビ南部群の見分け方】
参照⇒【ヌカエビの眼上棘】
ヌカエビの詳細は⇒こちら
2008/02/23 岩
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