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スジエビとテナガエビの見分け方


どちらもテナガエビ科らしい姿で、若いテナガエビとスジエビは非常によく似ています。
テナガエビでも、中・大型の雄と最大級の雌は、まずスジエビと間違えられる事はないと思います。
問題なのは、「テナガエビの子エビ・若エビ」と「スジエビ」との見分け方という事になると思います。

テナガエビの小型個体とスジエビの見分け方

テナガエビの未成体
テナガエビの若エビには、胸の横にアルファベットの「m」に似た模様があるものがほとんどです。
mそのものの形を持った個体から、mをかなり崩した個体まで、
mの字自体は個性的で様々ですが、
概ね、「m」という範囲に入ると思います。⇒【テナガエビのm模様の色々

一方、

スジエビには、胸の横に「逆さハの字」が書いてあります。
“凶”という漢字にも似ています。
テナガエビとスジエビの見分け方は、正直な所、これだけで終了して良いくらいです。

その他のスジエビとの違い
●「m」模様以外に目立つ模様が無い
●額角(眼と眼の間のツノ)にギザギザが10個以上並ぶ。スジエビは5個程度と粗い(ページ内の写真参照)。
●指節(脚の爪)がとても長い。(折れそうな感じがするほど。大型個体は実際に折れている事も多い)⇒【テナガエビの指節

※テナガエビは成長して大きくなると、m模様の鮮明さが消えていくことが多いエビです。
参照⇒【テナガエビ♂成体
参照⇒【テナガエビ♀成体
参照⇒【テナガエビ若い♂
個人的には河川下流域産よりも湖沼産のテナガエビのほうが、「m」が消える傾向が強い印象です。
その場合も、mの後端の弧を描く軌跡は残ります。
もっとも、ここまで成長していて模様のないテナガエビをスジエビと混同する事はありませんね。
※逆に、m模様がやたらと濃く太く目立つ場合は、ミナミテナガエビの可能性もあります。
西日本の場合はミナミテナガエビの生息数がテナガエビを大きく上回るようです。
ただし、ミナミテナガエビは通し回遊種なので、淡水の小さな池や沼には棲みません。⇒【ミナミテナガエビの子エビ

←テナガエビ

←スジエビ
スジエビの特徴
スジエビは名前の通り、体じゅうがスジ模様だらけです。
●胸の横に「逆さハの字」
●そして、もうひとつ良く目立つのが、腰の最も出っ張った部分に入る長い黒い線です。
上の写真の通り、テナガエビにはこの長い黒線はありません。
●↑の写真では一番右はじで見えにくいですが、尻尾の先の、きゅっと細い部分にも黒い輪っかがあります。
⇒【スジエビの模様】【スジエビの模様2
↓の尻尾の写真の上の部分にある黒い部分がそれです。
●尻尾の先に4つの黒い班点があるのもスジエビの大きな特徴です。

上から見ると簡単に分かります。(必ず明瞭に出ているとは限りませんが、極めて有効です)
⇒【スジエビの尻尾の4つの黒班
これらが模様としては良く目立つ箇所です。

スジエビは、体が全部、スジエビらしいパーツで構成されていますので、
テナガエビとの違いには事欠きません。
●第一触角(鼻先のヒゲ)の上二本が白い。⇒【触角1】【触角2
必ず白いわけではありませんが、白かったら一発で分かるほどです。前方斜め下に伸びる二本は黒いです。
●額角(眼と眼の間にあるツノ)のギザギザが5個程度と粗い。⇒【長い手が無くてもテナガエビ科
虫眼鏡で見ると簡単だと思います。
●指節(歩く脚の先の爪)は短くもあり長くもあり(前脚の指節は短い)。⇒【スジエビの指節
歩く脚の一番前の爪は、比較的短めです。これは比較の問題ですから、
テナガエビの爪の異常なほどの長さを見ていれば分かるというくらいですが。

スジエビの模様
 
前述した通り、スジエビには「逆さハの字」模様が目立ちます。

 
“凶”という漢字に見たててみるのも面白いです。

 
胸の横の逆さハの字(凶模様)と、
腹節(腰と呼んでしまいます)の一番盛り上がった部分から腹まで達する一本線、
この2つをセットで憶えておけばテナガエビとの区別はまず大丈夫です。
 
尾扇の付け根の黒い輪っか。
そして、先端にある四つの黒点もセットで見ておくと有効です。
(必ずしも写真の通りの形と明瞭さとは限りません。尻尾の模様の有無の確認は有効ということです)

 

テナガエビの模様

一方、
  
テナガエビは「m」模様です。その他に模様らしいものはありません。
このm模様は、大人になると消えて行く傾向が強いです。
スジエビと間違える大きさの頃には、比較的クッキリしていますので使えます。
やや消えている場合でも、後端の下がって行く部分は残っていますので、
完全なmでなくても判り易いです。
 
・腰の一本線もなく(背中に少しある場合もありますが、腹の下まで達する事のない短さ。比べるまでもありません)、

・尻尾の細い部分にも黒い輪っかがなく、

・尾っぽの先にも4つの黒点がありません。(個体によっては、先端あたりの色が濃い場合はあります)

 


スジエビとテナガエビの共通点

見分けるという事は、相違点を浮き立たせると共に、共通点をつぶす作業でもあります。

体の形はほぼ共通です
平均値で云えば、若干、テナガエビの腰の起伏のほうが低いかもしれませんが、
個体差の中に埋もれてしまう程度だと思います。
腰の曲がり具合では見分けないほうが良いと思います。(他の写真も参照比較してみて下さい)

透明で背中の曲がりもあるテナガエビの子供。
この頃がスジエビと混同され易い時期だと思います。
多くの種類の淡水エビが、透明で腰の曲がった特徴が共通です。⇒【スジエビの範囲
スジエビの特徴として強調され易いですが、多くの種類で、ごく当たり前です。
 
スジエビよりも曲がりが強い個体もあります。

透明度
平均値で云えばスジエビのほうが透明かもしれませんが、
子エビ時代のテナガエビもほぼ透明です。小さければ小さいほど透明です。
逆に、大きなスジエビには色彩が乗って透明度は低くなります。
そもそも透明度でエビの種類を見分けようとすること自体が無理だと思います。⇒【透明なエビ達
 

手脚の関節が黄色やオレンジ色の点になっている
スジエビの手脚の関節は黄色く目立ちます。⇒【スジエビの指節
テナガエビの子エビ達も、スジエビ同様に関節は黄色〜橙色です。
 
テナガエビの子供の手脚はスジエビ程度に短く、関節もオレンジ色。(右はスジエビ)

眼が横へ飛び出している
しっかりと比べればスジエビのほうが飛び出しが強いですが、
あくまで飛び出す「具合」の世界です。
眼の大きさなども違いますが、一瞬で判断できるほどの数を見ていればの話だと思います。

参照⇒【テナガエビの眼


参照⇒【スジエビの眼1】【スジエビの眼2

 

 


参照⇒【スジエビとヌマエビ科のエビの見分け方
「透明度」とか「眼の出っ張り具合」とか「腰の曲がり具合」では無理です。


見分け練習

実物は小さいですが、こんな大きさでも分かると思います。

 

つづく


※現在、個人的に使用している方法の紹介です。
種類を見極める際の参考にしていただだければ幸いです。

2009/09/27


2009/09/30 更新
2009/10/01 更新


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