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ヌマエビ類の見分け方(動かぬ証拠的部分の早見表)

模様で見分けられてしまえば、それに越した事はありませんが、慣れないうちは、
こういう動かぬ証拠的な部分をチェックすると、より確実に断定できたり、意外な勘違いを否定できます。
市民レベルのヌマエビ類の情報交換では、根拠も無く、時々の雰囲気や主観で種名が呼ばれる例が圧倒的に多く、
写真と種名が一致して完結を迎えることはほとんど無いように思えます。
額角のギザギザを顕微鏡で数える必要は感じませんが、
最低でも眼の角度や長さ、そして、外肢の有無はチェックしないと話は進まないと思います。
この、種類の根拠を提示せずに、「なんとなくそう思った」種名で語っても共感や同意はあやふやです。
逆に、この最低条件の確認をしておけば、ヌマエビ類に常態化している種類間違いはあっさり消えます。
(赤字は確認必須項目。“ある”ことの確認も重要ですが、“ない”ことの確認も同じ重要性を持ちます。
特に外肢は見易い上に、混同され易い種類に必ず関わっていますから、確認は絶対条件です)

種名(リンクは模様)眼の角度と長さ   額角外肢前側   備考
ヌマエビ(新)     |真横、やや長め  |長い|ある|小|ない|強|商品名“ミゾレヌマエビ”
ヌカエビ(新)     |真横に出た離れ眼|長い|ある|ない|強|西日本にも広く生息
ヤマトヌマエビ     |斜め前、短い   |短い|ない|小|ない|弱|
トゲナシヌマエビ    |斜め前、短い   |短い|ない|小|ない|弱|スマートな♂に注意
ヒメヌマエビ      |斜め前、短い   |中長|ない|小|ない|中|横縞と縦縞がある。♂注意
ミゾレヌマエビ(本物)|長太で斜め前   |長いないない|強|この種を知る事が秘訣
ミナミヌマエビ     |長太で斜め前   |長い|ない|大|ある|中|意外なほどスタイル抜群
外来シナヌマエビ類 |長太で斜め前   |様々|ない|大|ある|弱|ミナミより額角が短い
スジエビ(参考)    |真横、離れ眼    |長い|ない|中|鰓前棘|強|テナガエビ科

※眼は空気中だと甲羅の中に収納されることが多いので、必ず水中で見ます。
※眼が生える方向は姿勢で少々変わります。平面の上に居るのを真上から見るのが理想です。
斜め系は雌雄でも雄の方が前向き度が高く、雌はやや横に開く傾向があるように思います。
シナヌマエビやミナミヌマエビも大型の♀個体は若干横に開きます。
※額角は折れている個体、折れて再生途中の個体も居ますので注意が必要です。
※外肢のある種類には眼上棘もありますが、比較的見易い外肢のみを見れば効果は一緒です。
(眼の角度とも共通ですから、眼の角度を見れば、外肢を見る必要性も薄まりますが)
※外来シナヌマエビ類の中には、前側角部に棘がない個体や個体群が居る可能性もあります。
※腰の曲がりは、曲がりが強い種類も、抱卵した雌は全体的に丸い印象になります。
※今後増えると予想される見分け間違い
1.外来シナヌマエビ類の増加で、シナヌマエビ類をミナミヌマエビの平均像と見る人口が増加しますから、
本物ミナミヌマエビが本物ミゾレヌマエビとされる率が増えると思います。
元々、ミゾレヌマエビの雌はミナミヌマエビと混同される例は多かったですから、より増えると予想されます。
模様の違いを重視し、前側角部の棘をチェックすれば簡単に防げます。
2.同じくシナヌマエビ類の増加で、額角も短く、姿形が似たトゲナシヌマエビが混同増と予想されます。
※外来シナヌマエビ類の写真は、
観賞用や釣り餌用として“購入されたミナミヌマエビ”であれば、ほとんどがそうです。
本当のミナミヌマエビの画像はなかなか探す事が出来ません。
まだ幾分、採集サイトに見られますが、今後の交雑や生存競争で減少する可能性が高いと思います。
※ヌマエビ科との混同が多いですが、スジエビはテナガエビ科ですので、ハサミ脚(第二胸脚)が鼻先よりも長いです。

 

ヌマエビ科の種類を見分ける必要性とは、
●ヌマエビ南部群(旧ヌマエビ小卵型)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ヌマエビ属
●ヌマエビ北部〜中部群(旧ヌカエビ+旧ヌマエビ大卵型)・・・・・・・・・ヌマエビ属
●ミゾレヌマエビ(商品名の方ではなく本物)・・・・・・・・・・・・・・ヒメヌマエビ属
●ミナミヌマエビ(商品名の外来シナヌマエビ類の方ではなく本物在来種)・・・・カワリヌマエビ属
を見分ける事とほぼ同義に思います。(ヤマト・ヒメ・トゲナシは比較以前と思います)
旧ヌカエビはつるつるハゲ頭ですから簡単ですが、他の4つは、どれも額角が長く、
額角上に頭の後ろまでギザギザが続きますから、額角のみで見分けると「困難」と思います。
1.眼の角度、離れ具合
これを見るとグンと絞られます。ヌマエビ属2種が真横。特に離れているのがヌマエビ北部−中部群。他2種は斜め前。
真横離れ眼のヌカエビ(ヌマエビ北部−中部群)
同じく真横のヌマエビ(ヌマエビ南部群)

2.真横2種には歩脚の付け根に外肢が生えています。他の2種には生えていません。
眼の角度と外肢の有無がダブりますが、ミゾレやミナミの老齢雌は眼が開く場合もあるのでチェックしておくと確実です。

3.残ったミゾレとミナミの違い「前側角部の棘の有無」のチェックで終了。
もちろん、4種とも模様が違うので、それ以前におおよその見当は付きます。
特に西日本の旧ヌマエビ大卵型とヌマエビ南部群は模様以外だと遺伝子比較になってしまうようなので、
素人一般では模様と眼の離れ具合等で頑張って見分けるしかないと思います。

 

ヌマエビ類の見分け方は、

1.眼を真上から見て、生えている方向が真横か、斜め前かを見る。
出っ張り具合も見る。ついでに額角の長さも見る。

2.胸の横に、種類特有の濃い模様部分を見る。
これでほとんど終了。

3.外肢を確認する。(100円ルーペで充分)
六本の歩脚の付け根に小さな脚が生えているかいないかを確認。(第一腹肢の外肢との誤認をしないよう注意)

4.前側角部に棘があるかないかを確認。(ミゾレとミナミと迷った場合)
を加えると、断定できるくらいの高みに到達できるのではないかと思います。
(といっても、「同定」ではなく「見分け」。新種・死滅回遊種・珍種の外来種は不可能です)

 

眼の特徴からの見分け方の例⇒【本土産8種類を眼の角度から見分けてみる

 

2010/07/17 


2010/09/05 更新


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